LEICA M10 SUMMARIT L50mmF1.5 1/750秒 ISO200
ズマリットは本当にクセ玉か?先入観なしで試し撮り
導入したズマリット50mmF1.5の試し撮りをしてみよう。本来は1940年代製造のレンズなのでフィルムライカを使うべきところではあるが、昨今の銀塩フィルムの高騰や仕上がりまでの時間的な問題などを考慮し、今回はデジタルライカM10に装着して撮影することにした。

せっかくの大口径、絞ってしまっては勿体ないというかこういったレンズはF値は開けてなんぼということで、今回はレンズにしてみれば少々意地悪な条件となってしまうが、一部を除いてほぼ開放または一段だけ絞る程度にて撮影をしてみた。そのつもりでご覧いただきたい。
LEICA M10 SUMMARIT L50mmF1.5 1/60秒 ISO200
こちらはF値開放で線路のガード下通路壁面の落書きにピントを合わせたショット。結果的にピントを合わせた場所が画面の端になってしまい、どこに主題が置かれたのかよくわからなくなってしまったが、F1.5でこういう撮り方をするとよくボケるということはわかった。
LEICA M10 SUMMARIT L50mmF1.5 1/1500秒 ISO200
マニュアルフォーカスで動く人物にピントを合わせるのは難しいが、人物側を追いかけたショット。背景ボケは綺麗ではないがオールドレンズらしいざわついた感じが残り、レンズの「味」を楽しめる。
LEICA M10 SUMMARIT L50mmF1.5 1/750秒 ISO200
タクシーにピントを合わせ、背景の東京駅をぼかしてみる。東京駅はもっとぼけてもらってもよかったとは思うが、ほぼ意図通りに撮ることが出来た。これはF1.5だったか、あるいはF2あたりまで絞ってしまっていたかもしれない。
LEICA M10 SUMMARIT L50mmF1.5 1/250秒 ISO200
東京駅に隣接するKITTEビルの一室から東京駅を撮影する女性。窓の外を大きくぼかすことで50mmなのにちょっと望遠レンズで狙ったような圧縮効果が感じられる。明暗差もいい雰囲気。
LEICA M10 SUMMARIT L50mmF1.5 1/60秒 ISO400
やや遠景を撮影しているが、これもあまり絞らずに多分F2くらで撮影したもの。中心の人物にピントを合わせており、中心部分の解像感は残しつつも画面奥や周辺は決してかっちり写っていない不思議な写りだ。開放縛りという前提でなければこういう撮り方はしなかったと思うが、今回はサンプルということで参考にしていただきたい。
LEICA M10 SUMMARIT L50mmF1.5 1/60秒 ISO320
こちらのショットのみF5.6まで絞り込んだ。絞り込むと言ってもF5.6に留めているが、もう十分な解像感で滲みもなくすっきりとした写りだ。大口径レンズなのでつい開放付近を意識してしまうが、実は絞れば普通にかっちりと撮れる。
LEICA M10 SUMMARIT L50mmF1.5 1/1500秒 ISO200
愛猫のトラ。窓際の猫を撮るときは開放付近でふんわりした絵を楽しむのも楽しい。クセ玉で有名なズマリット50mmF1.5だが、この日のショットでは思いのほかクセもなく、むしろオールドレンズっぽさがスパイスのような効果を生み、一言で言えば楽しめるレンズ、という印象だ。
出た!これがズマリットの必殺技だ
LEICA M10 SUMMARIT L50mmF1.5 1/4000秒 ISO200
ところで、ズマリットを使うとよく出ると言われている必殺技が一向に出ないので根気強く撮影し続けたところ、やっと出た。こちらが第一の技、「虹ゴースト」。一度出してみると案外条件は簡単で、太陽光などの光源に直接レンズを向けると出てくることがわかった。最近のレンズはコーティング技術の向上によりなかなかここまではっきりとゴーストが出ることはないので、シーンによってはわざとこれを出してみるのも面白いかもしれない。
LEICA M10 SUMMARIT L50mmF1.5 1/90秒 ISO200
そしてこちらが第二の技、「ぐるぐるボケ」。これもなかなか出ないが、F1.5開放で比較的近い位置に被写体を置き、背景までの距離が一定以上ありかつ背景が木々などざわざわしているものの場合に起こりやすいと思われる。まるで円を描くようなざわざわと煩い背景ボケが楽しめる。
実は第3の必殺技、「滲み」もあるのだが、今回の撮影ではわかりやすいサンプルが得られなかった。今後もどんどん撮影を続けていくので、随時ご紹介していく予定だ。

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