焦点工房ブランドのヘリコイド付き近接マウントアダプター
マウントアダプターの供給・販売で近年一定の地位を確立した感のある焦点工房が発売している、自社ブランド「SHOTEN」製のマウントアダプターLM-SE Macroを導入した。
ライカMマウントをソニーEマウントに変換するアダプターは既に所有していたが、本製品はマクロ用のヘリコイド機能の付いたもので、レンズとカメラ受光面のフランジバックを定格より5mm延ばすことができるもの。元々がレンジファインダー用であるMマウントレンズは、一眼レフやミラーレス用の一般的なレンズに比べ最短撮影距離が長いものが多く、思ったように被写体に近付いて撮影することができない場合が多いわけだが、このアダプターを使用すれば最短撮影距離が縮まるので「寄り」の撮影が可能となるというものだ。
この機能を持ったマウントアダプターは数年前より発売されてはいたものの、実売で2万円以上とまあまあ高価であることから導入を躊躇していたが、最近になってかなりリーズナブルな製品も見かけるようになってきた。SHOTEN製では現在、ソニーEマウント用でヘリコイドの繰り出し幅が6mmの「プロ版」と、5mmの「ライト版」の2種類が発売されていて、ライト版はプロ版よりも寄れる距離は短いが、その代わり約半分の価格で購入できる。
ライト版は現在ソニーEマウント用しか存在していないが、EマウントをZマウントに変換するアダプターを別途噛ませることで、ニコンZで問題なく使用することが出来る。この方法でフォクトレンダーのMマウントレンズ、ノクトンクラシック40mmF1.4をZ6に装着した姿がこちらである。
そしてヘリコイドを5mmいっぱいに伸ばした姿がこちら。ノクトンクラシック40mmF1.4は最短撮影距離が0.7mなので、そのままだと例えばテーブルフォトとか、モノ撮り用としてはほとんど使うことができないが、このアダプターを使うことで最短撮影距離が短くなり「寄り」のシーンにも対応可能となる。それではどのくらい寄れるようになるか、実験してみよう。
最短撮影距離が約半分に。一度使ったら戻れない
Nikon Z6 voigtlander NOKTON classic 40mmF1.4 1/50秒 ISO360
このレンズで愛猫のトラが居眠りをしている姿を撮影しようとすると、これがピントの合う最短距離である。まあ撮れないことはないが、写真としては被写体以外の余計な背景などが多過ぎて、トリミング処理が必要になりそうだ。
Nikon Z6 voigtlander NOKTON classic 40mmF1.4 1/50秒 ISO1400
アダプターのヘリコイドを5mm最大まで繰り出してピントが合う最短距離まで寄ったのがこちら。きちんと測ったわけではないが、体感としては最短撮影距離がほぼ半分程度になり、トラの顔のアップを撮影できるようになった。ノクトン40mmでここまで被写体に寄れるのはちょっと感動ものだ。
Nikon Z6 voigtlander NOKTON classic 40mmF1.4 1/50秒 ISO1400
気を良くしてエイトも撮影してみた。もっと寄ることもできるが、ここまで近づけたら通常の撮影ではもう充分な性能だ。
Nikon Z6 voigtlander NOKTON classic 40mmF1.4 1/500秒 ISO100
花撮りもかなりいける。
Nikon Z6 voigtlander NOKTON classic 40mmF1.4 1/125秒 ISO100
例えばノクトン40mmをフィールドに持ち出す場合、現場でどんなシーンが待ち受けているかわからないとなると、結局は押さえのために最短撮影距離の短い別のレンズも一緒に持ち出さなければならないなど、Mマウントレンズ単体の使い勝手はいまひとつであったが、このアダプターを持参すればもう押さえのレンズを持ち出す必要がなくなる。結果、無駄に荷物を増やさなくて済むので、より軽快な撮影が可能となるだろう。Amazonで見かけるもっと安価な製品は品質に不安が残るが、SHOTEN製は品質も質感も素晴らしく、安心して使用することができる。「プロ版」に比べ半分の値段で導入できる本製品は、断然お勧めの一品だ。
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