■”小さな巨人”コニカ ビッグミニ初号機■
コニカというメーカーはC35をはじめ歴史的名機を数多く世に送り出したが、本機BiGminiもまたそのひとつ。電源オンでレンズ部分が繰り出す電子式沈胴レンズ方式をいち早く採用し、その後のコンパクトカメラの標準フォーマットとして定着させた。大ヒットとなったBiGminiはシリーズ化され、単焦点レンズモデルは1997年まで4機種が発売されたが、本機はその初号機である。
もちろん本シリーズが名機となり得たのはそれだけではなく、搭載した単焦点35mmF3.5のレンズが素性の良いものであった為でもある。F3.5と決して明るいレンズではないが、それだけに設計に無理がなく、写りの良さには定評があった。そのためコンパクトカメラでありながら、あのアラーキーこと荒木経惟氏や、ガーリーフォトの写真家HIROMIX氏などプロカメラマンも愛用したという。
その後のモデルチェンジでBiGminiはブラッシュアップされていくが、コンパクトでフラットなボディに沈胴式レンズを採用するというコンセプトはこの初号機ですでに確立されていたといえる。ちなみにモデル名の「A4」は国外モデルのみに付けられた名称で、諸説あるが「A4サイズ用紙の書類をきっちり撮影できる」ことから命名されたと言われている。
それでは早速サンプルショットを投下しよう。使用したフィルムはフジSUPERIA X-TRA400と業務用100。現像後D800でフィルムデュープしデジタルデータ化後、Photoshopで階調反転をしたうえでLightroomで調整を行っている。
■一眼機に迫る高画質。程度のいい個体があれば買い■
Konica BiG mini A4 (dupe by Nikon D800)
晴天下の国会議事堂。オートフォーカスは黎明期のそれと違ってだいぶ正確になっているが、それでも特に遠景時にちょっと怪しいことがある。このショットは同じ構図で2枚撮ったが、1枚は微妙に外していた。BiGminiシリーズでは3代目のBM-301からは遠景モードが搭載された。
Konica BiG mini A4 (dupe by Nikon D800)
Konica BiG mini A4 (dupe by Nikon D800)
プログラムAE機につきどうしてもパンフォーカス的な絵が多くなるが、精細感もあって描写は良好。
Konica BiG mini A4 (dupe by Nikon D800)
クローズアップモード(最短撮影距離0.35mの簡易マクロ機能)でアジサイにピントを合わせ、背景をぼかしてみた。前回の記事(ピエール・ガニェールはこちら)もあわせてご覧いただきたいが、このカメラ、クローズアップモードの描写がすこぶる良く、背景のぼけ方も素晴らしい。一眼機で撮ったといっても誰も疑わないだろう。
Konica BiG mini A4 (dupe by Nikon D800)
このショットのみISO100のフィルムで撮ったサンプルとなるが、さすがISO100で撮ると色再現も鮮やか。
Konica BiG mini A4 (dupe by Nikon D800)
オートで撮っていたらフラッシュが光ってしまった。このカメラはオートモードでは光量不足と判断するとフラッシュが勝手に点灯してしまう。フラッシュをオフにしたい場合は、カメラ背面の小さくて押し辛い設定ボタンを何度か押し込まなければならないのと、電源をオフにすると設定が元のオートモードに戻ってしまうという仕様のため、この点コントロールが煩雑なのは残念なところ。意図しないフラッシュの点灯には注意したい。
さて現在もフィルム愛好家の間で人気のBiGminiだが、シリーズ共通で最大の弱点と言われるのが、背面にある各種コントロールと基盤とをつなぐ配線が構造的に弱く、多くの個体でフレキシブル基盤(通称フレキ)が疲労断線してしまうこと。中古市場に流出している個体の多くはこの為、フィルムカウンターが表示されない、ストロボ強制停止ができない、日付の写しこみができない等のジャンク個体となってしまっている。今回は奇跡的に正常動作品にめぐり合えたが、入手にあたってはこの点は必ずチェックしてほしい。
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