SONY α7 CONTAX CarlZeiss Distagon 2.8/28 1/60 ISO640
ヤシコンツァイス広角普及機ディスタゴンF2.8
カール・ツァイスレンズを比較的安価に楽しめる選択肢のひとつとして、今はなきCONTAX製のオールドレンズを探してみるという手がある。CONTAXといえば独カール・ツァイスが1974年、日本のカメラメーカーヤシカとブランド等に関するライセンス契約を締結し、以後ヤシカの中でも高級機種に付けられたブランドである。その後1981年には京セラに事業を引き継ぐこととなるが、この時製造されたカール・ツァイス銘のレンズ群はヤシコンツァイスと言われ、その品質の高さから未だにファンが多い。
ディスタゴンはカール・ツァイス社が生み出したレンズ群のひとつで、逆望遠型の広角レンズ。広角レンズ群にはビオゴン(Biogon)もあるが、ディスタゴンはバックフォーカスを大きく取れるため構造上ビオゴン型の使えない一眼レフカメラ用に多く見られる。名称はディスタンス(距離)とゴン(角度)から採ったといわれている。
実はヤシコンディスタゴンには本機より発売の古い開放F値2.0の28mmが存在しており、こちらが流通量も少ないことから伝説的な銘レンズ扱いされているため、本機F2.8ディスタゴンはその弟分というか、普及版という位置付けとなっている。
私は同じくCONTAX G用のCarl Zeissビオゴン28mmF2.8も所有しており、いろいろ問題もあるがこちらも写りは素晴らしいレンズであった。ディスタゴンもずっと使ってみたかったレンズであり、今回やっと入手に至ったので早速レポートしてみよう。フィルム時代のCONTAX一眼用に発売されたレンズなので本来はフィルムで使うのが筋というものであるが、今回はミラーレス一眼α7に装着しデジタルでの使用とさせていただいた。そのうち機会があればフィルム機でも使ってみようと思う。
作例と使用感・・・特徴のないのが特徴の優等生
SONY α7 CONTAX CarlZeiss Distagon 2.8/28 1/60 ISO800
湾曲も少なく建造物の撮影には向いていると評されているレンズであった為、旧朝香宮邸の撮影に持参。本当ならもっと広角のレンズが適していることはわかっていたのだが、建築物の試し撮りをしてみたかった訳である。
SONY α7 CONTAX CarlZeiss Distagon 2.8/28 1/60 ISO1600
広角ながら建築物の直線部分が概ね不自然な湾曲をしないまま撮影できているようだ。
SONY α7 CONTAX CarlZeiss Distagon 2.8/28 1/60 ISO1250
本格的に建築物の撮影をするには28mmはやや狭い気もするが、変なデフォルメ感も出ないので非常に扱いやすい。
SONY α7 CONTAX CarlZeiss Distagon 2.8/28 1/60 ISO100
広角で開放F2.8は決して暗いレンズではないが、このスペックだと背景ボケはかなり控えめ。このショットでは背景がどれくらいボケるか試すために意識して開放F2.8で撮影している。
SONY α7 CONTAX CarlZeiss Distagon 2.8/28 1/400 ISO100
しかしながら実はこのレンズ、最短撮影距離が0.25mと短く結構寄れるので、撮り方によっては背景ボケの演出もできそうなのだが、今回はちょうどいいサンプルがなかった為そのあたりは別の機会に検証したい。
Nikon Z6 CONTAX CarlZeiss Distagon 2.8/28 1/160 ISO100
ただ、最短撮影距離で撮るとここまでアップで撮れることだけは記しておこう。
前述したCONTAX G用の28mmビオゴンは35mmフルサイズ(ミラーレス)で使うと周辺の流れが半端ないというじゃじゃ馬レンズであったが、本機は同じ28mmながらそのようなこともなく普通にありのままに写る。写りの面白さで言えば、ちょっとクラッシックな雰囲気で撮れるビオゴンが捨てがたいが、どう撮っても普通に写る本レンズは実は一番の素晴らしい28mmかもしれない。
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