Nikon F3 Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5S (dupe by Nikon D800)
元祖大三元ズームAi Zoom Nikkor 35-70mm F3.5S
Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5S は1981年発売のニコンAi-S型ズームレンズ。1977年発売のAi Zoom Nikkor 35-70mm F3.5がリニューアルされたもので、光学系が変更されアタッチメントが小径化されている。

Nikonのズームレンズとしては設計が古いモデルであるが、ズームレンズながらF値が3.5通しであり、同時期に発売されていたF値可変の一般的なズームレンズに比べプロまたはハイアマチュア向けの高額機種であった。その後この流れを汲み1987年にはAi AF Zoom Nikkor 35-70mm F2.8Sが発売、1992年にDタイプへの移行を経て、現在の大三元ズーム24-70mm f/2.8Gへと繋がる。そういう意味では大三元ズームの祖といえるかもしれない。

最短撮影距離は0.7mとこの時代のズームレンズとしては一般的なものであったが、本機はマクロモードを搭載していて、望遠端のみではあるが最短0.35mでの撮影が可能である。これによりこの1本のみで多くのシーンに対応でき、汎用性が非常に高い。F3.5は明るいとはいえないが、最近はF4通しズームも多いので使い勝手は決して悪くない。

ただし、金属銅鏡のボディは重量が520gとそこそこあるので、F3なんかと合わせると意外とずっしり来る重さとなり侮れない。当然手振れ補正機能などないので、ホールドには注意したほうがいいだろう。
それでは早速サンプルショットを投下しよう。本レンズはもちろんデジタルカメラで使うこともできるが、今回は発売時期も考慮しNikon F3と組み合わせすべてフィルム撮影とした。使用したフィルムはフジ業務用ISO100と、SUPERIA X-TRA400。現像後D800でフィルムデュープしデジタルデータ化後、Photoshopで階調反転をしたうえでLightroomで調整を行った。
描写は良好。マクロモードも便利な万能ズーム
Nikon F3 Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5S (dupe by Nikon D800)
冒頭も含め東京は谷根千エリアを撮影。昭和レトロ風の被写体はフィルムカメラが良く似合う。冒頭のショットはF値開放で若干描写が甘めだが、絞り込んで遠景を撮影した場合はきちんと解像する。
Nikon F3 Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5S (dupe by Nikon D800)
フィルムカメラで使う場合はフルサイズ相当となり、すごくボケるわけではないが意外と被写界深度は浅いので適当に撮っているとピントを外す場合がある。スナップで使うよりもきちんと狙って撮影するほうが向いていそうだ。
Nikon F3 Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5S (dupe by Nikon D800)
マクロモードにすればテーブルフォトも十分に寄って撮影することが可能。ボケもきちんと出てズームレンズの描写の域を超えている。
Nikon F3 Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5S (dupe by Nikon D800)
このマクロモードのおかげで、小物や花撮りにも余裕で対応できるのは大きなアドバンテージ。
Nikon F3 Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5S (dupe by Nikon D800)
ISO400のフィルムを使えばF3.5でもある程度暗いシーンの撮影もカバーできる。当時のハイエンドズームだけあって描写はしっかりしており、フィルムカメラ撮影時にはこれだけでも相当色々なシーンに対応できる。デジタルで使うといろいろとアラも見えてきそうだが、フィルムで使うなら実に使いやすい1本といえる。
このレンズで撮った他の作例を一挙公開
このレンズを使って撮影した他の写真はこちら。オールドレンズといえば単焦点をイメージしがちだが、たまにはあえてズームレンズを使ってみるのも面白そうだ。


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