今更買っても大丈夫?富士フィルムX100Fとは
大ヒット高級コンデジX100シリーズ4代目
初代FinePix X100が発売されたのは2011年、コンデジなのに単焦点レンズと大型APS-Cセンサー、ファインダーはOVFとEVFを両搭載、クラシックなデザインという唯一無二のコンセプトで登場したそのカメラは大ヒットを記録、その後展開するすべてのXシリーズのきっかけとなりました。
今回購入したX100FはそのX100の4代目となるモデル。発売は2017年で、すでに2020年には後継機のX100Vが発売されています。2024年3月には最新機種のX100Ⅵの発売が迫っているので、ぼちぼち2世代前の旧機種ということになります。
新製品X100Ⅵはすでに入手困難か
人気シリーズの4年ぶりの登場ということで、カメラ界隈では大きな話題となったのですが、肝心の新製品であるX100Ⅵがあまりの人気のため予約すらできず抽選販売の措置が取られたりと、どうやら当面の間入手困難である事実が発覚しました。聞くところによると噓か真か全世界で100万件のオーダーが入っているとか。仮にこれが本当であれば、入手までに数年を費やす計算になります。
2020年発売のX100Vも発売当初から品薄状態が続き、生産態勢が追い付かず注文を一時停止したままX100Ⅵの発売が決定してしまいましたから、今回のX100Ⅵも同じような道を辿る可能性は大いにあり得ます。入手困難と言われれば逆に渇望してしまうのがカメラバカ。高いとは思いつつ、懐事情の許す金額で購入できる旧機種のX100Fに白帆の矢を立てたというわけです。
Xシリーズの世界的な高騰の背景
なぜ富士フィルムのカメラは品薄なのか
もう少し品薄の事情を考察してみましょう。近年、世界的な半導体不足に加えて、石油価格や物流コストの高騰、需要の急増による部材の取り合いなどが相まって、多くの工業製品で値上げが相次いでいます。日本ではこれに加えて円安などの影響により、更に状況は芳しくありません。
このためカメラ業界もまた製品の値上げや生産の制限等で対処せざるを得ないところですが、特に目立って市場から製品の姿が消えたのが富士フィルムです。おそらく、業界首位のCanonやSONYに比べると事業規模が違い過ぎて生産体制を担保できないのでしょう。円安の影響で売るなら海外に売った方が儲かるといった事情もありそうです。
何にせよメーカーにとっては明確に機会損失となりますので、この状況があまりに長く続くとZfが絶好調なNikonあたりにじわじわとシェアを奪われそうです。富士フィルムのコア事業はすでにカメラではないのでなかなか厳しいのでしょうが、ここが正念場かもしれません。
X100FはX100Ⅵの代替機になり得るか
さて近年のX100シリーズのスペックを比較してみましょう。
X100T | X100F | X100V | X100Ⅵ | |
---|---|---|---|---|
発売日 | 2014年11月 | 2017年2月 | 2020月2月 | 2024月3月 |
有効画素数 | 1620万画素 | 2430万画素 | 2610万画素 | 4020万画素 |
センサー | X-Trans CMOS II | X-Trans CMOS III | X-Trans CMOS 4 | X-Trans CMOS 5HR |
他の特徴 | 電子シャッターを 追加 | の採用 | フォーカスレバーチルト液晶、タッチパネルの採用 | 手振れ補正機能の 追加 |
(参考※) | 新品価格145,000円前後 | 150,000円前後 | 180,000円前後 | 定価281,600円 |
(参考※) | 中古価格100,000円前後 | 150,000円前後 | 200,000円前後 | - |
当然ながらモデルが新しくなるほど価格も高くなるわけですが、X100Fは発売から7年経過した現在の中古価格が新品価格とほぼ同等、X100Vに至っては中古価格と新品価格が逆転しています。中古で購入する場合の本命はもちろんX100Vですが、X100シリーズは実質的に競合となる他のカメラが存在しない独自のポジションにあるカメラですので、シリーズ通して外観も基本コンセプトも大きく変わっておらず、たとえどのモデルであっても失望することはないと思われます。
今回選んだX100Fは2430万画素とイマドキのデジカメとして見劣りはしませんし、以前使用していた同じセンサーを採用するX-T20に好印象も持っていましたので、価格とスペックのバランスを考慮すれば十分アリかなと思いました。
7年前のモデルの使い心地は?
初代から変わらぬデザインが◎
前述のとおり、X100シリーズは初代から外観は大きく変わっておらず、元々がクラシックなデザインなので所謂古臭さはありません。カメラ然としたフォルムは万人に受け入れられる素晴らしいデザインと思います。レンジファインダーっぽいデザインなのでM型ライカを彷彿とさせますが、実際はそれよりもひと回りふた回り小さいです。
色展開はシルバーとブラックがありますが、私は所有するライカM10がシルバーなので、同じシルバーでは被ってしまいそうと思いブラックにしました。精悍な顔付きでとてもかっこいいと思います。
作例・・・必要十分な高画質
本格的な試し撮りはこれからですが、先んじて撮影した作例をいくつかピックアップしましょう。
どうでしょう、多くのシーンで問題ないどころかすごく良く撮れていると思います。レンズは単焦点23mmでAPS-Cなので35mm換算35mmという画角しか使えないわけですが、最短撮影距離が10cmとめちゃくちゃ寄れますし、F値のコントロールで画質の表情が変わったりしますので想像以上に多彩な表現ができる気がしています。
画質について詳しいところはまたあらためてレビューしようと思いますので、少々お待ちくださいませ。
旧機種でもX100らしさは健在
アナログ操作に重きを置いた設計なので多くの操作をボタンやダイヤルで行うことが出来るのは素晴らしいのですが、一点だけ気になるのは全体的なつくりに軽さを感じること。電源スイッチやダイヤルがバッグの中でいつのまにか動いてしまっていたりするので、ここはもっとがっしりつくってほしかった。価格帯が違うので比較するのは酷でしょうが、外観が似ていて発売時期が近いライカM10の重厚感のある造りとはやはり別物です。ただコストパフォーマンスは抜群と言っていいでしょう。
一時期流行った高級コンデジの枠から一歩抜け出し、いわばX100というジャンルを確立した本シリーズですが、その尖ったコンセプトゆえ好き嫌いはあるかもしれません。もしあなたが、カメラはスペックだけでは語れないと思っていて、アナログな操作感が好きで、ついでにレンジファインダー機が好きというのであれば、X100は必ず刺さるでしょう。最新機種は買えなくても、旧機種を使い倒すという方法もアリかもしれません。
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