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フロンティアライト
カメラと写真好きのフツーの会社員。好きすぎてこれで生きていけないか妄想中。ときどき新旧デジタルグッズのレビューなども織り交ぜてお届けします。

LEICA M10 ◆レビュー 購入編◆

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目次

ライカを買ったらお約束。「私がM10を買った理由」

後先考えずM10を購入した私は、このたび世界中のフォトグラファーの憧れの頂点であるライカオーナーに一応なれたということで(フィルムライカは既に所有していたが)、恥ずかしながらお約束ともいえるライカの購入レポートを記しておきたい。しばらくお付き合い願えたら幸いである。

このテーマで顛末を考えると、大きく二つの側面からの記述が要るように思う。ひとつは数あるデジタルライカの歴代機種の中からなぜM10を選んだのかという機種選択の理由について、もうひとつはそもそも中古車でも買えそうな大金を払ってまでなぜデジタルライカを購入しなければならなかったのかという情緒的理由について。順番に話を進めてみよう。

M10に沈胴ズミクロンM50mmF2を装着

デジタルライカの変遷をおさらい

世の中の電子機器の殆どは機種が新しくなるにつれ性能がアップするのだから、最新機種が最良機種というのが定石だ。カメラ業界においてもそれは然りであるが、ことライカに関して言えばその傾向はありつつも旧機種には旧機種なりの一定の価値が存在し続けているという。確かに未だに10年以上前の旧機種を決して安くはない値段で購入する人も多い。

まずはデジタルになってからのM型ライカの主な機種の変遷をおさらいしておこう。

M8 (2006年)

M型初のデジタル機。センサーはコダック社製APS-Hの1,030万画素CCD。のちに機能強化モデルとしてM8.2と呼ばれる派生モデルも発売された。

M9 (2009年)

フルサイズ1,800万画素CCDセンサー機。独特の発色で現在もファンが多い。

M9-P (2011年)

M9の外装強化版。赤いエンブレムを外し、代わりにトップカバーに筆記体の「Leica」文字刻印がある。以降すべてのモデルで展開するP(Pro)バージョンの原型。機能はM9同等。

M (Typ240) (2013年)

フルサイズ2,400万画素CMOSセンサー機で、新たにライブビュー機能と動画撮影機能を搭載。機種名からナンバリングが外れていてわかり辛いので、製品開発コードNoの「タイプ240型」がサブ表記されることが多い。M型としては現在も動画撮影機能を持つのはTyp240のみ。

M-P (Typ240) (2014年)

M (Typ240) の外装強化版で、P仕様機。バッファメモリを2Gに強化し連射性能が向上した。

M (Typ262) (2015年)

M (Typ240) からライブビュー機能と動画撮影機能を省略したモデル。その他仕様はM (Typ240) と同じで、機能を省略した割にはM (Typ240) との価格差が小さい。

M10 (2017年)

数値上のスペックはM (Typ240) 同等だが新型センサーを搭載、画像処理エンジンを刷新し高感度性能も強化。ボディ厚みがフィルムM型相当までスリムになり、全体的なフォルムもM3あたりに近い。動画撮影機能はなくなった。

(左)M10、(右)フィルム機M4

M10-P (2018年)

M10の機能強化モデルでP仕様。基本性能はM10同等だがシャッターを静音化し、新たにタッチパネルを搭載。

M10-R (2020年)

M10-Pのセンサーを4,000万画素CMOSに変更した高画素機。

M11 (2022年)

現行モデル。フルサイズ6,000万画素とさらに高画素化。

今ならファーストライカはM10以降がお勧め

まずM型ライカはマニュアルフォーカスだから、今後の様々な撮影運用を考慮すればライブビュー機能は必携と思い、M9-PまでとM (Typ262) は候補から外した。あとは当然だがモデルが新しくなるにつれ価格が高くなっていくので、予算的にどこまで払えるかでだいたい買えるモデルが絞れてくる。ちなみに目安として今ならM (Typ240) が約50万円程度と思っておいたらいい。

M10にフォクトレンダーノクトン40mmF1.4を装着

また実はM型ライカはブラック色のほうが人気が高いので、同じモデル同士であればシルバー色があれば若干安価である場合が多い。自分の欲しいカラーを貫くか妥協するかで数万円の違いが出る可能性がある。


私はもともとシルバー色が好みであったため、シルバーのM (Typ240) を本命として探し回ったが、だいたい皆考えていることは同じようでM (Typ240) はそもそも品薄である。ある時新宿で1台発見し、触らせてもらったところ、機能で言えば欲しい機能は搭載されているとはいっても、やはり発売が2013年とほぼ10年前の機種であり、現在の国産デジカメの操作感に慣れてしまった感覚からするとどうしてもUIに古さが感じられる。

M10にエルマーL50mmF3.5を装着

別のショップでM10以降の機種をまとめて触れる機会があり、手に取ってみると特にライブビューでの動きのもっさり感とかピーキング表示の見辛さが解消されていることがわかった。M (Typ240) と比較すればソフトウェアの出来があきらかに違っていて、これを弄った後では正直もう戻れないと思った。予算的にはM10はM (Typ240) プラス約十数万円程度。タッチパネルを搭載するM10-Pになるとさらに10万円程度高くなり、以降も1世代機種が新しくなるにつれ10万単位で高額になる。

以上より、最後まで候補として残った3機種を比較すると以下のようになった。

本命3機種の比較表

スクロールできます

M-P(Typ240)

M10

M10P
発売年201420172018
ライブビュー対応対応対応
動画機能ありなしなし
UIの洗練度少し古い普通良い
オプションのEVFあり
   EVF2(140万ドット)  
あり
ビゾフレックス(240万ドット)
あり
ビゾフレックス(240万ドット)
価格(目安)550,000円~650,000円650,000円~750,000円750,000円~850,000円
各製品の比較

すなわち、デジタルライカの機種選びは必要な機能とどこまで予算をかけられるかのバランスの上に成り立っている。今からはじめてデジタルライカを購入するなら、現代の感覚で普通に使えるM10以降の機種をお勧めする。それ以前の機種を使ってしまうと、ある種の「古さ」に失望してしまう可能性があるからだ。もし2台目を購入することができるチャンスがあったら、そのときはM (Typ240) 以前の機種を含めてあらためて検討したらいいと思う。

M10にミノルタM-ロッコール90mmF4を装着

ライカの存在意義は?写真文化とライカ

ライカでなければいけない理由はあるか

おそらくライカ購入を検討する誰もが思うであろう哲学的理由に考えを巡らせてみよう。ご存知の通り、ライカは高額だ。国産の優秀なカメラ達の優に2倍から3倍場合によってはそれ以上のコストが掛かるが、それを圧してまでライカを使わなければならない理由が果たしてあるだろうか。もちろん、先人方がライカで撮影した素晴らしい作品はたくさん存在するが、それはライカでなければ撮れなかっただろうか。ライカでなければいけない理由がもしあるとしたら、それは何だろう。私は自分でも、なぜこんなにコスパの悪いカメラに強く惹かれるのか正直わからないのだ。

M10にズマロンL35mmF3.5を装着

ライカは現代写真文化へのアンチテーゼ

1950年代35mmカメラの頂点に立ったライカは、Nikonが一眼レフを世に送り出したことで、レンジファインダーというシステムごと一度駆逐された。一眼レフシステムのほうがより確実に被写体を捕えることが出来るのだから、世のフォトグラファーは一斉に一眼レフに乗り換えた。その後時代はオートフォーカスになり、写真を撮るということは特別なことではなくなった。そして現在最も売れているカメラはスマートフォンである。かつては写真を撮るということは露出とシャッタースピードを調整し、ピントを合わせて初めて可能となる知識と経験があってこそのものであったが、今は誰でもスマートフォンを翳すだけでほぼ失敗なく写真が撮れる。もはやカメラなんて普通の人は使わないのだ。

M10にリコーGR28mmF2.8Lを装着

だがライカは今も存在し、まあ多少便利にはなったが相変わらずピントリングを手で回して写真を撮る。失敗するかもしれないのに、あえてそういう面倒をやろうという人々がいる。そう、多分ライカは写真を記録と思っていないのだ。あえて面倒なことをしてただ記録するのではない何かを探求しようとしている。ライカは簡単に撮れる写真文化に対するアンチテーゼであり、意識的か無意識的かそこに同じ思いを持つ者が辿り着いてしまうのではないか。

ただかっこいいからであっても全然いいと思う。カメラがかっこいいなんて、もう立派な懐古主義だ。便利でもない安くもない古いシステムが未だに残り、しかもハイブランドとして君臨している。こんなカメラが他に存在するだろうか。私はこれから、ライカの謎を解明していかなければならない。

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