X100を50mmF2として使える純正テレコン
富士フィルムX100シリーズはレンズ固定式のいわゆるコンデジですので、装備されている換算35mmF2のレンズで撮影するしかないわけですが、たまには別の画角で撮りたいということもあるでしょう。そんなニーズに応えてX100には取り付けることで画角を変更できるコンバージョンレンズが2種類用意されています。今回はその中の1本、焦点距離を約1.4倍の換算50mmに伸ばすことが出来るテレコンバージョンレンズTCL-X100Ⅱをご紹介しましょう。
TCL-X100Ⅱは「Ⅱ」のナンバリング通りモデル2代目で、初代との違いはボディに装着した際の自動認識機能が追加されたこと。初代モデルではOVFのブライトフレーム範囲を変更させるためにカメラ側でテレコン装着用の設定をしなければならなかったのですが、Ⅱ型になりこれが自動的に認識されるようになっています。これによりexif情報も画角が33mm(換算50mm)と自動的に記録されるようになりましたので、光学は変わらなくても今から買うならⅡ型のほうをお勧めします。
Ⅰ型Ⅱ型共、初代X100から最新のX100ⅥまですべてのX100モデルで使用可能。また装着してもF値は変わらず開放F2をキープしますので、スペック的に50mmF2のまま撮影することができるのは大きな利点といえるでしょう。
取り付けはねじ式なのでスクリューマウントのつもりで
TCL-X100Ⅱの取り付け手順をお話ししましょう。
まず、レンズ前面の飾り環を反時計回りに回して外します。この飾り環はX100にレンズフィルターやフードを取り付ける際にも外す必要がありますので、頻度としては何度も付けたり外したりを繰り返すことになりがちです。そうこうしているうちに紛失してしまうことも十分考えられますので注意しましょう。
飾り輪を外すとねじ山が出現しますので、TCL-X100Ⅱを時計回りに回して取り付けます。レンズ重量は約400gと決して軽量ではないのでこれを装着するにしてはねじ山が華奢な気もしますので、取り付け後はあまり乱暴な扱いをしないほうがいいでしょう。
今どきコンバージョンレンズを取り付けるのにねじ式というのもどうかとは思いますが、考えてみればライカLマウントやM42マウントはそもそもスクリューマウント方式でしたので、これも似たようなものと思えば諦めもつくでしょう。ただ撮影中に頻繁に取ったり外したりするのは手間ですし、そんなことをしている間にシャッターチャンスを逃してしまいそうなので、予め「今日は50mmで撮るぞ!」という信念の下で使用するのがいいかもしれません。
作例と使用感・・・50mm派の期待を裏切らない良好な性能
それでは作例を投下しましょう。
まずはF8まで絞ってパンフォーカスを。一見して解像感のある良好な写りに思います。テレコンといえば後付けの飛び道具的なイメージを持ちがちですが、特段画像の歪みも感じずテレコン装着の絵とは思えません。
いつもの撮影スポットである東京は有楽町駅付近の飲み屋街スポットへ足を運びます。
通常ならピントを合わせるべき「チャーハン・餃子・ラーメン」の看板ではなく、あえて手前のコンテナにピントを合わせてボケ具合を確認。F2なのでめっちゃボケるわけではありませんが、ディテールを残した控えめのボケ方がスナップにはちょうどいいです。
「チャーハン・餃子・ラーメン」の看板のほうの撮影もちゃんとしておきました。F2開放で撮影したので自転車のハンドル付近は結構フリンジが出ていたのですが、現像時にLightroomで軽減させていますのでご了承を。
こちらは有楽町産直横丁。ここは株式会社浜倉的商店製作所が仕掛けたなんちゃって横丁のひとつですが、ここまで徹底して作り込むともはやテーマパークのようですね。昼間なのでガラガラですが、きっと夜は混むんでしょう。
画面右側の「中国四国食市」の提灯にピントを合わせました。通路の奥側は被写界深度から外れてそれなりに遠近感のある絵になりました。
こちらでは画面上の電球にピントを合わせ、背景をぼかしてみます。昭和の雰囲気の店内によく似合いそうないい具合のボケを演出できました。
やはりこのレンズ開放F2をキープできるのがウリだと思いますので、多くのショットで開放で撮影してみました。こちらのショットは人物の後姿にピントを合わせ、高架下の道の向こうをぼかす演出をしています。
実は購入前にWeb上でいろいろ作例を見ていて、画角は意図通りでも描写は少し線が太めかなと思っていました。実際にはそんなことはなく、全体的な傾向はもともとの35mmF2レンズのまま画角だけが変わったという印象です。コンバージョンレンズにありがちな画質の劣化を感じることはありませんでした。
当然35mmよりもボケは作りやすいので、そうした絵作りがしたい場合も便利に使えると思います。
近接撮影では最短撮影距離14cmまで寄れるのでこうした撮影も問題なくこなします。TCL-X100Ⅱはコンバージョンレンズとしては決して小さくないのでこれを装着するとコンデジというよりも普通にレンズ交換式カメラのようなサイズ感になってしまいますが、意外にもホールド感は良好で、かえって手振れは防げるかもしれません。レンズ径は67mmなので汎用の67mm用レンズフードとかも問題なく取り付けられると思います。
単焦点コンデジとしては殆どスキのない性能のX100シリーズですが、これを使えば画角まで変えられるという超便利アイテムといえるでしょう。普段は35mmで問題ないけれどもたまには50mmも使いたい・・・みたいなニーズのある方は是非一度手に取ってみてください。
そうなるともう1本のコンバージョンレンズ、ワイコンのWCL-X100Ⅱも気になりますね。機会があったらこちらも試してみたいと思います。
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