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フロンティアライト
カメラと写真好きのフツーの会社員。好きすぎてこれで生きていけないか妄想中。ときどき新旧デジタルグッズのレビューなども織り交ぜてお届けします。

FUJIFILM NATURA NS ◆レビュー実写編◆

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FUJIFILM NATURA NS FUJICOLOR100(Dupe by Nikon Z6)
目次

ナチュラNSの忖度なし実写レポート

それでは富士フィルムのフィルムカメラ、ナチュラNSの実写レポートをお届けしよう。前回外観編にてお話ししたように、このナチュラNSは富士フィルム最後のコンパクトフィルムカメラ「ナチュラクラシカ」の姉妹機であるが、一部機能が省かれているとはいえレンズやハードウエアはまったく同じものが使われているので、基本的に描写はナチュラクラシカと同一であり、クラシカの描写が気になっている方にも十分に参考となるはずだ。

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ナチュラクラシカは国産最後のコンパクトフィルムカメラというある種シンボリックな存在であり、市場の評価は概ね好意的で、中古市場ではこの手のコンパクトカメラとしてはかなり高めの価格で取引されている。その価格に本当に見合う性能なのかは一度確かめてみなければならないと以前から思っていたので、今回はクラシカ≒NSと捉え、市場評価とか歴史的な意義とか考えず、純粋に忖度なしで機種としてのレポートを行いたい。

シーン1:明るい日中でのショット

それではまず日中の撮影をしてみよう。冒頭のショットは昼間の中距離での撮影で、ISO100のフィルムを使用している。SO100なので粒子感も少なく、ほぼパンフォーカスだがきちんとピントも合焦しよく撮れていると思う。このカメラは露出もシャッタースピードも一切がオートで決まってしまうプログラムAE機なので、概ね晴れていたこの日の天候から考えればF値はかなり絞られていたと思われる。

FUJIFILM NATURA NS FUJICOLOR100(Dupe by Nikon Z6)

こちらは少しばかり実験的に、あえて手前の白い車のほうにピントを合わせて、背景がどれだけぼけるかを試してみたもの。そのためお寺の門のあたりは合焦していないのだが、スマホとか小さい画面で見てしまうとほとんどわからない程度のボケ方でしかない。仮にこのシーン、F2.8で撮影できていればもっとぼかすことが出来たと思われるが、プログラムAE機であるこのカメラではもちろんそんなコントロールは不可能である。

少し足を進めてお寺の正面までやって来た。パンフォーカスのショットとして問題なくよく撮れている。周辺は意外に流れているようだが、このカメラでそこまで気にしても仕方がない。やや露出はオーバーだが描写自体は精細さもあり好印象。

FUJIFILM NATURA NS FUJICOLOR100(Dupe by Nikon Z6)

別のお寺の門をもう一度望遠端50mmで撮影してみた。望遠側だからといって圧縮効果を感じるかと言うと結構絞られているようでやはりパンフォーカスの絵にしかならないようだが、それにしても良く写る。絞った絵が優秀なレンズであることは確かなようだ。

FUJIFILM NATURA NS FUJICOLOR100(Dupe by Nikon Z6)

こちらは少しトリッキーに、神社の本堂ではなく手前の水桶のほうにピントを合わせて、ふたたび背景ボケの程度を見たもの。この場所は神社の境内の中で、少し薄暗いくらいのシチュエーションであり、うまくすれば絞りが開いて背景ボケがつくれるのではないかと狙ったものであったが、ボケてはいるがなんとも中途半端なボケしかできなかった。この価格帯のコンパクトラメラにそこまで期待するのはやはり難しいようだ。

FUJIFILM NATURA NS SUPERIA PREMIUM400(Dupe by Nikon Z6)

フイルムを変えてISO400とし、駅のホームから明暗差の大きいシーンを撮影。明るい場所は白飛びを起こしているが、全体的に日中のショットでは少しオーバー目のチューニングがされているようだ。気になったのはここまでですでに数枚、日中にも関わらず明らかにピントを外したショットがあったことで、オートフォーカス性能には少し不安を感じてしまう。あまり細かいポイントをターゲットにピント合わせするのは避けたほうがいいのかもしれない。

シーン2:夕刻~夜間のショット

FUJIFILM NATURA NS SUPERIA PREMIUM400(Dupe by Nikon Z6)

夕刻になり少し暗めのシーン。まずすぐに気づくのが、オートフォーカスが更に不安定になったこと。日中のショットにおいても、しばしば何でもないシーンでピントを外す傾向がみられたが、暗くなってくるとそれが顕著になる。こちらのショットもF値が開いて被写界深度を稼げなくなった結果だとは思うが、どこにピントを合わせたのかもよくわからないぼやっとした描写となってしまった。

FUJIFILM NATURA NS SUPERIA PREMIUM400(Dupe by Nikon Z6)

こちらのショットはわざわざ遠景モードに切り替えて撮影しているのだが、それでも無限遠にピントが来ているとは思えない甘い描写だ。遠景モードに関してはこのショットの他にも日中も含めて数枚試したのだが、何メートルからが「遠景」なのかもよくわからないし、正直あまりはっきりした効果を感じられなかった。

FUJIFILM NATURA NS SUPERIA PREMIUM400(Dupe by Nikon Z6)

街灯としては明るい印象のシーンではあったが、ISO400のフィルムでは分が悪かったかもしれない。ノーフラッシュの手持ち撮影なので撮れただけでもめっけものか。粒子感が強く期待する描写には届かないものの、逆にローファイの写真としてはアリだろうか。

FUJIFILM NATURA NS SUPERIA PREMIUM400(Dupe by Nikon Z6)

同じ夜景でもこちらは繁華街ということでそれなりに明るめのシーンだったのか、ノイズは乗ってもちゃんと解像した絵が撮れている。

FUJIFILM NATURA NS SUPERIA PREMIUM400(Dupe by Nikon Z6)

手持ち撮影が前提となると、下手にスローシャッターモードにして手振れを起こすのも嫌だし、いちいちモードを切り替えるのも正直面倒なのでどうしてもデフォルトのままで撮影してしまいがちになってしまう。三脚を用意して根気よくモードを切り替え実験を続ければ、得意なシーンとそうでないシーンの違いがわかってくるかもしれないが、このカメラでそこまでの手間をかけるのも少し違うような気がする。

FUJIFILM NATURA NS SUPERIA PREMIUM400(Dupe by Nikon Z6)

どちらにせよわかったのは、ISO400くらいのフィルムを使うにおいては、決して暗いシーンに強いカメラというわけではないということだ。ナチュラといえばなんとなく夜間に強いかのようなイメージがあるが、過信しない方がいいだろう。

総評:明るいズームレンズが使いやすくお散歩カメラとして優秀

ひと通り使ってみたところで、いい点、イマイチな点を整理すると以下のようになる。

小型・軽量で明るいズームレンズが便利。最短撮影距離が短く、多くのシーンにこれ一台で対応

質感は安っぽくてもデザインは秀逸

ピントをよく外す

スペックから期待されるほど暗いシーンに強いわけではない

スローシャッターモード、遠景モードの効果がはっきりしない

それとこのカメラのせいではないとはいえ、現在の中古市場での価格がかなり高いわりには、メーカーサポートもとっくに終了したこの機種が故障した場合に修理の手段が見当たらないのがやはり気になる。こうした不安を抱えたままでなおこの機種の購入に数万円を投下できるのかどうかは、よく考えてからのほうがよいのではないかと思ってしまう。この点が気にならなければ、夜間はともかく日中の描写は優秀なので、お手軽お散歩カメラとして便利に使えるのではないだろうか。

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