■ついに登場した次世代 iPhone”X”
ついに次世代iPhoneとも呼ばれる”X”(テン)が登場した。ナンバリングでいけば「9」をすっとばしていきなり「10」である。次世代を象徴する名を付けたかったのだろう、いかに「10」にかこつけて「X(エックス)」の文字を使いたかったのか想像に難くない。事前に品薄が噂されていたが、予約開始時間にオンライン予約を済ませたことが幸いしてか、発売日当日に無事入手することができた。
iPhoneは6Plusを現在まで使用していたから約3年ぶりの機種変更となる。その間カメラ機能の向上には興味があったものの、スマートフォンとしてさほどの不自由も感じていなかったので慌てて機種変更する必要もなかったが、Xになってフルモデルチェンジとなったことでようやくその気になった。
現物を見る前に予約をしてしまったため、いざ購入し手にしてみて初めて6Plusより画面表示が小さいことがわかって愕然とした。画面サイズは数値上6Plusが5.5インチ、Xが5.8インチなのでてっきりXのほうが大きいものとばかり思い込んでいたが、実際は写真の通り、縦には大きいが横は小さい。これだとアスペクト比の関係上幅が狭くなるので、全体としてはXのほうが表示が小さくなってしまうのだ。一瞬、8Plusに機種変し直そうかと思った。
だが、しばらく使っているとPlusよりも小さいだけあって持ちやすさは上だし、ポケットへの納まりもよく扱いやすいことに気付き、気持ちを切り替えることにした。肝心の機能に関して言えば、さすがは最新のプロセッサーを使っているだけあって動作は機敏でストレスがないし、有機ELのディスプレイは美しく高精細で申し分ない。目玉である顔認証機能FaceIDは便利だが、この時期マスクをしてしまうと顔を読み取れなくなってしまうのでここは注意が必要だ。
あまり語られていないが、(6Plus比で)Bluetoothでのイヤホンの音質ははっきり向上していた。以前購入した安価なBluetoothイヤホン(過去記事こちら)での音質がびっくりするくらい良い音になっていて得した気分になった。ワイヤレスでのリスニングに最適化されたチューニングがなされているのだろうが、一方でLightning経由での有線イヤホンの音質は特に改善されておらず、このぶんだと市場でのリスニング環境のワイヤレス化に拍車がかかりそうだ。
■進化したカメラ機能。サブカメラとしても魅力的
iPhone Xのカメラは望遠側がF2.4と口径が大きくなり、また、広角・望遠どちらも光学式手振れ補正に対応するなどスペックの強化が図られている。冒頭のショットを見ていただきたい。夕暮れで薄暗くあまり条件がいいとは言えないシーンだが、これだけ美しく撮ることができる。周辺の湾曲とかいろいろと至らない点はもちろんあるが、確実に性能は向上しているようだ。
7から実装した広角・望遠のダブルレンズのおかげで二つの画角を使えるのも嬉しい。画角は35mm換算で約28mmと58mm相当とのことで、デジタルズームしかなかった頃に比べて画質面で圧倒的に有利になった。このショットは冒頭の同じ場所から望遠側のレンズを使って撮ったもの。画角の違いがわかるだろう。
こちらは完全に夜間のショット。何度も言うがiPhoneでこれだけの絵が撮れるとは本当に驚きである。但し、夜景も撮れるとは言ってもある程度の明るい夜景の話であり、本当に暗い場合はそれなりの結果にしかならないことは覚えておこう。夜景を撮る場合は特に少しでも明るい場所を選びたい。
そしてこちらも7から実装したポートレートモードによる背景ぼかし機能。二つのレンズを駆使して疑似的にぼかしを作っているわけだが、たまにあきらかな不自然なこともあるとはいえまるで一眼で撮ったかのような大胆な背景ボケを演出できる。一見してこれがiPhoneで撮った写真とわかる人はそれほどいないのでは。
もう一枚ポートレートモードでのショット。工夫次第でおもしろい仕上がりになるので積極的に使いたい。
実は6S以降のiPhoneは対応するアプリを使用することでRAW記録ができるようになっているため、サブカメラとしても心強いデバイスとなっている。当然JPEGよりも高い画質が期待されるが、例えば対応するアプリであるLightroomCCを使うと、このアプリで撮った写真はデフォルトのフォトストリームには反映されないので、あとから写真を見るのにいちいちアプリを起動する必要が生じる。加えてRAWで撮った写真はJPEGよりもファイルサイズが大きくなるし、またこのアプリではポートレードモードを使えないので背景ボケの演出もできない。こうした制約があってなおどうしてもRAW記録をしなければならないのかは考えどころであろう。
iPhoneのカメラにどこまでの性能を求めるのかは人によってさまざまだろうが、そもそも写真を撮るのに最も大事なことは、撮りたいときにカメラを持っていることである。スマートフォンはいつも持ち歩くガジェットであるからこそ、最強のデバイスであることは間違いなく、中でもおそらくiPhone Xはトップクラスの高画質といえるだろう。その意味ではiPhoneXはサブカメラの位置付けを超えた最強のカメラなのかもしれない。ただ、同じくダブルレンズを搭載している8Plusとの差はそれほど大きくないので、より大きい画面表示がいいと思うなら8Plusを選んでもいいだろう。
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