AGFA OPTIMA1035 SENSER (dupe by Nikon Z6)
操作感は独特だがいたってよく写るコンパクトカメラ
ドイツのフィルムメーカー、アグファ社が1976年に発売したOPTIMA1035 SENSERの試写を行うことが出来たので、実写編をお届けしよう。冒頭はたまたまフィルム巻き上げに失敗したようで、1枚の写真に2ショットが重なって記録されてしまった多重露光のショット。本来なら明確な失敗写真なのだが、これがなんとなく不思議といい感じになった例。フィルムで撮影しているとまれにこういうマジックが起こるのが楽しい。
OPTIMA1035は絞りもシャッタースピードも一切操作できないプログラムAE方式のコンパクトカメラであり、撮影にあたり撮影者の意図は反映させ辛い。唯一ピントだけは撮影者の手に委ねられるが、こちらも近中遠の3点ゾーンフォーカスであり、細かくピントを合わせることができるわけではない。だいたい遠景側にしておけばなんとなくパンフォーカスの絵が撮れるといった感じだ。
AGFA OPTIMA1035 SENSER (dupe by Nikon Z6)
そんな感じで撮影をしたショットが大半となるが、ゾーンフォーカスでも日中ある程度明るい場所であればそこそこ絞りも閉じて、見た目の被写界深度が深めに取れたほどよい写りのショットが生産される。
AGFA OPTIMA1035 SENSER (dupe by Nikon Z6)
AGFA OPTIMA1035 SENSER (dupe by Nikon Z6)
変なクセもなく、良好な写りといえるだろう。40mmという焦点距離も絶妙で、標準より少しだけ広角寄りなだけなのに、アングルによっては広角っぽい絵をつくることもできる。この時代のコンパクトカメラにはよく搭載されていた焦点距離だが、このレンズ写りは悪くなさそう。
AGFA OPTIMA1035 SENSER (dupe by Nikon Z6)
画面右側に光線漏れのマゼンタラインが発生してしまっているが、このショット、フィルムを装填して撮影した最初の1コマ目なので、やむなしかと思う。このカメラは構造上モルトを一切使用しておらず、カメラ本体の工作精度だけで光線漏れをシャットアウトしているわけだが、実際このショット意外に光線漏れを起こしたショットはなかった。
AGFA OPTIMA1035 SENSER (dupe by Nikon Z6)
レンズフードもフィルターも付けなかったこともあって、光源の位置によってはフレアが発生するが、この時代のカメラはみんなこんなものだ。味くらいに考えたほうがいい。
AGFA OPTIMA1035 SENSER (dupe by Nikon Z6)
パンフォーカスだけでは面白くないので、意図してピントを手前にもってきて背景がどれほどボケるかを試してみた。フィルム撮影なので現像して初めてどう撮れているのか分かったのだが、なかなかいい感じにボケている。このカメラ、40mmF2.8で最短撮影距離が約0.8メートルなので、条件によってはこうした効果を得ることができる。
AGFA OPTIMA1035 SENSER (dupe by Nikon Z6)
あまり明るい場所だと多分F値が上がってしまうので、薄暗い場所でピントをわざと近距離側にセットする、というテクニックを使えば、うまくいけばこのようなショットが出来上がる。こちらも背景がほどよくボケて趣のあるショットとなった。
プラスチック外装から一見チープな印象を受けるが、むしろ軽快に持ち出せるのがOPTIMA1035の魅力だろう。デザインが秀逸なのでカメラ女子にも良く似合うのではないかと思うが、カメラとしての造りは他に類がないほどマニアックで、写りもなかなかしっかりしている。カメラ上級者にこそ一度手にしていただきたい一台だ。
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