コンデジの枠を超えた多彩な表現力が魅力
今更購入したシリーズ旧モデルのX100Fですが、単に新機種が品薄で買えなかったからその代わりというだけではない、今でも全く見劣りすることのない実力派カメラであるということがわかりました。私はかつて同じセンサーと同じプロセッサーを搭載するX-T20という機種を使っていたことがありますが、思い返すとその描写もなかなかのものでした。
他機種に乗り換えたためレンズを含むXマウント一式は処分してしまったのですが、ふたたびFUJIFILM機を手にしてみるとその魅力は全く薄れていないことがよくわかります。確かにインターフェースの古さや、タッチパネル、手振れ補正などの様々な便利機能が旧機種には搭載されていないということはありますが、撮れる絵は今でも素晴らしいのひと言です。
X100Fならではの特徴がこの開放F2での近距離撮影の描写です。このレンズ、実は近接撮影において描写が滲むという特性があって、本来弱点なのでしょうがそれが逆にオールドレンズのような絶妙の表情を見せます。ご覧くださいこのテーブルショット。ボケ感といい色合いといい思わず二度見してしまいます。
初代X100からX100Fまで採用されたこのレンズは、5代目X100Vにおいてより現代的な写りをすると言われる新しいレンズに変更されましたので、この写りかたをするのはX100Fまでとなります。この写りを手にしたいならX100Fを導入するのが最適解でしょう。
最短撮影距離が10cmととんでもなく寄れますので、ついつい近接撮影をしてしまいます。せいぜい70cmまでしか寄れないM型ライカに比べたらずいぶんと便利に感じます。
開放でも被写体までの距離を取れば滲みが感じられなくなるのも面白いところ。写真のようなレトロな外観の被写体を狙う時はあえて開放で撮っても雰囲気良く撮れます。
手前に障害物を入れてもほどよい前ボケができるので、遠近感の演出にも。
絞ってもカリカリにシャープという印象ではなく、どこか温かみのある描写ではないでしょうか。コンパクトなカメラですので街中のスナップ用に持ち歩くにも向いていますね。
少し足を延ばして築地の本願寺まで行ってみました。ここは以前も何度か来ましたが、昼間に来るのはひょっとしたら初めてだったかもしれません。
インド寺院風の外観は何度見ても圧巻です。一瞬ここは本当に日本か?と思ってしまいますよね。西日が傾いている時間帯で暖色系で撮れましたが、見たままダイナミックに撮影できました。ついでにフジのカメラは空の色表現が絶妙で、フィルムシミュレーションをクラシッククロームに設定しましたが、あえて渋めの色合いがたまらなくかっこいいです。
室内でISOが2500まで上がりましたが、特にノイズ感もなく良好な写りでした。
こちらはISO4000ですが、画質のあきらかな低下は見られません。ひと通りいろいろなシーンを試してみましたが、期待通りの素晴らしい写りをしてくれました。コンパクトで取り回しも良く、広角ながらF2でボケの演出もでき、寄れるし時にはオールドレンズのような写りもする、楽しさてんこ盛りのオールインワンコンデジといっていいでしょう。
何といっても、ファインダーを覗いて絞りリングをコントロールして撮るというカメラ本来の使いかたで撮影できるのがとても楽しい。旧モデルにしては今少し価格は高めだとは思いますが、それだけの価値は十分にあるカメラだと思います。新機種は高くて手が出ないとか、品薄で現物がないとか、あれこれ迷っているならばこちらを早めに買っちゃうのが吉かもしれません。
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