FUJIFILM X-T20 FUJINON XF55-200mmF3.5-4.8R LM OIS F3.5 1/850秒 ISO400
Xシリーズ普及価格帯望遠ズーム
富士フィルムXシリーズにラインナップされている望遠ズームでは普及価格帯にあるのがXF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS 。35mm換算でおよそ80-300mm相当となり、1本で望遠レンズに求められる画角を広くカバーするとともに、まずまずのサイズ感で取り回しの良いのが特徴だ。
実際のところXシリーズにおいて望遠レンズのラインナップはさほど多くないが、やはり気になるのは焦点距離が被るシリーズ廉価機XC50-230mmF4.5-6.7 OIS の存在だろう。こちらも廉価機ながら画質は一定のクオリティを保っており(過去記事こちら)、価格差がほぼ倍となる本機XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS にどれだけのアドバンテージがあるのかを検証してみたいところ。
(左)XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS 、(右)XC50-230mmF4.5-6.7 OIS
2機種を並べるとXF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS が多少大きい程度に見えるが、フィルター径も62mm(XC50-230mmF4.5-6.7 OIS は58mm)と差があるので実際に構えてみるとひと回り大きく感じる。F値も1~2段明るいので描写には期待してしまうが、それ以前にもろプラスチッキーな外観のXC50-230mmF4.5-6.7 OIS に比べモノとしての質感が明らかに上なので、やはり一度こちらを持ってしまうとXC50-230mmF4.5-6.7 OIS はチープに感じてしまう。
(左)XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS 、(右)XC50-230mmF4.5-6.7 OIS
共通するのは2機種ともズーミングした際の銅鏡がかなり伸びるところで、望遠端までズームした姿は控えめに言ってもいけてないとしか言いようがない。廉価機であるXC50-230mmF4.5-6.7 OIS なら諦めも付くが、XFクラスの決して安価とは言えない価格帯であるXF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS が同じような形であるのは残念なところだ。
それではサンプルショットを投下しよう。
描写は及第点も価格は割高か
まず第一印象は望遠レンズなのに思った以上にボケにくいということ。冒頭のショットはF値開放で中央付近の女性にピントを合わせたもので、意図としては社殿はもっとボケてほしかった。AFの正確さや描写そのものは良好と言えるがボケをつくりたければF値を開けることはもちろん、背景と被写体の距離など相当意識する必要がありそうだ。
FUJIFILM X-T20 FUJINON XF55-200mmF3.5-4.8R LM OIS F3.7 1/950秒 ISO400
被写体と背景の距離を十分にとって背景ボケをつくったショットがこちら。
FUJIFILM X-T20 FUJINON XF55-200mmF3.5-4.8R LM OIS F5.6 1/850秒 ISO200
さらに被写体と背景に距離をとったショット。ほぼテレ端での撮影であり圧縮効果も出ている。ただボケ方は条件によって色々のようで、木の枝が2重ボケっぽくなってしまっている。
FUJIFILM X-T20 FUJINON XF55-200mmF3.5-4.8R LM OIS F4.8 1/1800秒 ISO200
普通に遠くのものを引き寄せて撮るには良好な描写力を見せる。
FUJIFILM X-T20 FUJINON XF55-200mmF3.5-4.8R LM OIS F4.2 1/960秒 ISO400
換算300mmまでをカバーする望遠レンズとしては取り回しもよく、4.5段分という強力な手振れ補正も装備し幅広いシーンをカバーできるので、Xシリーズユーザーなら持っていて損はない1本である。しかしながら、シリーズ最廉価のXC50-230mmF4.5-6.7 OIS もF値は暗いがなかなか侮れない描写をする為、倍の値段を出す価値があるかと言われると正直割高に感じる。モノとしての上質感とか、見た目の高級感というアドバンテージはあるが、望遠を使用する頻度が高くないならXC50-230mmF4.5-6.7 OIS でもさほど困ることはないだろう。それらを考慮して尚こちらを選ぶ価値があるかどうかは、よく考えて選択するべきだ。
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