ミノルタMロッコール90mmF4は、1972年ライカCL(ライツミノルタCL)発売の際に同時リリースされたライカMマウント互換の中望遠レンズだ。私の所有する本レンズは先日ライカCLを導入した(過去記事こちら)ほぼ同時期にたまたまフリマアプリで見かけて落札した個体であり、現物を見ずに入手に至ったため商品の状態がよくわかっていなかったものである。
入手後レンズの状態はすぐにチェックし、美品というほどではなかったが経年なりの状態で使用には耐えうると判断していたため、レンズ交換時にレンズとカメラマウントとの位置決めの目安となる赤いポッチが取れてしまっていることに気付いたのはしばらく経ってからであった。もちろんこれがないからといってレンズの性能には何ら影響はなく、もともとそれほど高価なレンズでもないので気にしなければいいだけなのだが、やはりあるべき場所にあるはずの部品が外れたままというのがどうしても気になってしまう。代わりになりそうな適当な赤い球体みたいな部品はないものかと、ビーズ玉とかいろいろ探してみたが、なかなか適当なものが見つからないままでいた。
ある時、カメラ店でジャンクレンズを漁っていたとき、似たような赤ポッチを装備するレンズが大量にジャンク箱に溜まっているのを発見し、これを外して付け替えてしまうことを思いついた。最近のレンズはコスト削減のためか赤色で着色しているだけのものが多いが、一昔前のレンズは赤いポッチを装備するものが少なくないのだ。数あるジャンクレンズの中から、赤ポッチを装備するレンズの中で最も安価なキヤノンの昔のズームレンズを200円で購入した。
持ち帰って早速赤ポッチを外してみることにした。どういう取り付け方をされているかわからないのでマイナスの精密ドライバーを使っててこの原理で慎重に力を加えていく。
ほどなくポッチが外れた。
しかしなんと、その形状はキノコ型であった。この軸の部分は不要なのでパーツを加工する必要がある。爪切りを使って不要部分をカットし、やすりがけをして全体の形状を整える。
上部の半球の部分だけに形成してから、ボンドGクリアを使って接着。プラスチックや樹脂パーツの接着をする場合、瞬間接着剤よりも、経験上Gクリアを使ったほうが失敗が少ない。
完全に接着部分が乾いてから、はみ出たボンドをカッターナイフで除去してできあがり。オリジナルを知らないので比較すればいろいろ違うかもしれないが、単体で見れば全く違和感がない。200円でできるメンテナンスとしては上出来であろう。
愛用のNikon Z6に装着してみたが、クラッシックな佇まいがとてもよく似合っている。本来このレンズを装着するはずのライカCLが現在入院中で手元にないが、当面はミラーレスで使ってみるのも悪くない。もともとこのレンズはライカ社のエルマー90mmのOEMなので設計はライカであり、描写には定評がある。機会があったら、Z6での実写レポートもお届けしたい。
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