Nikon Z6 voigtlander NOKTON classic 40mmF1.4 1/400秒 ISO100
クラシックレンズの味を残す現代レンズ、NOKTON
導入したライカCL(ライツミノルタ)(過去記事こちら)で使うレンズとして白帆の矢を立てたフォクトレンダーNOKTON40mmF1.4のレビューをお届けしよう。フォクトレンダーはもともとドイツの光学メーカーだが、現在はその商標権の許諾を受けた日本の光学メーカー「コシナ」が製造・販売をしているので、実態としては国産メーカーということで非常に高品質なモデルラインナップを持つ。
NOKTON classicは「古典的レンズ構成を最新技術で再構築し、現代レンズにない独特の描写を目指した」シリーズということで、レンジファインダー用レンズとしては価格帯もまずまずリーズナブルで入手もし易い。マニュアルフォーカスということもありかなり小型に仕上がっているが、絞りリングのクリック感や、ヘリコイドのトルク感もよく出来ていて、一眼機用のでっかいレンズにはない独特の精密感が所有欲をそそる。
マウントはライカMと完全互換のVMマウントで、距離計連動仕様でありレンジファインダー機でネイティブ使用が可能。もともと40mmが標準焦点であるライカCLで使うには、現状最も手軽な選択肢であろう。
実際に装着してみてもCLの黒のボディと一体感もありとてもよくマッチしている。せっかくなのでいつかは当時のミノルタ製Mロッコールとか、あわよくばライカ製のオールドズミクロンとか使ってみたいが、いつか程度の良い個体と出会えるまではこの組み合わせでも十分楽しめそうだ。
Mマウントレンズは手持ちのミラーレスカメラと合わせてみるのもお楽しみのひとつ。久しぶりにα7を取り出して装着してみたが、全く違和感なく納まりが良い。ただ、最近はどこへ行ってもみんなα7を持っているので、ちょっとトゥーマッチな感もある。
現在メイン機であるZ6に装着した姿がこちら。NikonのZは他のミラーレスに比べても独特のフォルムで、こうした小型レンズを装着するとモダンとクラッシックが融合したなんとも形容し難い雰囲気を醸し出す。
それではサンプルショットを投下してみたいが、折しもコロナ禍で緊急事態宣言も発令されておりそうそう外出もできず、サンプルとしては少ないが自宅の愛猫をZ6で撮影したショットのみとなったことをご容赦願いたい。
ライカレンズの代替だけではない確かな描写
まず冒頭のショットは窓際のトラを撮影したものだが、光源の位置の関係で大きくゴースト(フレア?)が2本発生している。現代の一眼用レンズであればここまで盛大なフレアはまず発生しないものだが、逆にトラの視線がこの光を追っているような構図となり印象的な一枚となっている。こうした偶発性も楽しみたいレンズだ。
Nikon Z6 voigtlander NOKTON classic 40mmF1.4 1/125秒 ISO100
今回室内撮りということもあり絞りはF2~F2.8のみ。噂通り開放付近では際立ってシャープという感はないが、きちんと解像はしている。周辺減光もそれなりにあるが、少しノスタルジックな雰囲気となってこれはこれで嫌な写りではない。おそらくもう少し絞ればかなり低減されるだろう。
Nikon Z6 voigtlander NOKTON classic 40mmF1.4 1/250秒 ISO100
40mmという画角は標準といわれる50mmよりちょい広めということで絶妙な画角だ。引けば広角っぽい構図は得られるが、最短撮影距離が0.7mと長めなので、クローズアップ、例えばテーブルフォトなんかは苦手かもしれない。ただ最近は最短撮影距離を短縮できるヘリコイド付きのマウントアダプターも登場しているので、ミラーレスで使うならそうしたアイテムを導入するのも手だ。
Nikon Z6 voigtlander NOKTON classic 40mmF1.4 1/800秒 ISO100
今回は絞り込んだサンプルがないので片手落ちではあるものの、せっかくの大口径なのでできれば開放付近で使いたいレンズであることには異論はないだろう。そのうち遠景や絞り込んだ撮影サンプルが出来た際はあらためてレポートしようと思うが、とにかく雰囲気の良い絵が撮れるのでいろいろと試してみたくなるレンズである。
Mマウントレンズといえば本命はもちろん本家ライカ製レンズであろうが、なにしろ高額揃いのライカレンズは特にアマチュア写真家にとってはそうそう手に届くものではない。ともすればフォクトレンダーはその代替品として選ばれるケースが多いのは実態としてあると思われる。しかしながら、すでにメインストリームでないレンジファインダーという市場で価格と描写力を高次元で融合させたコシナ社の理念は素晴らしいと言う他ない。今後も唯一無二の光学メーカーとして心から存続を願わずにはいられない。
コメント