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フロンティアライト
カメラと写真好きのフツーの会社員。好きすぎてこれで生きていけないか妄想中。ときどき新旧デジタルグッズのレビューなども織り交ぜてお届けします。

PENTAX SPOTMATIC ◆ 修理・メンテナンス編 Part.2 ◆

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目次

ファインダー清掃前に劣化したモルトを除去

前回に引き続き、ジャンクのPENTAX SPOTMATICのメンテナンスを進めていこう。ファインダーを覗くと、ところどころに塵やゴミが入り込み黒点となってしまっているため、ファインダースクリーンの清掃を行いたい。このカメラはスクリーンにアクセスするにはボディ上部の軍艦部プレートを外す必要があるが、その前にこのタイミングで、一度ボディ本体を清掃しておこう。これを先に行わないと、せっかくスクリーンを清掃して綺麗になっても、その後でボディに付着していたゴミが再び入り込むということがよくあるからだ。

ほとんどの個体ではボディ本体に貼られているモルトが劣化してぼろぼろと剥がれてしまっていると思われるので、正面のミラー上部矢印の部分と、

フィルム格納部の矢印の位置に仕込まれているモルトを、無水エタノールと綿棒あるいは爪楊枝などを使ってしっかり除去しておきたい。なお、新しいモルトを貼り直すのは作業の最後でよいと思う。

ファインダースクリーン清掃

フィルム巻き上げレバーの解体

さて、それでは軍艦部を外していこう。軍艦部を外すには、ボディ上部にあるフィルム巻き上げレバー、シャッタースピード設定ダイヤル、フィルム巻き戻しレバーのすべてを解体しなければならない。難易度は高めなので、これを行う場合は少なくとも堅牢なカニ目レンチまたはカニ目コンパスを必ず用意しておきたい。

ちなみに私が愛用しているのはこちらのコンパス。少し値は張るがつくりがしっかりしていてお勧めだ。

最初にフィルム巻き上げレバーの解体だが、まず矢印の位置にある3本のイモネジを緩めて、カウンターカバーを外す。イモネジは非常に小さなパーツなので、完全に取り外してしまうとあとで組み直す際に苦労するので、緩めるだけに留めておき、カウンターカバーに半分埋め込まれた状態のままにしておく方がよい。

カウンターカバーが外れた。

次にカウンター目盛プレートを外すが、これを固定しているマイナスネジは逆ねじとなっているので、時計回りに回すことで外れる仕様となる。間違って締めてしまうと容易に外せなくなってしまうので注意。

次にカニ目レンチを使って、写真のパーツを外す。これも逆ねじになっているうえ、結構がっしりと固定されている場合が多いので細心の注意が必要である。製造ロットによってはここが逆ねじでなく順ネジの個体があるようなので、様子を見ながら外していきたい。

次に現れる3本の小ネジを外す。

このリングは軸となる次のリングと組み合わさっているので、このリングのみ若干時計回り方向へ回して組み合わせを解くことで外すことが出来る。素手では動かないので、3つのネジ穴のうちの2つにペンチの先端を入れてそのまま時計回りに回すような感じで動かすとよい。少しコツが要るのでこのリングを外すのが最も難しいかもしれない。

ここまで外せばあとは手で引き抜いていくだけだ。実に8個のパーツが重なり合って構成されており、逆ねじがあったり固かったりと難易度は高めなので、力任せに扱うようなことはせず、落ち着いてじっくりと取り組もう。

シャッタースピード/ASA設定ダイヤルの解体

次にシャッタースピード設定ダイヤルを解体する。ここはASA設定ダイヤルと機能を兼ねているが、ダイヤル部分はそれほど複雑な構造となっていない。あとで組み直すときのために、あらかじめダイヤルがどの位置にあるかを写真を撮って記録しておくことをお勧めする。中央のポッチにカニ目レンチを充てて回すと、簡単に外れる。

普通に手で外していくだけだが、このプレートの下に、スプリングが隠れているので、跳ねかせてしまわないように注意したい。

ここの組み直しは失敗するとASAの変更ができなくなるので、おのおののパーツの突起部を良く見て組み戻そう。ダイヤルを上に引っ張りながら回すことでASA値の変更をすることができていれば成功である。

フィルム巻き戻しレバーの解体

フィルム巻き戻しレバーは、他の一般的なフィルムカメラと同様、軸の部分を割り箸か何かで押さえながら反時計回りに回すことで外れる。

中央のパーツのポッチにカニ目レンチを充て、回転させる。

シャッタースピード設定ダイヤルと、フィルム巻き戻しレバーを解体した順番がこちら。このように順番に並べておけば組み立てる際に迷わないで済む。

プレート右の矢印部分のネジを外すと軍艦部が外れる。

プリズム/ファインダースクリーン清掃

ファインダースクリーンはプリズムの下にあるので、プリズムから外していこう。プリズムを外すにはこのパーツを物理的に抑えている矢印のスプリング式パーツを外し、サイドにあるイモネジを緩める。イモネジは完全に外す必要はなく、緩めるだけで可。

プリズムには光線漏れ防止用にモルトが貼られているが、このモルトが劣化して剥がれ落ち、スクリーンを汚している。劣化したモルトは完全に除去したうえで、プリズムとスクリーンを清掃しよう。

露出計の針に直接触れることができてしまうが、華奢なパーツなので触らない方がいいだろう。ブロワーでゴミを吹きつつ、無水エタノールを付けた綿棒でスクリーンを清掃する。

綺麗になった。本当はこのスクリーンの裏側も綿棒で清掃したいのだが、これ以上分解するのはちょっとリスクがありそうなので今回は止めておいた。妥協できる部分は妥協するのも大事なことだ。

解体したのと逆の手順で組み立て直していこう。尚、プリズムの周辺に付いていたモルトは本来貼り直すべきなのだろうが、構造上ここにモルトを引かなくてもここから光線漏れを起こすとは考えにくいと判断し、ここではモルトを貼り直さずに組み戻した。この処置が正しいかどうかは、あとで試写をしてみればはっきりするだろう。

多少ファインダー内に黒点は残っているが、さほど気にならない程度なのでよしとしよう。

モルト貼り付け交換

最後にボディ本体のモルトを貼り直す。場所は正面ミラー上部、ファインダーとプリズムの隙間部分にひとつ。

背面のフィルム格納室上下の隙間および裏蓋の開閉部分にそれぞれ貼り付け。モルトはAmazonなどでサードパーティ製の専用カットされた製品が販売されているのでそちらを利用してもよいが、今回はカットされていない汎用モルトを自分でカットして取り付けた。

最後にボディ金属部分をコンパウンドで軽く拭いて出来上がり。レンズがないと試写が出来ないため、別途フリマアプリでレンズを調達した。さて、ちゃんと撮影することができるだろうか?試し撮りの結果はまた近日中にお届けしよう。

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