
ハーフカメラ用Pen Fレンズの使い道としてフルサイズはアリか?
オリンパスPen Fは1963年発売の世界初ハーフサイズ一眼レフ。ハーフサイズカメラといえば近年、PENTAXが20年ぶりに発売したフィルムカメラPENTAX 17が記憶に新しいところですが、ハーフサイズフォーマットという土俵に立つなら、現在でも世界一高画質のカメラシステムはPen Fだと思っています。

Pen Fシリーズは他に類を見ないハーフサイズ一眼という独自のポジションでありながらも交換レンズは10数種類のラインナップを揃えていて、フルサイズ換算28mmから超望遠1000mmまでをカバーするシステムを誇っていました。
Pen Fの高画質を支えていたのはこれらPen Fレンズ群であることに間違いないと思いますが、しかしそれってハーフサイズであったからこそ活きたものなのか、あるいはひょっとしてフルサイズでも汎用的に使える性能だったのか、実はずっと気になっていました。

そこで今回は、フルサイズフォーマットのカメラでPen Fレンズを使ってみることで、Pen Fレンズの本当の実力を探ってみたいと思います。用意したレンズはラインナップ中比較的廉価で入手しやすい25mmF4、38mmF1.8、100mmF3.5の3本。これらをPen F→Eマウント変換アダプターと更にEマウント→Zマウント変換アダプターを噛ませてNikon Zfで使うこととします。
尚、作例はRAW撮影後Lightroomで現像・修正したものですが、データの補正・修正は最低限としなるべく撮って出しの状態に近付けるよう配慮しています。
F.ZUIKO AUTO-S 38mm f/1.8
まずはPen Fでは最もメジャーなレンズ、F.ZUIKO AUTO-S 38mm f/1.8。だいたい中古でレンズ付きPen Fボディを買うと装着されているのがこのレンズです。

Pen Fで使うと35mm換算で約57mm相当の画角となりますが、フルサイズでは表記通り38mmなので、やや広角寄りの標準域といったところでしょうか。


Zfに装着してもあまり違和感がありません。




光の方向によっては少しフレアっぽいこともありますが、ピントの合った部分の精細感とそうでない部分のボケ感は目を見張るものがあります。画面の四隅に「ケラれ」と呼ばれる周辺減光が見られますが思っていたよりもずっと小さく、個人的にはあっても全然邪魔にならないように感じました。むしろ手軽にレトロな絵が撮れるので、ノスタルジックな雰囲気を残したい場合にちょうどいいのではないかと思います。但し中心部のかっちりした写りに比べ周辺は流れ・にじみが生じます。
E.Zuiko Auto-W 25mm f/4
Pen Fシリーズの広角ラインナップでは最も廉価なのがこちら、E.Zuiko Auto-W 25mm f/4です。

Pen Fで使うと35mm換算約38mm相当で準広角ですが、フルサイズでは25mmなので完全に広角域となります。


こちらもZfで違和感なく装着できます。



被写界深度も深く広角レンズらしいパースのある絵造りで、よく写るなあという印象。逆光に弱く余計な光芒を拾ってしまいがちですが、そこも含めて実用性のある性能に思えます。周辺減光と周辺部の画像の流れ・にじみは38mmよりも大きいので気になる場合もあるかもしれません。
E.Zuiko Auto-T 100mm f/3.5
シリーズの望遠ラインナップからE.Zuiko Auto-T 100mm f/3.5です。E.ZUIKO AUTO-T 150mm f/4と共によく見かける廉価なレンズですが、150mmより画質は上とされています。

Pen Fで使うと35mm換算約150mm、フルサイズでは100mmの望遠となります。


Zfに装着するとやや細めの径でバランスがイマイチですが、本来のPen Fボディでも同じような印象です。




とびぬけて良好というほどではないですが、望遠レンズに求められる遠くの被写体を引き寄せて撮るという用途には十分な性能と感じます。ピントの合った部分の描写は精細で、ボケは大きくはないですがちゃんとコントロールできそうです。なんとこのレンズも周辺減光は少なく、撮ったそのままで鑑賞してもあまり気になりません。周辺部に画像の流れやにじみも感じませんでした。
結論:今回の3本はフルサイズでも「意外と」イケそう
本来はハーフサイズ用のレンズ群ですので、現在で言うところのAPS-C程度の受光面しかカバーしていないだろうと予想していましたが、今回試した3本に関しては、意外にも思った以上の広い受光能力を持っていることがわかりました。

いわゆる「ケラれ」については3本とも発生しますが、思っていたよりも全然小さく、むしろ38mmと25mmに生じる周辺部の画像の流れ・にじみのほうが目立ってしまうことがありそうです。しかしながらどちらも気になる場合は少しだけトリミングしてしまえばいいので、大きな問題ではないように思います。
60年代のハーフカメラ用レンズがデジタル、それもフルサイズでここまでの描写を見せるとは全く侮れないと思います。このレンズで撮影した写真が、ハーフでもとてもよく写っているという事実の裏付けが今回取れたような気がしました。今後も末永く愛用していきたいです。



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