FUJIFILM X-M1 CONTAX(G)Planar2/45mm 1/1800秒 ISO400
FUJIFILM Xで使うCONTAX Gレンズ
CONTAXのレンジファインダーGシリーズ用の単焦点レンズは銘玉揃いだが、ミラーレスカメラの出現によりマウントアダプターを介してこれらオールドレンズを現代によみがえらせることができるようになってから数年経つ。私も特に人気の高い28mm、45mm、90mmを所有し、SONYのNEXシリーズやα7で使用して遊んでいたが、最近FUJIFILMのX-M1を使うようになったので、FUJIFILM機でもこれらレンズを使ってみたくなった。今回、ノーブランドのFUJIFILM Xシリーズ用CONTAX Gマウントアダプターを入手したのでレビューをお届けしよう。
CONTAX Gレンズはレンズ自体にピントリングを持たない独自構造のため、マウントアダプター側にピントリングを用意するという特殊形状となっている。以前SONY用にKIPON製アダプターを購入した頃は(過去記事はこちら)、製造メーカーも少なくそれなりに高価な製品であったが、現在ではいろいろなメーカーから発売されていて、当時より値も下がった。今回はマウントアダプターの取扱いでは業界大手の焦点工房が発売しているノーブランドの比較的安価な製品を選んでみた。
形状的にはKIPON製とほぼ同じだし焦点工房が販売するものだからクオリティは一緒だろうと思っていたが、実際に使ってみるとピントリングに引っ掛かりがありスムースに回せない。レンズをセットした状態で何度もリングを回して慣らし操作を続けることでだいぶ回しやすくはなったが、最初からスムースに稼働したKIPON製とは価格が違うだけの理由があるようだ。きちんとしたクオリティを担保したいならKIPON製を購入するなど1万円程度の出費を覚悟するべきと思うが、それでもまあ半額以下で買えるし使えないことはないので、導入を検討している方はこの点妥協できるかどうかよく考えてから購入することをお勧めする。
念のため言っておくと、FUJIFILM機で使う場合はAPS-Cなのでレンズの焦点距離は約1.5倍になってしまうこと、電子接点がないのでマニュアルフォーカスのみとなること、撮影データにEXIF情報は一切伝達しないことなど、「マウントアダプター遊びの常識」はあらかじめ理解しておくべき点だ。実のところ数年前SONYのNEX-5やNEX-6で使ったときは、そもそもEマウントレンズのラインナップが絶対的に不足していて、バリエーションを増やすという目的もあり便利に使っていたが、数年経って今は各社レンズのラインナップがそこそこ充実しているため、上記のような制約があってもどうしてもCONTAX GレンズをFUJIFILM機で使ってみたいという強い気持ちがなければ、こんな面倒なことはあまりお勧めしない。
とはいえ外観だけで言えばFUJIFILM Xシリーズのクラシカルなフォルムにはとてもよく似合っている。しかしX-M1の場合ファインダーがないのでマニュアルフォーカス時はピーキング表示機能はあるにしても使い勝手がよいとまでは言えない。X-ProoやX-Tなどファインダーを内蔵するモデルであれば、ピント合わせもだいぶラクにはなるはずだ。
それではサンプルショットを投下しよう。
X-Transセンサーとの相性は良好、使い勝手は難あり
まずは冒頭のショット。交差点で信号待ちをする女性の後姿をPlanar2/45mmで撮影。F値開放としできるだけ背景をぼかしてみた。プラナーお得意の大きく自然なボケを得られ人物が浮き立つような演出を楽しめる。大口径レンズならではのショット。
FUJIFILM X-M1 CONTAX(G)Planar2/45mm 1/300秒 ISO400
ふたたびPlanar2/45mm。このレンズはどちらかといえば先のような開放付近で背景を大胆にぼかした絵が得意と思うが、少し絞って撮ってみたもの。描写は精細で見事なものだがせっかくのプラナーなのだからやはりボケを作ってあげたほうがレンズの特性としていいかもしれない。ちなみにAPS-Cで使った45mmは35mm換算65mm相当と中望遠になる。
FUJIFILM X-M1 CONTAX(G)Biogon2.8/28mm 1/950秒 ISO200
Biogon2.8/28mmを装着したショットでF値は5.6くらい。精細かつコントラストが高い独特の古っぽいテイストもビオゴンならでは。Lightroomで現像・調整しており撮って出しではないが、FUJIFILMのX-Transセンサーの色再現能力との相性も良くなんとなくフィルムっぽい写り方でもあり好印象。このレンズはSONYのAPS-C機で使用した場合に、画面周辺部がうっすらとマゼンタかぶりを起こす場合があったが、X-M1ではご覧の通りマゼンタかぶりは全く発生しないことが判明した。
FUJIFILM X-M1 CONTAX(G)Biogon2.8/28mm 1/480秒 ISO400
同じくBiogon2.8/28mm。35mm換算で約42mmとほぼ標準域として使うことになる。実はこのレンズ、フルサイズ機であるα7で使ったときは周辺部が尋常でなく流れるという難点があったが、APS-Cで使うとそのあたりがばっさりカットされて中央部の美味しい部分だけが残るのである意味APS-C向きといえる。
FUJIFILM Xシリーズはなんといっても全機種APS-Cなのでマウントアダプターを使うと本来の画角で楽しめないという欠点があるが、それでもFUJIの色がオールドレンズでどう表現されるか興味が尽きないところである。マウントアダプター遊びも最近は一巡して以前ほど流行っていないと思われるが、たまにはこうしてじっくりとピントリングを回してみるのもいいかもしれない。
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