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フロンティアライト
カメラと写真好きのフツーの会社員。好きすぎてこれで生きていけないか妄想中。ときどき新旧デジタルグッズのレビューなども織り交ぜてお届けします。

Canon FTb ◆レビュー 修理・メンテナンス編◆

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目次

ジャンクのFTbは復活できるか挑戦

近所のハードオフで無造作に並べられていたジャンクカメラ群の中から1台、見込みのありそうなやつを救済してきた。1971年発売の当時のキヤノンの中堅機FTbである。店頭では簡易チェックのみ行ったが、とりあえずシャッターは切れて、バルブも含めシャッタースピードは可変しているようであった。ミラーも動いているし、汚いがファインダーも覗ける。あとは、わからない。レンズもジャンクだったがついでに購入してみた。

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キヤノンFTbは当時のフラッグシップであったF-1と同様のTTL開放測光、追針合致式のメーター情報などを備え、基本性能はF-1と同一であることから多くのアマチュア写真家に愛用されたという。中古市場では前世代のFTも含めてタマ数は多いが、絞り込み測光のみのFTに比べ圧倒的に使いやすいはずなので、この時代の機械式キヤノン一眼レフを導入するなら本機FTbにしたほうが無難だろう。

まずは基本的な動作チェック

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まずは露出計が動くかどうかのチェック。FTbは機械式カメラなので露出計が動かなくても撮影自体は可能だが、機能として装備されている以上は動いた方がいいに決まっている。使用する電池はMR-9型水銀電池で現在は生産されていない為、市販のボタン電池LR44やSR44をMR-9形状に変換する専用のアダプターを使った。オリジナルと電圧が違うので多少の計上誤差は生じるが、実用上はさほどの問題にならない。

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フィルム巻き戻しクランク横のレバーでバッテリーチェックが出来る。

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FTbはレンズを装着していないと露出計が動かないとどこかで聞いた気がしていたが、やってみるとレンズを外していても「C」側で針が動き、「ON」側では光量に応じて針が上下することを確認できた。精度はともかく少なくとも露出計は生きているようだ。ひと安心はしたものの、ファインダー内はご覧の通り汚れ放題である。

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これではモチベーションが下がるので、とりあえず外側から清掃できそうな場所を無水エタノールで拭いてみた。まずはファインダー接眼部。

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そしてミラーと、フォーカシングスクリーン。これでだいぶ改善されたが、依然として細かな塵が居座っている。ひょっとしたらプリズムが腐食していることも考えられるので、どこまでできるかわからないが、分解してスクリーン内部にアクセスしてみることにした。

ファインダー内の分解清掃をしてみよう

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ボディ軍艦部を外すには、まずフィルム巻き上げレバーを解体していく。カニ目コンパスでレバー上部の飾り蓋を外していこう。

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続いてシャッタースピードダイヤルも同様に外していく。このダイヤルは元に戻す際に外した時と同じ位置で戻す必要があるので、シャッタースピードとISOがどの位置にあったかを写真に撮っておくなど記録しておくことをお勧めする。

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いずれも元に戻す際にパーツの順番がわからなくならないように、外した順番で並べておくのがよい。

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フィルム巻き戻しクランクを外す。この外し方は多くのカメラと同様、ボディ内部でレバーを固定した状態で、クランクを巻き戻しとは逆側に回すことで外れる。

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ネジを精密ドライバーで4か所外すと軍艦部を外すことが出来た。フラッシュ部とボディを繋ぐケーブルが這っているので注意。

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プリズムを固定している金具を外す。ちなみにこの金具の裏側にはモルトが張り付けてあるが、経年劣化で粉状になってしまっている為、清掃して新しいモルトに交換する必要がある。この粉状になったモルトがプリズム部に入り込み腐食が始まるというわけだ。

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しかし幸いなことに、今回プリズムは腐食もなく綺麗な状態であった。こちらも軽く清掃しておく。

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プリズムを外すとやっとコンデンサーレンズ部が現れた。実はこの時、ファインダー内に出現する露出計のメーター針に直接触れることができてしまうが、この針が非常に細く華奢なパーツなので、下手に触ってしまうと折れたり曲がったりするリスクがある。見た感じそれほど汚れている様子はないので、ブロアーで吹いておくに留めることにした。ファインダー接眼部の内側はここで清掃できるので、忘れずにやっておこう。

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清掃を終えたらプリズムを元に戻す。このプリズムの位置は意外と深いので、納める位置を間違えるとファインダーを覗いたときにプリズムのエッジ部が視野に入り込んでしまう。慎重にあるべき場所までしっかり押し込む感じで設置しよう。しかし再組み上げしファインダーを覗くと、まだ黒点が残っている。実はファインダーブロック内側、コンデンサーレンズとフォーカシングスクリーンの中間にもう一階層空洞があるようで、ここに入り込んだと思われる塵が除去できないままなのだ。これ以上解体するのはリスクが高いと判断、今回の分解はここまでにしておくこととする。

モルトの清掃・交換をしてみよう

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モルトは劣化しボロボロなので、全面的に貼り替えを行う。シャッター幕保護のため養生をしたうえで、爪楊枝や綿棒と無水エタノールを使って劣化したモルトを除去。

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ボディ横部は、この機種特有のクイックローディング(QL)機構が邪魔になって掃除し辛いので、裏蓋は外してしまったほうがいいかもしれないが、今回はそのまま清掃を行った。

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新しいモルトを貼り付け完了。

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マウント内部のミラー上部にもモルトを忘れずに貼っておく。

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最後にボディ全体を無水エタノールとソフトコンパウンドで磨き上げてメンテナンス完了。別途正常なレンズを装着したうえで露出計の動作確認をしたが、精度は多少怪しいが何とかなりそうだ。若干シャッターに粘りを感じるので、場合によっては給油もしたほうがいいかもしれないが、一旦これで様子を見ることにしよう。ちなみに、同時に購入したジャンクレンズの方は分解痕があり、絞り輪が稼働しない完全ジャンクで全く役に立たなかった。機会があればこちらもメンテしてみたい。

FTbの分解レポートはWebにたくさんアップされているが、特に参考となった記事をご紹介しておこう。

Canon FTb復活記(niko nikoのブログ)
Canon FT QL 分解修理(THE FL LENS WAKUWAKU MarkⅡ)

当たり前だが、カメラの分解はリスクを伴う行為であり、すべて自己責任でお願いしたい。

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