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フロンティアライト
カメラと写真好きのフツーの会社員。好きすぎてこれで生きていけないか妄想中。ときどき新旧デジタルグッズのレビューなども織り交ぜてお届けします。

Nikon Zf ◆レビュー 実写編◆

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Nikon Zf | NIKKOR Z 40mm F2 | F2 1/200 ISO100
目次

デザインだけではない、Zfの実力を探る

熟考の末Zfを購入しましたが、猛暑のせいでなかなか撮影に出かけられず、ろくに試し撮りもできていませんでした。それでも少しずつサンプルショットが貯まってきましたので、作例や操作感や雑感も含めて導入後初の実写レビューをまとめておこうと思います。

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今回は2019年に導入したZ6の置き換えのつもりで購入に至っていますので、Z6からどれほどの性能アップがなされているのかがポイントと思っていましたが、まず画質に関してはもともと高画質だったZシリーズのかっちりとした写りが踏襲され、手振れ補正や画像処理の性能向上で更に磨きがかかったという印象です。まずは作例をご覧ください。

更なる高画質となった新世代Z

Nikon Zf | NIKKOR Z 40mm F2 | F5.6 1/50 ISO140

2023年発売のフラッグシップ機Z9から、Nikonは画像処理エンジンをEXPEED7に更新し、本機ZfもまたそのEXPEED7を搭載しています。それ以前のEXPEED6から飛躍的に処理スピードも上がり、当然画質にも大きな影響を及ぼしているはず。画像処理エンジンの違いだけですべてが変わるわけではないとは思いますが、Nikonのミラーレスも新世代に突入したことに疑いはありません。

Nikon Zf | NIKKOR Z 40mm F2 | F5.6 1/125 ISO100

まずはそこそこ絞ったF5.6あたりのショット。2450万画素という一般的な画素数ですが、十分に精細に撮れていると思います。個人的にはストリートスナップでこれ以上絞ることはあまりないのですが、F8くらいまで絞れば更にかっちりと撮れるのではないかと思います。

Nikon Zf | NIKKOR Z 40mm F2 | F5.6 1/50 ISO5600

こちらは夜間のスナップショットでISOが5600まで上がっていますが、画質の劣化もあまり気にならず、Z6同様高感度性能は良好といえるでしょう。

Nikon Zf | NIKKOR Z 40mm F2 | F2 1/50 ISO140

ちょっと道を逸れて室内のなんちゃって横丁に入りました。室内なので絞りは開放のF2にし、同時にボケの演出も視野に入れます。こちらのショットでは歩く女性の後姿にAFがとっさに追いつきませんでしたが、まあピントの被写界深度内には入れたかな。通路の先は自然なボケ味が出てスナップとして良好なショットとなりました。

Nikon Zf | NIKKOR Z 40mm F2 | F2 1/50 ISO160

同じくF値開放で、手前でテーブルを囲むお客さんにフォーカスし、背景でボケを演出しました。今回の試し撮りでは全ショットでNIKKOR Z 40mm F2にて撮影しましたが、このレンズ、スペックから想像するよりもよくボケる楽しいレンズです。こういうレンズではせっかくなので開放付近で撮りたいもの。

Nikon Zf | NIKKOR Z 40mm F2 | F3.5 1/50 ISO900

最短撮影距離も短いのでテーブルショットも得意。開放から2~3段絞ってもよくボケてくれます。ホワイトバランスはオートですがきちんと再現できています。色乗りもいいですね。

Nikon Zf | NIKKOR Z 40mm F2 | F2 1/50 ISO360

F値開放では、休憩のために立ち寄ったカフェで出てくる単なるアイスコーヒーでさえこの立体感。正直このレンズ見た目がちょっと安っぽいので、せっかくのZfに合わせるのは役不足ではと思っていましたが、性能のほうは確かでした。メーカーには値段が高くなってもいいので、高級感のあるカスタムエディションの開発をお願いしたいです。

Nikon Zf | NIKKOR Z 40mm F2 | F2 1/50 ISO160

愛猫のトラ。開放で狙ったので意図通りのふんわりしたショットが撮れました。尚、AFエリアモードを「オートエリア」にし、被写体検出設定を「オート」にすれば、カメラが勝手にAIで被写体を検出し、狙った被写体が動物であれば自動的に目にピントが合います。この機能自体はZ6にもありましたが、より簡単に確実に目を検出するようになっていて驚きました。ソフトウエアのほうも確実に進化しているようです。いろいろ撮ってみましたが、画質においては何ら文句のつけようがない高画質と言っていいと思います。

外観や操作感の○と×

唯一無二のデザイン

このカメラを買おうと思う方は、このデザインにやられたはずです。現在フルサイズセンサー搭載でフィルム一眼レフテイストのレトロデザインカメラはZf以外存在しませんので、今のところ他に競合がない唯一無二のモデルといえます。レトロという意味ではライカもそうかもしれませんが、価格が数倍しますしレンジファインダーなので直接の競合ではないでしょう。私はライカM10ユーザーですが、オールドレンズを使用するにおいてはレンジファインダーレンズを使いたければライカ、一眼レフ用レンズを使うならZfがしっくりきそうと思っています。

ちなみに現在のデジタルライカはライブビュー機能が付いていますのでオールドレンズの母艦としての意義もあるでしょうが、別途ビゾフレックスが要るし、ライカでライブビューをがちゃがちゃやっていると壊れそうで不安になりますので(私のM10は壊れました)、その点何も考えず普通にどんなレンズでも使用できるZfは心強いです。

実は最新の性能

外見はレトロですが実は最新機能がちりばめられています。基本的な画質はいわずもがなですが、ざっと思い付く点を挙げますとプリキャプチャー、ピクセルマッピング、MFレンズ使用時の被写体検出機能など、Nikonの最新技術が詰め込まれていて、Z6シリーズは先日Z6Ⅲが発売されましたが、さしずめZfはZ6ⅡとZ6Ⅲの中間「2.5」あたりの性能です。

 そしてNikon社ならではの工作精度の高さも魅力です。誤解を恐れずに言うと、数あるカメラメーカーの中にはカタログデータで遜色なくても、つくりが華奢で堅牢性に不安がある機種もありますが、これはずっしりとした塊感があってちょっとやそっとではびくともしなさそうです。

グリップが小さく持ち辛い

巷でもよく言われていますが、レトロデザインを継承したおかげでグリップはごく小さいものになりました。小さめのレンズならともかく、ズームレンズなど一定の大きさのレンズを装着した場合、明らかに持ち辛いです。後付けのグリップが販売されていますので、少し大きめのレンズを使う予定がある場合は純正・非純正に関わらず導入したほうがいいでしょう。ちなみに私は中国NEEWER製のこちらを使用しています。

実は結構でかいし重い

レトロでかわいいデザインでも実は先代となるZ6やZ7よりも大きく、ボディのみ重量710gと決して軽くもないことは注意です。しかもすでに述べたようにグリップが小さくホールドが良くないので、思った以上に持ち辛いと思います。気軽にお散歩に持っていきたいカメラなのに重くて気持ちを削がれることもあるかもしれません。どうしてもこの大きさ・重さが気になる場合は、APS-CモデルのZfcも視野に入れましょう。

バッテリーと充電器

適合バッテリーについては過去記事でも記しましたが、無印EN-EL15は形状が同じでも使用できないものがありそうですので注意してください。また製品には一切の充電器や充電アダプターは付属しません。必要な方は別途調達する必要があります。過去記事で詳しく書きましたので気になる方はご参照ください。

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操作性には一癖あり

フォーカスレバーがないがタッチパネルで代替可

ファインダーを覗きながらピントの位置をコントロールするフォーカスレバーがありません。写真は手前左がZ6、奥の右側がZfですが、Z6に矢印で示したレバーが、Zfにはないことがわかりますでしょうか。

代替として、ファインダーを覗きながらタッチパネル上で指をスライドさせることで同様のコントロールができる機能がありますので、忘れずに設定しましょう。ただこれソフトウェアで動かしているので、どうしても物理キーで動かすよりも精度は落ちます。私的にはギリ許せましたが、人によってはそれでも使い辛いということはあるでしょう。

ISOオートの設定がわかり辛い

ISOダイヤルがあるのにオートポジションがないことに戸惑いました。しかも取説を読んでも正直わかり辛いです。一度設定してしまえば問題ないとはいえ、少し不親切には感じました。

チルト→バリアングルに変更

動画ユーザーにはいいんでしょうけど、スチル派の私には正直バリアングルは不要でした。光軸もずれますし。でもまあ、慣れればどうってこともないかもしれません。

メモリーカードはSD系のみ

せっかくZ6で使っていたCFexpressカード(Type B)が使えなくなってしまいました。Z6ではSD系が使えなかったので高かったのに仕方なく購入しましたが、Zfは逆にSD系しか使えません。このあたり仕様を統一してくれたら使い回しできるのに。

以上、Zfのファーストインプレッションとして○と×(一部△)をお話ししました。なんだかんだ言っても今どきこの価格でこれだけの性能を手にすることが出来るカメラなので、デザインを置いといても十分魅力的なカメラだと思います。ただ、ライトに使うには大きく重い、ハードに使うには持ち辛いという「帯に短し襷に長し」の感がどうしても拭えないのも事実。デザインに惚れ込めばあばたもエクボですが、そうでなければ結局もっと使いやすい他のモデルに目移りしてしまうかもしれません。どちらかといえば、やはり「趣味のカメラ」なのではないでしょうか。

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