フィルムカメラで撮った写真をデジタルデータ化するにはいくつか方法がある。確実なのは写真屋さんで紙にプリントした写真自体をスキャンする方法だが、いちいち紙にプリントをするのも手間だし一枚一枚のスキャンに時間もかかるので、一般的にはフィルムを直接スキャンする方法が主流だ。そこで今回はNikonのスライドコピーアダプターES-1を使ってフィルムスキャンに挑戦してみた。
お手軽に銀塩フィルムスキャンを可能にするアダプター
そもそも現在フィルムスキャナーという存在自体だいぶ枯れた技術となっており、製品として現存するフィルムスキャナーの多くは、仕組み上フィルムを固定しそれをデジカメで撮影しているだけだ。それならばわざわざ製品を買わなくても、自分でフィルムを撮影してしまえばいいのではと思って調べたところ、本製品ES-1にたどり着いた。ざっくり言えばこれをマクロレンズの先端に取り付け、フィルムを挟んで撮影すればフィルムの撮影像がコピー(スキャンとかデュープとも言う)できるという代物である。
だが実際にはES-1はフルサイズ一眼機で焦点距離40~50mm程度のマクロレンズを使用することを想定しており、手持ちの機材がAPS-C機でマクロレンズはタムロン90mmしか持っていない私がこれを使うと、最短撮影距離の関係でそもそもピントが合わない。そこでピントが合って尚且つフィルム全体が収まるようにレンズとES-1の間にメタルフードを挟んで距離を稼いでいくと、結局ES-1意外に上記のアイテムが必要となった。メタルフードはフード先端部がネジ径となっていてフード同士で連結できるケンコー製のものが3つ、最終的にES-1の連結径が52mmなのでメタルフードを52mm径に変換するステップダウンリング、それとフィルムをES-1にきちんと固定できるようにフィルムマウントがあればベター。
これらアイテムを写真のように組み合わせていくと、APS-C機とタムロン90mmマクロでフィルムコピーが可能となる。ちなみにここまででES-1もあわせて約7千円の投資となり、廉価なフィルムスキャナーが買えてしまうので、投資に見合うものかどうかはあらかじめよく考えておくことをお勧めする。私としては根拠はないが同程度の出費であればフィルムスキャナーよりもES-1を使うほうがいい結果が得られると判断した。
撮影時はES-1先端部をLEDライト等で照らし、なるべく低感度でF8~11程度まで絞ったほうがいいだろう。できればピントもライブビューを拡大表示させマニュアルで行うとよい。フィルムにホコリ等付着することもよく起こるので、ブロアーも忘れずに用意したいところ。
リバーサルフィルムならこの後は通常の画像処理を行うだけだが、ネガフィルムの場合は少し厄介だ。そのままではオレンジのネガ色調なので、画像処理ソフトで諧調反転処理をしたうえで色調を整えていく作業が必要となるが、通常の画像処理とはやり方が違っていてトーンカーブとホワイトバランスをいじって色合いを追い込んでいく感じだ。なかなか思った通りの色合いに仕上げるのは根気とテクニックを要する。
こうして撮影したネガ画像を仕上げたのがこちらである。
Nikon F6 AF-S Zoom Nikkor 24-85mm F3.5-4.5G(IF)
さすがにフィルムスキャンでこうした複雑な樹木のショットを再現するのは難しいが、それでも全体的な雰囲気というかディテールは残している。精細さはいまひとつだがほどよく絵画調で味のある絵に仕上がった。
こちらはCONTAX G1で撮影。F8くらいまで絞ったショットで、一輪だけ咲いた花がいいアクセントとなった。
同じくCONTAX G1のショットでF2開放付近で撮影。前後のボケがアナログっぽくいい雰囲気。このように手間はかかるが思ったよりも意外とまともにスキャンすることができた。今回はネガフィルムでのスキャンだったが、リバーサルフィルムならもっといい結果が出せるかもしれない。また次回チャレンジしてみようと思う。
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