α7を購入して半年、当初はNEX-6の置き換えとしてお散歩カメラのつもりで導入したのだが、さすがはフルサイズ、その画質の良さは本物であり、気が付くとこのカメラばかり持ち歩くようになっていた。この画質を目の当たりにしてしまうと、言っちゃなんだがもはやAPS-Cでは満足できなくなってしまう。おかげでもう一台持っているAPS-C一眼のα77Ⅱはすっかり出番がなくなってしまった。
一方で以前F6を友人から借りて少し使わせてもらって以来、実はNikonがかなり気になっていた。最近になってD300を使う機会があり再びNikonに触れ、どうしてもNikonを使いたくなった私は往年のフィルム機F100を入手したりして気を紛らわせていたのだが、そのうちやはりデジタル機が欲しくなり、ついに出番のなくなったα77ⅡとAマウントシステム一式を元手にNikonへの乗り換えを決心した。当初はD300かD300Sの中古で程度のいいものをと思っていたが、APS-Cではじき満足できなくなることが目に見えていたので、どうせ買うならフルサイズにした方が結果的には近道と考え直した。
Nikonのフルサイズ機は現行ラインナップはD4S、D810、D750、D610の4機種。D一桁機はさすがに手が届かないので残りの3機種で考えてみたが、D610だとα7と立ち位置が被るのでこれは外した。D810はD三桁機の現行最上位機種であり文句のない性能だがやはりちょっと高価。となるとD750が最右翼ということになる。
D750はラインナップ中最も発売時期が新しく、性能には期待できる。一時はこれで決まりと思ったのだが、店頭に何度も通いさんざんいじってみて、何か満たされないものを払拭できなかった。それは何か。
おそらく、それはD750がD三桁機ではあっても、D600系の上位機種ではあるが、D700やD800の系譜ではない気がしたからであろう。それは何かというと、例えばファインダーの形状。D一桁機やD700、D800系は丸形で、F一桁機もF100ですら丸形なのに、D750はD600系と同様の角型である。また例えばボディ左手にはD一桁機やD700、D800系またF100もD300も3~4ボタンの撮影設定項目ボタンがダイヤル状に配置されているのに対し、D750はD600系と同様のMSAPと撮影モードダイヤルとなる。そしてボディの質感がD一桁機やD800系と比べるとどうしても一段下がって格の違いが見え隠れする。そしてフルサイズ2400万画素というスペックも、もちろん十分な数値ではあるが、それだとα7と一緒なのだ。どうせならもっとエクストリームな機種を手にしてみたいではないか。
そこで白穂の矢が立ったのが既にディスコンとなったD800であった。D810の前機種であるが、3630万画素という高画素センサーを搭載したかつてのD三桁最上位機種である。発売後3年が経ち、後継機種も出たことで今や中古市場でも15万円前後まで下がってきた。冷静にスペック表を比べてみると、D750に優っているのは画素数の多さとシャッタースピード上限が1/8000まであること。逆に常用ISO値は100~6400と後発のD750に負けており、エンジンも一世代前のEXPEED3ということで、トータルで見ればややD750が有利にも思える。
しかし、例えばあと数年経ってカメラの歴史が語られた時、名を残すのは世界初の3630万画素一眼レフであるD800だろう。D750ではないはずだ。D800を持つということはつまり、歴史を手にすることに他ならない。長いNikon史の中でも特にランドマークたりえる機種は多くはないが、D800は間違いなくそのひとつであり、最新機種を蹴ってまでD800を選んだ理由はここにある。その高画素ゆえ扱いにくいという声が絶えないD800だが、Nikonのフラッグシップをこれからじっくり試してみようではないか。
これで私の一眼機はα7とD800の2機種となった。2マウント体制となるがしかたがない。α7はお出かけ・お手軽ストリートスナップ用、D800はマジ撮り用ということで使い分けはできそうだ。すでに旧機種であるD800のファーストインプレッションは今さら焦る必要もないだろうから、使用感および実写レポートはまた次の機会に。
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