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フロンティアライト
カメラと写真好きのフツーの会社員。好きすぎてこれで生きていけないか妄想中。ときどき新旧デジタルグッズのレビューなども織り交ぜてお届けします。

CONTAX RTSⅡ QUARTZ ◆レビュー◆

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目次

CONTAX RTSⅡとはどんなカメラ?

1975年、独カール・ツァイスとヤシカが合弁で立ち上げたCONTAXの最初の機種として、鳴り物入りで発売された初代RTSに続き、改良版として1982年発売されたのがRTSⅡである。RTSはReal Time Systemの略で、「撮りたいときにシームレスに撮れる」という設計思想をネーミング化したものと言われる。

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初代RTSが発売された1975年といえば、ニコンがF2、キヤノンが初代F1の時代だが、このときRTSはすでにシャッターに電子制御技術を投下、フラッグシップながらいち早く絞り優先AEの電子カメラを展開していた。最も独創的だったのはフェザータッチと呼ばれたストローク0.7mmのシャッターボタンで、賛否はあったが「押す」というよりも「触れる」ことでレリーズする敏感な反応性を持つものであり、これがRTS名の根拠と思われる。またボディはポルシェデザインによる端正なフォルムで、ニコンともキヤノンとも違う独自の高級カメラというポジションを確立した。

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RTSⅡは外観こそ初代RTSと変わらないが、製造技術の進歩により内部構造を一新、壊れやすいことで有名であった初代に比べ、堅牢性と信頼性を大幅にアップさせて登場した。機能面では初代にはなぜかなかったPowerボタン(電源スイッチ)を実装し、ファインダー視野率が92%から97%へアップし大きく見やすくなった他、電池が切れても1/60秒の緊急用機械式シャッターが使用できるようになっている。

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先日ジャンクで入手し復活させた同じくCONTAXの137MAと並べてみると、実際にはほぼ同じ大きさなのにRTSⅡのほうが若干コンパクトに見えるのは角を取った端正なデザインのせいだろう。ワインダーを内蔵しガンガン撮影できそうな137MAも悪くないが、比べてしまうと外観だけでなく手に取った感覚やモノとしての質感もやはりRTSⅡが上と感じる。

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(左)RTSⅡ QUARTZ、(右)137MA QUARTZ

今回たまたま近所のリサイクルショップで未チェック品ということで陳列されていた個体を入手したのだが、これが奇跡的に外観が美品クラスであるうえ動作に一切の不良も見られず、モルト交換の必要すらなかった。しかし、RTSⅡに限らずCONTAX一眼は持病ともいえるミラーずれなどの症状を見極める必要があり、知識なしで購入してしまうのは高いリスクが伴う。電子カメラであるRTSⅡは電子部品に瑕疵があった場合、メーカーサポートも切れており修理が困難なので、値段にもよるがきちんとチェックしたうえでの購入をお勧めする。

それでは早速サンプルショットを投下しよう。使用したフィルムはフジの業務用ISO100ネガ。現像後Z6でフィルムデュープし、PhotoshopとLightroomで諧調反転と調整を行ってデジタルデータ化した。

作例と使用感・・・ヤシコンツァイス母艦として1台確保をお勧め

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CONTAX RTSⅡ CONTAX CarlZeiss Distagon 2.8/28 (dupe by Nikon Z6)

まずはディスタゴン28mmのショット。このレンズは過去レビューでも述べたように、広角レンズにありがちな変なクセがなく普通に撮れるのが強み。フィルム機RTSⅡに装着しても変わらず普通にそのままに撮れるので安心して使うことが出来る。ISO100のフィルムであることを考えれば結構暗めのシーンであったが、RTSⅡはボディが重いので手振れには強い。(かもしれない。)

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CONTAX RTSⅡ CONTAX CarlZeiss Distagon 2.8/28 (dupe by Nikon Z6)

F2.8は単焦点レンズとしては特段明るいというほどでもないが、開放だと意外に被写界深度が浅いこともあるのでピント位置には気を付けたい。このショットは廊下の中間あたりにピントを合わせているが手前がボケて立体感のある演出ができた。適度な色乗りもいい感じ。

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CONTAX RTSⅡ CONTAX CarlZeiss Distagon 2.8/28 (dupe by Nikon Z6)

湾曲が少ないので建築物の撮影には向いていると言われるが、確かに直線がきちんと直線のまま撮れるのはありがたい。28mmではF2ディスタゴンが伝説化されているが、安価なF2.8ディスタゴンも捨てたものではない。

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CONTAX RTSⅡ CONTAX CarlZeiss Planar 1.4/50 (dupe by Nikon Z6)

次にプラナー50mmでのショットを。こちらは新宿御苑内の並木道。この場所は私の大好きなロケーションでしばしば撮影に訪れるのだが、F値開放付近で背景を大きくぼかしてみた。とろけるようなボケとピントの合った場所の対比が素晴らしい写り。CONTAXを使うならやはりこのレンズは外せない。

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CONTAX RTSⅡ CONTAX CarlZeiss Planar 1.4/50 (dupe by Nikon Z6)

少し絞り込んで遠景の撮影。複雑な葉っぱの様子が細かく描写されており絞ってもよく写ることがわかる。

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CONTAX RTSⅡ CONTAX CarlZeiss Planar 1.4/50 (dupe by Nikon Z6)

せっかくの大口径レンズなのでF値開放付近で再び背景ボケを狙った。マニュアルフォーカスなのでとっさに人物にピントがきっちり合わせられず、デジタルなら完全に失敗写真だと思うが、フィルムの場合はまあ全体的に雰囲気良く撮れたので良しとしようかと思えてしまう。

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ヤシコンツァイスレンズはどれも銘玉揃いであり、マウントアダプター経由でミラーレスカメラで使うのも悪くないが、やはり本来のフィルム機で撮ってみるとまた感慨もひとしおだ。CONTAXのボディでは比較的安価に入手できそうな139や137MD/MAあたりは現在、いずれも程度の良い個体を見かけることはかなり少なくなった。一方で製造が比較的新しいS2以降のモデルはそれなりに高価になってしまうので、落としどころをどこにするかは悩ましいところだろう。そんな中でRTSⅡは製造は古いがかつてのフラッグシップ機でもありメカとしての造りが素晴らしく、手に持った感触が抜群にいいので、そこそこリーズナブルに入手できる機会があるなら買いと言えるかもしれない。興味のある方はまず、一度手に取ってみることをお勧めしたい。

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