ハイマチックシリーズ初のプログラムEE専用機
1962年、有人飛行衛星フレンドシップ7号に観測用カメラとして搭載され「人類初の宇宙へ行ったカメラ」として一躍有名になったのがミノルタHI-MATIC初号機。その後シリーズは約20年に渡って展開されるが、今回入手したのは1971年発売のプログラムEE専用機であるHI-MATIC Eだ。ROKKOR-QF 40mmF1.7という当時としても高級クラスの明るいレンズを採用し、フルオート機ながら写りには定評があった。
今回入手した個体は某大手フリマアプリに出品されていたもので、動作未確認の代わりに安価な価格設定となっていた。実はこのカメラは電池がないとシャッターが切れないが、適合するHM-N(NR52)型水銀電池はとっくに生産完了されており現在では入手不可能な為、ある程度の知識がなければ動作確認ができない。このため、外観に問題がなくても動くかどうかは弄ってみるまで全く不明であった。
メンテナンスのポイントは「導通」
実際に入手してみるとレンズにカビや曇りもなく、年式を考えれば外観はまずまず美品といえるものであった。全体的な清掃は無水エタノール等で行うとして、今回のメンテナンスポイントは以下3点となりそうだ。①導通チェックによる電気回線の確認②HM-N(NR52)型水銀電池の代替品の用意③モルト張り替え。機械式カメラのメンテナンスはほぼ清掃だが、電子式カメラの場合は電気が通っているかどうかがポイントとなる。
導通チェックによる電気回線の確認
電池室を開けるとなんと当時の水銀電池が入れっぱなしであったが、幸いなことに液漏れは起こしていなかった。まずはテスターで電気回路が正常かどうかの確認を行おう。ここで断線でもしていた場合は分解修理となるので難易度は格段に上がってしまうが、今回はきちんと導通していた。これなら、解体をせずに済みそうである。
HM-N(NR52)型水銀電池の代替品の用意
となるとやらなければいけないのはHM-N(NR52)型水銀電池の代替品を用意することだ。通販などで入手できるLR44ボタン電池をHM-N型に変換するアダプターを用意するのが最適と思われるが、意外に高価なので別の方法を模索してみよう。よくネットに挙がっている方法として、LR44ボタン電池を2個直列に重ねて片側に設置し、もう片側にはアルミホイルを適当に丸めて通電させるというものがあるが、ちょっと乱暴な気がするのでもう少しだけ工夫してみる。用意したのは単三電池ボックス。
この電池ボックスのスプリング部分を切り出し、LR44のプラス側に設置した状態で側面をビニールテープなどで巻いて固定する。単三電池ボックスはホームセンター等でも100円前後で入手できるので、電池を含めても非常に安価に簡易アダプターが出来上がる。
作成した電池をカメラにセットすると、シャッターボタン半押しで無事バッテリーチェックランプが点灯した。尚、ファインダーを覗くとファインダー内には緑のランプが点灯し、光量の十分な場合はそのままシャッターが切れるが、シャッタースピードが1/30以下で手振れの危険性が高い場合は赤いランプが点灯するという一連の動作も正常であった。
モルト張り替え
モルトは完全に死んでいたので全張り替えを行った。モルトの張り替えもこれで5台目くらいになるのでだいぶ慣れてきた。
今回は場合によっては解体と配線交換が必要かと思われたが、内部状態に異常がなかったため意外に簡単にメンテナンスが完了した。少し使ってみて何かあったらまた細部をチェックしてみよう。実写レポートはまた後日。
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