人気のロシアレンズ、インダスター61とは
近所のリサイクルショップのジャンク箱を漁っていたところ、一本の単焦点レンズを発見しました。マウント形状からM42マウントであることと、銘板に「2.8/50」とあるので50mmF2.8というスペックなのはわかりますが、その他の文字がどうやら英語じゃないので読めません。「Индустарー61Л/З-МС」、読めないながらピンときました。これロシアレンズではないかと。
ロシアレンズとはその名の通り、旧ソ連時代に生産されたソ連製のオールドレンズの総称です。ソ連製レンズと聞くと、安かろう悪かろうというイメージがあるかもしれませんが、歴史的にドイツ製レンズの影響が強く意外にも性能の良いものも多いので、マニアには人気のジャンルとなっています。
一部の読める文字からgoogle検索すると、インダスター61L/Z 50mm F2.8であることが判明しました。それほど高価なレンズではありませんが市場では1~2万円程度で取引されているものです。どうやらここのショップの店員さんはこれがロシアレンズであるということに気付かなかったのでしょう、値札通り990円で購入し、持ち帰りました。
さて数あるロシアレンズの中でも、インダスター61L/Z 50mm F2.8の人気の理由はなんといっても「星ボケ」がつくれることです。冒頭のショットをご覧ください。背景の光点が六角形の星の形になっていることに気が付きますでしょうか。
このレンズは、絞りをF5.6~F8あたりまで絞っていくと絞り羽根の形状が星型となり、この状態で撮影した際、アウトフォーカスした部分の光源のボケが星形をつくるというものです。但し、同じインダスター61L/Z 50mm F2.8でも、製造年によっては星形の絞り形状ができない個体も存在しているようですので、購入してみようかなと思う場合は、手に取った個体の絞りを実際に絞ってみて、星形が出来るかどうかを確認したほうがよさそうです。
オールドレンズはライカで使いたいので、M42マウントをMマウントへ変換するアダプターを経由してM10に装着しました。インダスター61L/Z 50mm F2.8は一眼レフ用のレンズですが、小型なのでM10に装着してもそれほど違和感がありません。ビゾフレックスを装着すればEVFですがファインダーで覗いて撮影することができますね。
特徴的な六角形の光芒「星ボケ」
それでは早速「星ボケ」をつくってみましょう。遠くの光源に対してピントを合わせず、近くへピントを持ってくるとこのような星が出現しました。
コンペイトウのようで美味しそうです。キレイな星を取ることは出来ましたが、ただこれだとどこにもピントが合っていない写真ですので、手前に何か合焦する被写体が欲しい。
例えば道に落ちていた枯れ葉をフレームに入れて、背景に星ボケをつくるとか。こうしたショットを撮るには、①ピントを合わせる被写体はカメラからごくごく近くに設置して、②光源の位置はそこからなるべく遠くに距離を保つ、ことではじめて撮影することが出来ます。適当に撮っていたのではこの条件はなかなかクリアできないので、チャレンジあるのみです。
マクロ域に迫る最短撮影距離30cm
星ボケも楽しいですが、実は何気に便利なのが最短撮影距離が30cmとかなり短いことです。
50mmの焦点距離で30cmまで寄れると、マクロ的な撮影も可能となります。
どこまで寄れるか確認するために愛猫のエイトにピントの合うぎりぎりまで寄ってみました。すごいアップ笑。オールドレンズで寄れるレンズはなかなかないので、これは便利ですね。
意外にも現代的な写りとほど良いボケ感
開放F2.8なので大口径というわけではありませんが、それでも結構ボケはつくりやすいです。もちろん大ボケは難しいものの、程よくオールド感が漂う自然なボケと思いますので、積極的に狙っていきたいですね。
ピントの合った部分とボケの対比が良く表現されていると思います。しかも結構意図通りのボケ感が出るんですよね。
もちろん少し絞ればキリっとした描写も楽しめます。意外にコントラストが強めの現代的な写りだなあと思っていましたが、あとで調べるとレンズ構成は3群4枚のいわゆるテッサー型とのことで、なるほどそりゃ良く写るはずです。
明かりが点き始めた銀座の街もとても華やかに写ります。インダスター61L/Z 50mm F2.8は星ボケが出来ることで有名なレンズですが、使っていて思うのはむしろ寄れることのアドバンテージと、F2.8ながらボケがつくりやすく、ピントの合った部分はかっちりシャープという基本性能の高さです。これ、990円で入手してしまってよかったのでしょうか。すっかり気に入ってしまいました。
たくさん写真を撮ったので、次回このレンズの作例を大量投下したいと思います。
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