Nikon D800 AI AF NIKKOR 85mm f/1.8D 1/100秒 F2 ISO720
■Nikonポートレート用F1.8中望遠レンズの旧型■
F値の小さい85mmの中望遠レンズは俗にポートレートレンズと呼ばれ、背景が大きくボケることから主に人物のバストアップなどの構図でよく使われている。以前から1本欲しいと思ってはいたのだが、人物を撮るにもモデルに心当たりもなく長らく購入の機会を逸していたのだが、この度理想的なモデルをついに見つけたので購入を決めた。念のため言っておくが冒頭のショットのおじさんのことではない。
AI AF NIKKOR 85mm f/1.8Dはニコンのフルサイズ用単焦点シリーズの旧型Dタイプレンズのひとつで発売は1994年、すでに後継機であるAF-S NIKKOR 85mmF1.8Gが発売されており、現在はディスコンとなっている。旧機種とはいえ大口径中望遠レンズながら全長58.5mm、重量380gと比較的コンパクトであることや、中古市場でも3万円前後とリーズナブルに入手できることからそれなりに人気は高く意外にタマ数は少ないようだ。外観はあまり高級感とかはなく、この時代のデザインに好き嫌いはあるかもしれないが、私的にはこの頃のDタイプレンズのデザインは嫌いではない。
画角的に汎用性は高くないので、明確な目的がないことにはなかなか持ち出し辛いが、本レンズはD800に装着してもあまり仰々しくならず、気軽に持ち歩けそうなサイズに収まっているのはやはりポイントが高い。肝心の描写のほうは、開放F1.8でこそ甘いが2段も絞ればぐっと引き締まり、同時に中望遠らしい大きなボケを十分に楽しめるもの。昔のレンズにありがちな逆光耐性の弱さやフレアの発生が気になるシーンもあるが、写りそのものは現在の高画素機でも充分に解像する高い実力を備えているので、ポートレート撮影のお試し用途にもお勧めできる。
それでは早速サンプルショットを投下しよう。
■旧型ながら描写は良好。程度のいい個体があれば買い■
冒頭の写真は新宿の「思い出横丁」を練り歩くおやじさん達を捕えたもの。ISO720でもF2でシャッタースピード1/100を確保できるので、夜間でしかも手振れ補正のない状況でのショットだが鮮明に捕らえることが出来た。周辺や前後のボケも自然で好感が持てる。この一枚だけでも、本レンズの高い実力の一端が垣間見えるというもの。
Nikon D800 AI AF NIKKOR 85mm f/1.8D 1/100秒 F2 ISO400
そしてポートレートに最適な理想の被写体、ねこさん。浅い被写界深度と大きな背景ボケがポートレートの王道ともいうべきショットとなった。ちなみに背景の赤や青のボケの正体はただのテレビだが、ここまでボケるといいアクセントとなる。
Nikon D800 AI AF NIKKOR 85mm f/1.8D 1/100秒 F2.2 ISO1400
もう一枚ねこさんのショット。ピントの合った部分からアウトフォーカス部のなだらかなボケが優しい雰囲気を演出する。ねこさんを撮るときは今後はこのレンズでいこうと思う。
Nikon D800 AI AF NIKKOR 85mm f/1.8D 1/800秒 F2.5 ISO100
次にポートレートではないサンプルとして東京は浅草寺の仲見世商店街の人混みを狙ってみた。F2.5ながら手前の人物は程よくボケて立体感のある絵となった。
Nikon D800 AI AF NIKKOR 85mm f/1.8D 1/500秒 F3.2 ISO100
こちらはもっと絞り込んだつもりでF3.2と設定ミスして撮ってしまったショットだが、合焦した中央部分はそれでも十分にシャープ。
Nikon D800 AI AF NIKKOR 85mm f/1.8D 1/320秒 F3.5 ISO100
本堂の横に腰かけて休息するおばあちゃんの様子。中望遠という微妙な焦点距離らしいスナップショット。
新型のAF-S NIKKOR 85mmF1.8Gも非常に評価が高いので迷うところだが、本レンズは今でも十分に通用する光学性能を持っているので、予算が限られている場合など悪くない選択肢ではないだろうか。中望遠レンズをまだ持っていないようなら、程度のいい中古を見かけたら押さえておいても損はないはずだ。
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