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フロンティアライト
カメラと写真好きのフツーの会社員。好きすぎてこれで生きていけないか妄想中。ときどき新旧デジタルグッズのレビューなども織り交ぜてお届けします。

Nikon L35AD ◆レビュー◆

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目次

ニコン初のコンパクトカメラ”ピカイチニコン”とは

L35AFとL35ADは1983年、一眼レフシステムを牙城としていたニコンにとって初めて手掛けたコンパクトカメラである。愛称は「ピカイチニコン」。当時のトレンドであるプラスチック製ボディ、フラッシュ内蔵、オートフォーカスというテンプレートに沿ったコンパクトカメラではあったが、なにしろコンパクトカメラを初めて手掛けたこともあって、技術者は手の抜きどころがわからず相当に手の込んだモデルに仕上がったという逸話がある。

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デザインはニコンの一眼レフも手掛けたジウジアーロの手によるもの。ボディはプラスチック製でありぱっと見一般的なプラカメラに見えるが、他の同価格帯のコンパクトカメラと決定的に違うのが搭載するレンズ。35mmF2.8の単焦点レンズは、このクラスでは一般的に使われていた40mm程度のテッサータイプではなく、手のかかる4群5枚の35mmゾナータイプを採用している。

このレンズにはニコン製レンズ銘「ニッコール」が使われていないものの、正真正銘ニコンがニッコールと変わらない思想で設計したもので、写りには定評があった。その後のピカイチシリーズ後継機はコストダウンが図られレンズ構成が変わっているため、このハイスペックレンズを搭載しているのは初代のL35AFとL35ADのみである。

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こうした伝説のコンパクトカメラであるから、いつか使ってみたいと常々思っていたところ、たまたまジャンク品とめぐり合い購入してみた。ジャンク品と判定されていたので故障品だろうと思いつつ、電池を入れて動作確認したところ全く動作しなかったが、数時間放置した後再度試してみたところ、理由はわからないが突然動き始めた。だいぶ汚れていたので全体的に清掃を行い、ジャンクだったはずのL35は見事に復活を遂げた。

尚、L35AFとL35ADの違いはボディ背面のデート記録ユニットの有無のみだが、このデート日付の設定が2009年度までしかなく今となっては用途がない為、入手に当たってはデート機能のないL35AFでも問題ないと思われるが、ADはフィルムローディングの際青い小窓のストライプが回るという演出があるので、フィルム装着に不安がある方はひょっとしたらADのほうが目で確認できていいかもしれない。

それでは早速サンプルショットを投下しよう。使用したフィルムはフジカラーC200ネガ。現像後D800でフィルムデュープし、PhotoshopとLightroomで諧調反転と調整を行ってデジタルデータ化した。

ニコンらしい質実剛健なカメラ。写りも素晴らしい

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Nikon L35AD (dupe by Nikon D800)

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Nikon L35AD (dupe by Nikon D800)

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Nikon L35AD (dupe by Nikon D800)

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Nikon L35AD (dupe by Nikon D800)

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Nikon L35AD (dupe by Nikon D800)

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Nikon L35AD (dupe by Nikon D800)

フィルムがISO200なので若干粒子感ありまたノイズも乗っているが、日中の屋外というロケーションでは十分にシャープでメリハリのある写りだ。基本的にはパンフォーカスのカメラで、かなり条件が揃わないと背景ボケとか狙えそうにないが、描写は非常に細かく期待以上のものである。中央部に比べると周辺部の描写は怪しいが、このクラスのカメラにそこまで要求するのは無粋というものだろう。一方では開放付近のショットが皆無となってしまったので、そこはまた次の機会に試してみよう。

オートフォーカスは黎明期ということもあり挙動が疑わしいこともあったが、撮れた写真で明らかにピントを外したショットはなかった。このあたりゾナータイプのレンズを採用して、見かけ上の被写界深度を深く取った設計が生かされていると思われる。

また撮影していて感じたのは、フルオートのコンパクトカメラながら細かいところに配慮がされているということだ。このカメラは光量の少ないシーンではフラッシュが自動でポップアップするが、その後手で押し込むとちゃんと発光をキャンセルできる。レンズ脇には逆光時を想定した+2EVの露出補正レバーも備えている。オートフォーカスが怪しい分、だいたいどのくらいの距離にピントを合わせたかをファインダー内のメーターで確認することもできる。

なにより特殊なのは、撮影後自動フィルム巻き上げを行うと、巻ききってもフィルムの端っこがパトローネから少しはみ出た状態で完了するということ。この仕様は自宅現像など行う場合に相当便利であったに違いない。基本的にシャッターを押すだけで簡単に撮れる万人向けカメラの位置付けでありながら、根底にはプロまたはハイアマチュアの使用をも想定していたことが窺える。

今となってはコンパクトカメラと言ってもさほどコンパクトでもなく、プラ外装で高級機種でもないが、機会があったら一度手にとってみることをお勧めする。実にニコンらしい、生真面目さが伝わるカメラである。

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