世界唯一のハーフサイズ一眼の実力を探る
入手後早い段階で試写を行ってはいたが、現像に出してすぐ非常事態宣言が発せられたためネガを取りに行けず、この度やっと手にすることができたので早速フィルムデュープを行った。実質的に世界唯一のハーフサイズ一眼、オリンパスペンFの実写レポートをお届けしよう。
ボディはシリーズ2代目で独自メンテナンス済みのペンFT。レンズはシリーズ標準レンズのF.Zuiko Auto-S 38mmF1.8のほか、追加で入手したE.Zuiko Auto-T 100mmF3.5の2本。PEN Fシリーズはハーフサイズなのでフィルム受光部が通常の半分となり、デジカメで言うところのちょうどフルサイズとAPS-Cのように実際の焦点距離はレンズの約1.4倍となるので、それぞれ53mm、140mm相当となる。
この2本はPEN Fレンズの中でもタマ数が多く、比較的安価に入手可能であるが、なにしろ50年以上前のレンズなのでなかなか状態の良いものには巡り合えない。今回入手した個体も決して美品という訳ではなかったが、通常撮影には問題ないようである。
それではサンプルショットをお届けしよう。使用したフィルムはフジの業務用100ネガ。現像後Z6でフィルムデュープしPhotoshopとLightroomで諧調反転と調整を行いデジタルデータ化している。尚、PENシリーズはハーフカメラということで、1ショット当たりの記録面積は半分となり、デジタルカメラでこれを1枚1枚デュープする場合明らかに画質が劣化する為、基本的に2枚1組の組み写真形式での投下となる。
ハーフでも画質は良好。撮影そのものも楽しい一台
OLYMPUS PEN F F.Zuiko 38mmF1.8 (dupe by Nikon Z6)
まずは標準レンズ38mmF1.8でのショット。これまで、OLYMPUS PEN EE-2やCanon demi EE28などいくつかハーフカメラの実写レポートを行ってきたが、一眼機だけあってダントツの高画質。カメラのクラスが違うので比較するのは筋違いかもしれないが、ハーフカメラといえば所詮は受光面が半分のお遊びカメラ・・・などというイメージを覆す写りである。
OLYMPUS PEN F E.Zuiko 100mmF3.5 (dupe by Nikon Z6)
こちらは100mmF3.5。右側のショットがかなりアンダーだったためLightroomで暗部を持ち上げたおかげでノイズが少し目立つが、写りそのものは非常に細かい部分まできちんと描写している。
OLYMPUS PEN F E.Zuiko 100mmF3.5 (dupe by Nikon Z6)
100mmF3.5は望遠域なのでピントの合った場所以外はもっとボケるかとも思っていたが、右側のショットのようにだいぶ手前にピントを持ってきても背景のボケ具合はこの程度。実はPEN Fのシャッタースピードは最速でも1/500しかないので、昼間の屋外では必然的に絞り込まないと適正露出が得られず、スペック以上にボケをつくり辛い。
OLYMPUS PEN F F.Zuiko 38mmF1.8 E.Zuiko 100mmF3.5 (dupe by Nikon Z6)
OLYMPUS PEN F F.Zuiko 38mmF1.8 (dupe by Nikon Z6)
さて試しにハーフサイズで撮ったショットを2枚1組ではなく「1枚」として処理してみた。ちょっと違うがこれはいわば拡大表示をしているようなもので、画質低下は避けられないのだが、どうだろう、思ったよりも普通に「見られる」レベルではないだろうか。撮影時にかなりの解像度が担保されていたことの証であろう。
PEN FTは露出計は付いているとはいってもAE機ではないので、露出とシャッタースピードの設定ミスも起こりやすく、様々なオート機能に慣れてしまった私としては決して扱いやすいカメラではないが、カメラを扱う手に伝わる「機械を動かしている感」がとても気持ちがいい。フィルムカメラを今更使う醍醐味のひとつがこういうところにもある。
コメント
コメント一覧 (4件)
実質的に世界唯一のハーフサイズ一眼。コニカやサムライを混ぜちゃダメ?実質的だから、やっぱりアカンか。
ドニチプロ様
こんにちわ。ご訪問ありがとうございます。
そうですね~、サムライはともかく(笑)コニカはオートレックスとかでレンズ交換もできますからハーフ一眼と言ってもいいですね。ただまあハーフ「も」いけるカメラなので、ハーフ「しか」撮影できないPenFとは立ち位置が違うのかなと。
久しぶりにPenF使いたくなってきました~
機構の設計も、デザインも唯一無二!
素晴らしいカメラです。
思想がまず素晴らしい👍
持ち歩くにも良いサイズ!
レンズもコンパクトでありながら、f1.2もある。私はf1.4と1.8しか持っていませんが!
写りも舐めては行けません。
これが、60年前に作られた!すごいですよね!
ドラ様
こんばんわ。ご訪問ありがとうございます。
まったくおっしゃる通りですね、唯一無二の存在だと思います。
それでまた、シャッターを押した感触も素晴らしいんですよね。
絶対手放したくないカメラのひとつです。