購入してわかったZ6のあれこれ
フルサイズ・ミラーレス一眼と言えば長らくSONY一択の時代が続いていたが、近年Nikon、Canon、PanasonicにSIGMAまで参入を果たし、世はまさにフルサイズ・ミラーレス一眼戦国時代と化した。私も数年SONYのα7を使っていて、実は何度も売却しかけたのだけれども、オールドレンズ遊びの母艦として未だに手元から離せないでいる。とはいえD800ユーザーでもある私にとって、Nikonから発売されたZ7/Z6はD800の後継として非常に魅力的に思えた。
そのうち購入する機会もあるかもしれないなどと思っていた矢先、某家電量販店でちょっとありえないくらいの好条件を提示されてしまったことから、購入の日は突然到来してしまった。どのような条件だったかはここでは書けないが、メーカーキャッシュバック分も含めてZ6のFマウントアダプターFTZ同梱キットが実質20万円を切る程度の価格であった。
決して衝動買いではない。そもそも私は衝動買いはまずしない。あらかじめ多くの商品をチェックし、どの程度からがお買い得なのかは頭にインプットされているのだ。今回のZ6もまた、この「お買い得ライン」を超えたにすぎない。とはいえ何でもそうだが、買ってみて初めて気付くことや、こんなはずではなかったと思うことのひとつやふたつはあるだろう。今回は購入後間もないが、あれっと思った点や、疑問に思っていたことの検証などをピックアップしてみたい。購入したのがZ6なのでZ6のレビューとなるが、概ねZ7も共通と思われる。
ただ大前提としてはZ6は本当によく出来ており、末永く使えるカメラであることは間違いない。そのうえであえて言わせていただく。まずはイマイチな点について。
①専用レンズが少ないし高い
AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR装着時
わかっていたことだったのだが、現在Zシリーズ専用のレンズは実に6本しかない。それも、すべて新設計の高級レンズ「S-LINE」ばかりである(執筆時時点)。そうそう懐具合も暖かくないので、マウントアダプターFTZを介してFマウントレンズで使っている方も多いのではないだろうか。Nikonには撒き餌レンズとして50mmF1.8くらいは3万円程度で投下してほしかった。
Zシリーズで使用できるメモリーカードは現状では全く普及していないXQDメモリーカードのみ。長らくSDカードの価格帯で慣れきってしまった身からしては、最低容量の32ギガですら1万円超えという値段はなかなか受け入れ難い。ちなみにシングルスロットなのは諦めがつく。
③マウントアダプターFTZでオートフォーカスが効かないレンズがある
AI AF NIKKOR 50mm f/1.8D 装着時
HPにも書いてあるので文句を言うわけではないが、現行機として発売しているDタイプレンズでオートフォーカスが効かないとは思っていなかった。FTZでオートフォーカスが効くのはAF-Sレンズのみとのことで、これは完全に誤算である。DタイプレンズでAF-Sなのはごくわずかしかない。私はオールドニコン機であるF3やF4も使うので、あえて絞り輪のあるDタイプレンズを導入したりもしていたのだが、これらのほとんどはZ6でマニュアルフォーカスとしてしか使えない。
④オールドレンズで手振れ補正を効かせるには設定が必要
CONTAX CarlZeiss Planar 50mm F1.4 AEJ 装着時
マウントアダプター経由でヤシコンプラナー50mmを装着した際、手振れ補正はどうやってもONにすることが出来ず、てっきりZの手振れ補正はニッコールレンズを装着した場合のみONにすることが出来るのかと思ってしまった。実は、電子接点を持たないオールドレンズについては「レンズ情報手動設定」メニューで焦点距離と最大F値を登録したうえで、該当する登録Noを指定して初めて手振れ補正が効く。マニュアルをかなりよく読んでもこの事項はなかなか見つけられないので、誤解したままの方も多いのではないだろうか。
小型軽量がミラーレスの強みのひとつだと思うが、D800と並べると明らかにZ6がコンパクト。最近D800をあまり持ち出さなくなってしまったのは、やはりこの大きさ、重さが原因のひとつだ。
しかし、たまたま手持ちのα7(初代)と並べると、あきらかにα7のほうが小さい。もちろん小さきゃいいってものではないが、もしなるべく小さい機種がいいという方がいるとしたら、Zシリーズは決して他社ミラーレスに比べてもなお小さいわけではないことは知っていたほうがいい。
⑥Wi-fi経由でのデータ取り込みにおいて一括送信はできない
Wi-fi経由でPCに撮影データを送付できるが、送信する写真を1枚1枚選ばないと送信対象にならないので、メモリーカードに記録された全ファイルを一括で送信することができない。カードが大容量なので巨大なデータを一度には扱いきれないということかもしれないが、やはりこれでは使い勝手がよくない。
期待が大きかっただけにイマイチな点が目立ってしまったが、もちろんいい点もたくさんある。画質や基本性能が高いのは言わずもがなであるが、その他には、
⑦バッテリーはD800等でも使われているEN-EL15が共通で使える
おかげで予備バッテリーを用意しなくて済んだ。ただ、D800では使えていたサードパーティ製の互換バッテリーはZ6ではエラーが出て使うことが出来なかった。
⑧マウントアダプターFTZにテレコン経由でもAF-Sならオートフォーカス可
AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF-ED VR &TC-17EⅡ 装着時
テレコンを使った場合はAF-Sレンズでもオートフォーカスが怪しいのでは・・・と思い慌てて検証した。結果は、手持ちのレンズAF-S NIKKOR 300mm f/4E PF EDとテレコンTC-17EⅡの組み合わせで、無事オートフォーカスが動作することを確認した。レンズもテレコンもAF-S仕様だったので問題なかったようだ。
私は現在SONYα7や富士フィルムXT-20などを併用しているものの、いずれミラーレスはNikonに集約するつもりでいる。Nikon初のフルサイズ・ミラーレス一眼ということで多少青田買いだった感も否めないが、それでもZ6には大いに期待している。今後一眼カメラは確実にミラーレスが主流となっていくはずであり、Nikon、Canonの2強にSONYを加えた3社でし烈な戦いが繰り広げられるだろう。面白くなってきた。
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