CONTAX RTSⅡ CONTAX CarlZeiss Planar 1.4/50 ISO100
標準レンズの帝王と謳われたプラナーF1.4
かつて標準レンズの帝王と言われたCONTAXのPlanar 50mm F1.4を導入した。Planar(プラナー)は1897年、天才数学者パウル・ルドルフにより発明された対称型のダブルガウス型レンズ。開発初期は構造上の弱点もあり、テッサーやゾナーほうがよく使われてたが、その後レンズコーティング技術が発達し、フランジバックの長い一眼レフがカメラの主流となってからは一躍プラナーが人気となった。
現在もプラナーと銘打つレンズはカール・ツァイス社との提携によりSONYやコシナで生産されているが、いずれも高級レンズの位置付けであり気軽に手に取れる価格帯とは言い難い。しかし今はなきCONTAX製のプラナーならば、中古の前提ではあるが比較的リーズナブルに入手可能である。
本レンズ、ヤシコンプラナー50mmF1.4は発売当時「標準レンズの帝王」とも呼ばれた有名なレンズであったが、2005年CONTAXを製造する京セラ社がカメラ事業から撤退し、事実上ヤシカコンタックスマウントレンズ群は中古のフィルムCONTAX一眼以外では使い道のない存在となっていた。その後時代がデジタルへ移行しフランジバックの短いミラーレスカメラの普及により、マウントアダプターを介して多くのオールドレンズをデジタルで使用することが出来るようになったことから、本レンズもまた近年人気が再燃している。
今回入手した個体は中玉に拭き傷とクモリのある訳あり品であったが、その代わりとにかく格安であった。写りにどれほどの影響があるかちょっとわからないが、早速サンプルショットを投下してみよう。
作例と使用感・・・現在でも描写はトップクラス
CONTAX RTSⅡ CONTAX CarlZeiss Planar 1.4/50 ISO100
冒頭のショットと共にCONTAXのフイルム一眼RTSⅡで撮影したものをZ6でフィルムデュープしLightroomとPhotoshopでデジタルデータ化した。冒頭のショットはF値開放付近で背景のボケを演出したものだが、これぞプラナーともいうべきとろけるようなボケは現在も健在だ。同スペックの大口径レンズは数あれど、この独特のちょっとレトロっぽい写り方は唯一無二のものでなかなか他に代替が効かない。少し絞って並木道を撮影したショットも、一見これがフィルムカメラの描写かと疑うほどの解像感である。
Nikon Z6 CONTAX CarlZeiss Planar 1.4/50 1/800 ISO100
こちらは最新のミラーレス、Nikon Z6でのショット。商店街奥側にピントを合わせ前方の人物をぼかすことで遠近感を強調した。F値は5.6くらいまで絞っていたと思う。余談だがNikon Zのピーキング表示はSONYや富士フィルムに比べ結構分かり辛い場合もあるので、これらで慣れてしまっている方は注意したほうがよい。
Nikon Z6 CONTAX CarlZeiss Planar 1.4/50 1/160 ISO100
女の子が急に駆け出したところを追ってみた。マニュアルフォーカスなのでとっさに対応できず女の子にピントを合わすことが出来なかったが、結構絞っていたようでそれなりに捕えられた。デジタルで使っても最近のレンズと比べて全く遜色のない優れた描写を楽しめる。
Nikon Z6 CONTAX CarlZeiss Planar 1.4/50 1/60 ISO500
絞りの開け閉めでぼけ具合が大きく変わるので、どのくらいぼかしたいかは常に頭に置いておいた方がよい。開けすぎるとボケ過ぎて何が写っているのか全く分からなくなるので、このショットでは店頭の商品の様子まである程度わかるようにするために少し絞り込んでいる。
SONY α7 CONTAX CarlZeiss Planar 1.4/50 1/60 ISO500
ここからはSONY α7でのショット。椅子の肘置きにピントを合わせたが、被写界深度が浅いと主題をどこに置いたのかが問われることになるのでごまかしが効かないという難しさはあるかもしれない。
SONY α7 CONTAX CarlZeiss Planar 1.4/50 1/60 ISO1250
イミテーションの焚火の様子を撮影。煙に見立てた蒸気も出ていたのだが、ぼけ過ぎてそのへんよくわからない写真になってしまった。今更ながらただぼかせばいいってもんじゃないことを実感。但し雰囲気はよく出ている。
SONY α7 CONTAX CarlZeiss Planar 1.4/50 1/60 ISO1000
愛猫のトラ。人物のポートレートはこのレンズの得意とするところだが、生憎モデルがいないので常にねこさんで代替している。とはいえねこさんもご覧の通りの浮き出るようなショットが撮れるのは大口径レンズならでは。
50mmF1.4というスペックのレンズは各社出揃っており銘玉も多いと思うが、中でもとろけるようなボケ味と高いコントラスト、色乗りの良さで強力な個性を醸し出すのはツァイスならでは。ボケの演出に少しでも興味のある方は是非一度手に取ってみてほしい。但し、今回撮影した限りではレンズのクモリによる写りへの影響は感じられなかったが、50mmに限らず中古CONTAXレンズは程度が様々なので、入手に当たっては状態はよくよく確認することをお勧めする。
コメント
コメント一覧 (2件)
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私もZ6でプラナーを楽しもうと考えていたので、とっても参考になりました。
色味がやはり濃厚ですよね。
今日、レンズが届くことになっていますので楽しみです。
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ご覧いただきありがとうございます。
CONTAXツァイスはコスパのいいものが多くて嬉しいですね。
色味に関しては、このブログではLightroom等で編集していますので
撮って出しではないです。ご参考まで。