
いつの間にか手元にあるFマウント50mmの撮り比べ
長らくカメラを趣味としていると、いつのまにか同じ焦点距離の似たようなスペックのレンズを複数個所有してしまっていることがよくあります。特にニッコールの所有台数は最も多く、中でもFマウントの50mm普及タイプレンズは気付くと3台ありました。いずれもかつて比較的安価に入手したレンズですが、果たしてこれって描写に違いはあるのでしょうか。

まずは3台をエントリーしておきましょう。左から(古いほうから)、New Nikkor 50mm F2 → Ai AF Nikkor 50mm F1.8D → AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G Special Editionの3本です。
・New Nikkor 50mm F2 (1974年11月発売) – 4群6枚。最短撮影距離0.45m。1964年発売のNikkor-H Auto 50mm F2とレンズ構成は変わりませんが、屈折率低分散ガラスを用いて最短撮影距離が短縮されたモデル。いわゆるニューニッコール。
・Ai AF Nikkor 50mm F1.8D (1995年4月15日発売) – 5群6枚。最短撮影距離0.45m。オートフォーカスに対応した当初期のレンズですが、おそらく光学系は1978年発売のAi Nikkor 50mm F1.8と同一ではないかと思います。
・AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G Special Edition (2013年11月28日発売) – 非球面レンズ1枚を含む6群7枚。最短撮影距離0.45m。2011年発売のAF-S NIKKOR 50mm f/1.8Gの外装変更モデルで、光学系は同一。
この3本はそれぞれの時代でいわゆる「撒き餌レンズ」の地位に置かれたモデルで、より上位機である50mmF1.4の陰に隠れた普及版というか廉価版のレンズです。逆を言えば「安くてよく写るいいレンズ」とも言えるでしょう。
時代の変化を感じる外観の変遷
今回はこの3本をヘリテージデザインが特徴的なNikon Zfに装着してみました。

まずはNew Nikkor 50mm F2。FマウントをZマウントに変換するマウントアダプターには焦点工房のNF-NZを使用しました。このアダプターはかつてのAiニッコールを連想させるデザインで、カメラ・レンズとも一体感があります。Zfのヘリテージデザインとも相まってまるで本物のフィルムカメラのようです。

Ai AF Nikkor 50mm F1.8Dは鏡胴がプラスチック製になりましたが、不思議とあまり安っぽさを感じないデザインです。Zfに合わせると適度にアナログっぽさが残り、これはこれでよく似合っています。ただ、元々はオートフォーカスのレンズですがZシリーズではオートフォーカスが効かないので、スカスカのピントリングを回してマニュアルでピントを合わせる必要があります。

AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G Special Edition。Gタイプ以降はF値はカメラ本体で変える仕様となりましたので、レンズに絞り輪は付きません。レンズ径も大きくなりましたので、Zfにはグリップを装着して全体のバランスを整えました。また、マウントアダプターは純正のFTZを使えばZシリーズでもオートフォーカスが効きますので大変便利です。
Zfで撮り比べ・・・描写に明確な差はなし?
それでは撮り比べをしてみましょう。F値を絞ってしまうと描写に差が出にくいと思われるため、基本的に絞りは開放としました。New Nikkor 50mm F2のみ開放値はF2となり他の2本より0.2ばかり暗くなりますが、実質的に大差はないでしょう。
シーン1:バラと黒猫



ぱっと見違いはわかりませんが、時代の新しいGタイプの色乗りが若干良い感じはします。レンズコーティングの違いによってでしょうか、余計な光を拾わずにくっきりした写り方をするのはGタイプですが、Dタイプもニューニッコールも全然良く写っていますね。背景の障子から黒猫が覗いているのですが、そのぼけ具合も大きな違いはありません。
シーン2:花壇



ニューニッコールは後ボケが少し煩く前ボケが少し硬い感じ。Dタイプで若干緩和して、Gタイプが最も自然で現代的なボケ方を見せます。ボケ方にこだわるならGタイプが有利かもしれませんが、言うほど大きな差でもないような気もします。
シーン3:逆光のねこ



窓から日が射して完全に逆光となった意地悪な構図。厳密に寸分違わずに全く同じ場所から撮影できているわけではないので、光の拾い方はその時の撮影ポジションによって違っている可能性があるという前提ですが、あきらかにDタイプのフレアの出方が大きいです。この時撮影した別ショットでも、ゴーストを拾ったのはDタイプだけでした。ただ、レンズの状態によってもこのあたり違ってきそうなので、そういう傾向があるかも、という評価に止めておきます。Gタイプはフレアを抑えて比較的安定した描写を見せました。
カメラの位置を三脚等で固定し、それぞれのレンズでF値を一段ずつ変えて周辺描写に至るまでじっくり比較すればおそらくもっと差はあるのでしょうが、普通に手持ちで被写体を追いかけて撮影する場合では、こと描写力ということでいえば3本の明確な差は感じられませんでした。ただ今回唯一オートフォーカスが効いて、かつフレアやゴーストにも強くよりボケ方が自然ということで、Zfで使うならGタイプには一日の長があると言えそうです。
しかしながら、Gタイプレンズはレンズ本体で絞り値を変えることができないので昔のフィルム機では使用できないなど制限もあります。結局のところ同じFマウントでも、使用するカメラによって適切なレンズを選ぶのが最適ということでしょう。



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