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フロンティアライト
カメラと写真好きのフツーの会社員。好きすぎてこれで生きていけないか妄想中。ときどき新旧デジタルグッズのレビューなども織り交ぜてお届けします。

CONTAX Carl Zeiss Planar T* 85mm F1.4 AEG ◆レビュー◆

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Nikon Z6 | CONTAX CarlZeiss Planar T* 85mm F1.4 AEG | F2 1/800 ISO100
目次

伝説のポートレートレンズ、プラナー85mmF1.4

CONTAXの看板レンズ、プラナー85mmF1.4を導入しました。発売は1975年、ドイツの名門光学機器メーカーであるCarl Zeissとの提携を実現させたヤシカがCONTAXブランドを復活させたと同時にローンチした17本のレンズの中の1本です。ご存知の通りCONTAXは後の2005年、当時の運営会社である京セラがカメラ事業から撤退したことにより消滅してしまいましたが、発売から50年近く経った現在でもポートレートレンズの代名詞となっています。

なんといってもこのレンズ、開放時のふんわり温かな雰囲気と、絞った際のクリアで透明感のある描写の二面性が楽しめるのが最大の特徴。現在では同等のスペックを持つレンズは珍しくもないですが、その描写力はいまだに多くのカメラマンを魅了し続けています。現在中古市場ではタマ数こそ少なくないですが、経年によりレンズに拭き傷や曇りが生じている個体が多く見られるところ、今回出会った個体はかなり良好な状態を保っていました。

早速手持ちのCONTAX RTSⅡに装着してみましょう。レンズが大きめですが、ワインダーユニットを装着したRTSⅡにとてもよく似合います。もともとカメラのほうはデザインがポルシェということもあってとてつもなくかっこいい姿になりました。

次に139に装着してみます。139はCONTAXのラインナップでもかなり小型のカメラなので、レンズの大きさがひときわ目立って少しアンバランスな感は否めません。まあアンバランスだからといって実用上は大きな問題にはならないでしょう。

現在愛用のNikon Z6に装着しても違和感なく納まっていますね。最近では銀塩フィルムも高価ですので、現実的にはこうしたミラーレスカメラに装着してデジタル機で運用するケースが多いと思います。今回は試し撮りもこのZ6で行っています。

AE型とMM型及び生産国の違いについて

ところでCONTAXレンズにはAE型とMM型があります。簡単に言えば製造年月の違いによるものですが、初期型のAE型はマニュアルモードと絞り優先モードにのみ対応しており、後期型のMM型は更にシャッター優先モードとプログラムモードにも対応、そしてそれぞれに生産国がGermanyの(G)とJapanの(J)があるため、都合4種類(AEG、AEJ、MMG、MMJ)が存在しているのです。

MM型は鏡胴の内面反射処理が施されたり、絞り形状の変更により絞り値開放付近でのギザギザ丸ノコ形状が改善されていますので、単純に工業製品として見ればMM型のほうが優れているといえますし、市場価格もMM型のほうがやや高価です。「絞り値開放付近でのギザギザ丸ノコ形状」とはどのような形かというと、これです。

どうです、現在の技術水準からすると信じられない設計でしょう。F5.6まで絞るとほぼ解消されますが、特定の条件下では光芒がこのままの形状で撮れてしまいますので気になる方は注意が必要です。

見分け方ですが、AE型は絞り値の最大値F16の文字が白色に対して、MM型はここが緑色であることで区別が出来ます。

尚、生産地はレンズ鏡胴に「Lens made in ~」が刻印されていますので一目瞭然です。

但しこうしたスペックだけで語れないのもまたオールドレンズの世界。AE型の独特の緩さやオールドレンズらしい描写を求める愛好家がいることもまた事実です。よほどのマニアでない限りはなかなか両方購入して撮り比べまでできないでしょうから、私の提案としてはAE型MM型での区別というよりも、購入時に目の前にあるレンズそのものの傷や曇りなどの状態の良し悪しで決めてしまってはいかがでしょう。オールドレンズとの出会いは一期一会ですから。

美しいボケと立体感が見事も、光芒の形状とフリンジには注意

Nikon Z6 | CONTAX CarlZeiss Planar T* 85mm F1.4 AEG | F2 1/200 ISO100

それでは作例を投下しましょう。せっかくの大口径レンズなのであえてF値は大きく絞ることなく、かといって開放F1.4の描写はサンプルとしては甘すぎで評価し辛いので、間を採ってすべてF2で撮影しています。F2でもピントを合わせた部分はすっきりとシャープなので心配はいりません。どうです、この立体感。

Nikon Z6 | CONTAX CarlZeiss Planar T* 85mm F1.4 AEG | F2 1/1000 ISO100

適度にボケた背景のおかげで、閉店したと思しき商店の店構えが浮き上がるように強調されてもののあわれを感じる印象的なショットになりました。注意したいのは背景の電線の部分などにパープルフリンジが発生している点で、晴天下でF2くらいで撮ると多くのショットでそこかしこフリンジだらけになってしまいます。かといって絞り込むとせっかくのボケがなくなってしまいますので、私はRAWで撮って現像時Lightroomでフリンジの軽減処理を施しています。

Nikon Z6 | CONTAX CarlZeiss Planar T* 85mm F1.4 AEG | F2 1/1600 ISO100

早咲きの桜を撮影。このレンズの最短撮影距離は1メートルなのでいわゆる「寄り」の撮影は苦手なのですが、F2あたりだと被写界深度が全然浅くてふわっと緩い描写になります。全体的には雰囲気良く撮れていますね。

Nikon Z6 | CONTAX CarlZeiss Planar T* 85mm F1.4 AEG | F2 1/800 ISO100

こうした建造物は普通なら絞って撮影するのがセオリーでしょうが、あえてF2で狙うと背景がボケて立体感のある絵になります。通常あまり見られない延々と並ぶ鳥居の様子など、非日常感を表現したい場合にこういうアプローチがあってもいいのではないでしょうか。色乗りも鮮やかでいい感じです。

Nikon Z6 | CONTAX CarlZeiss Planar T* 85mm F1.4 AEG | F2 1/500 ISO100

鳥居の間を潜る人物にフォーカスして、鳥居自体は大きくぼかしました。見せたいのは鳥居なのか人物なのかで絞りをコントロールして表現できそうです。

Nikon Z6 | CONTAX CarlZeiss Planar T* 85mm F1.4 AEG | F2 1/640 ISO100

左下の青い光芒はなんとゴーストです。逆光で撮影したので盛大に発生しました。このレンズ、逆光耐性が非常に弱くすぐにゴーストやフレアが発生します。気になる場合はレンズフードを装着すれば少しはましになるでしょう。また、背景の丸ボケの形がよく見ると前述したギザギザ丸ノコ型になっているのがおわかりでしょうか。これが許せないという方はMM型を購入しましょう。

Nikon Z6 | CONTAX CarlZeiss Planar T* 85mm F1.4 AEG | F2 1/180 ISO100

前ボケ後ボケともによくボケますので、ボケを活かした撮影がしたい場合は有力候補にしてもいいでしょう。F2くらいでもフォーカス部はしっかり解像しますし、それでいてカリカリシャープというわけでもない温かみのある描写ですので、85mmという焦点距離から考えても人物ポートレートに適しているのは間違いないです。もっとも、モデルのあてもないので私、ポートレート撮影は無理なのですけど笑。

しかしながら、ボケを活かして主題と状況をコントロールできますので、俯瞰的なスナップ撮影に使うのも面白いと思います。いつもならパンフォーカスで撮ってしまうものに、あえてボケを加えるのはなかなか楽しいですし、普通に撮影するだけではっとするショットが撮れますので、一度は手にしてみることをお勧めします。CONTAXでは同じくPlanarで50mmF1.4もあって、こちらもよくボケる名レンズですのであわせてご紹介しておきましょう。

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