フィルムをデジタルデータ化するアダプター
フィルムカメラで撮影したフィルムをデジタルデータ化するのに、フィルムを直接デジカメで撮影する方法(フィルムデュープ)を採っていることは過去記事にて紹介済みだが、近年はやり方も進化し、より簡単に高品質なデジタイズができるようになっている。今回は最近の私のやり方をあらためてご紹介してみよう。
フィルムをデジタルデータ化する方法はいろいろあるが、現在私が採っている方法は、ニコンのフィルムデジタイズアダプターES-2を使ってデジカメとマクロレンズにて直接フィルムを撮影するいわゆるフィルムデュープと呼ばれる方法だ。まずは前述の過去記事をご一読いただき概要を掴んでもらえれば幸いである。
写真のようにマクロレンズでフィルムを撮影するわけだが、レンズの焦点距離によってはES-2だけでは最短撮影距離の問題でピントが合焦しない場合があるので、その場合は適当な中間リングなどを介して距離を延ばす必要がある。メーカーは60mmレンズを推奨しているが、私は90mmレンズを使っているので、別途メタルリングなどを複数個介している。また実際の撮影時には、ES-2の正面からLEDライトを使ってフィルム面を照らし、これを透過させるイメージだ。尚カメラは写真ではD800だが、直近ではモニター部がチルト式でより画像を確認し易いためZ6を使っている。
以前はニコンのスライドコピーアダプターES-1を使っていたのだが、ES-2は価格は高くなるがフィルムホルダーが付属するのと、このホルダーを使うとコマを移動する際に適度なクリック感が得られ、使い勝手が格段に違うので、今からチャレンジするなら断然ES-2をお勧めする。尚余談だが、ES-1の発売時期はよくわからない(おそらく20年近く前ではないか)が、製品名が「スライドコピーアダプター」なのに、ES-2は「フィルムデジタイズアダプター」と微妙に呼び名を変えているのが時代を反映しているようで興味深い。
もともとES-2は2018年、D850の専用アクセサリーとして発売されたものであり、実はD850であればカメラ内でネガの諧調反転を行うことができる(その後、D780でもこの機能が採用されている)のだが、これらのカメラがなくてもPCにデータを取り込んでしまえばその後の処理を進めることが可能だ。
ネガならPhotoshopの諧調反転機能がラク
サンプル①
こちらはリコーのコンパクトカメラR1Sにて撮影したショットだが、まずはES-2を使ってフィルムをデジカメで撮影する。リバーサルフィルムだとそのままLightroomで調整するだけで済むが、ネガフィルムの場合は諧調反転(ネガ色調をポジ色調に変換する作業)を行う必要がある。私はPhotoshopの「諧調の反転」機能を使っている。
諧調反転を行った画像がこちら。すでにこれだけでほぼイメージ通りの画像を展開出来ている。
仕上げにLightroomでこれを呼び出し、細部の調整を行い完成。実はLightroomだけでも諧調反転は可能だが、波形を弄るのが手間だしイメージ通りの色調に整えるのが大変なので、コストはかかってもPhotoshopを使いたいところ。私はPhotoshop側では「諧調の反転」→「自動トーン補正」→「自動コントラスト」→「自動カラー補正」の一連の作業をアクション登録し、ワンクリックで作業が出来るようにしている。
サンプル②
こちらはCONTAX RTSⅡとプラナー50mmF1.4で撮影したもの。ネガ状態の画像はこんな感じ。
同じようにPhotoshopで一連の諧調反転処理を行う。
全体的に少し暗めの絵となっていたので、Lightroomで明るさなど細部の調整を行って完成。細かな調整は操作が慣れているLightroomのほうが使い勝手がいいので、PhotoshopとLightroomで作業分担をさせるのがコツだ。
いずれにしても、フィルムで写真を撮るということはフィルム代や現像費に加え、ブログで公開するにもこうした作業を行わなければならないので非常に時間も手間もコストもかかる。なにより、それでもあえてフィルムカメラを使いたいという強い気持ちが必要だ。
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