いたって普通に写るキングオブトイカメラ
LOMO LC-Aの実写レポートをお届けしよう。LOMOといえばリバーサルフィルムを使ったクロスプロセス写真の印象が強いが、今回は普通にフジのSUPERIA PREMIUM 400ネガにて撮影し、いつものように現像後Z6でフィルムデュープ、PhotoshopとLightroomで諧調反転と調整を行いデジタルデータ化している。
まずは通常処理を施した写真をご覧いただきたい。LOMO LC-Aといえば前回のレポートにも記したが、設計上の欠陥から生じる強烈なトンネル効果や、露出の不安定さなどが相まって現像してみるまでどう映っているのかわからないという偶然性が逆に楽しいカメラというような評価をされているわけだが・・・
思ったほどの周辺減光もなく、いたって普通に写っている印象である。
私の所有するLC-Aは旧ソ連製(MADE IN USSR)であるから当然クセ玉かと期待していたが、全然普通に写っていて肩すかしを食らった気分である。ピントが目視によるゾーンフォーカス方式なので、目測を誤ってピンぼけとなったショットや、暗くて手振れを起こしたことによる失敗は数枚あったが、概ねこのタイプの他のコンパクトカメラと遜色のない写り方だ。品質にばらつきのあるカメラと聞いていたので、当時としてはひょっとしてこの個体は当たり玉だったのかもしれない。
このままでは面白くないので、LOMO LC-Aならではのお遊びを施してみよう。
疑似クロスプロセス処理をしてみよう
クロスプロセスとは、リバーサルフィルムをネガ用の現像液で、あるいはネガフィルムをリバーサル用の現像液で現像する方法である。一般的には前者を指すことが多いが、これにより色合いやコントラストが本来と異なった様になることを意図する手法で、ファッション写真やローファイ写真の表現のひとつとして広く普及している。80年代のLOMOムーブメントにおいても積極的に使われたので、LOMOといえばクロスプロセス写真と認知されている向きもある。
しかし実際にこれを行おうとすると、高価なリバーサルフィルムが必要だったり、通常の現像所では扱ってもらえなかったりして意外にハードルが高いので、今回は手軽な方法ということでLightroomでデジタル処理として疑似的にクロスプロセス風に仕上げてみた。これは別にLOMOで撮影した写真でなくてもできるわけだが、LOMOで撮ってなければこんなことをしようと思わなかったという意味では、LOMOならではと言えるかもしれない。
こうして比べてみると、クロスプロセス処理をしたほうが印象的な写真になっているような感はあるが、これは写真に何を求めるかによっても意見が分かれそうなので、良し悪しの論議はしないでおこう。ただ、数多くあるカメラの中であえてLOMOを使うというのであれば、その際はこういった表現を選んでみてもいいかもしれない。
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