E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS(SELP1650)はNEX-6の標準キットレンズで、旧標準ズームレンズであったSEL1855より大幅に小さくなり、ズーム駆動が電動となった。このレンズの採用によってNEXシリーズは標準ズームを装着しても全体的に小さく納まるようになったわけだ。
登場前はレンズ単体だけでも購入しようと思っていたのだが、広角側16ミリ撮影時はカメラ内で補正機能が働くことが前提で設計されているようで、レンズ補正機能をそもそも持たない初代NEX-5ではせっかくの広角端16ミリがほとんど使いものにならないということだった為、購入を見合わせていた。しかしこの度、NEX-6のレンズキットを購入したことで結果的にSELP1650も手に入ってしまったので、あらためて実力診断をしてみることにした。
まず、概ね聞いていた通り広角端16mm撮影時はカメラ内補正が大きく働く。RAW+JPEGで撮影すると一目瞭然で、同じショットでRAWデータは周辺が大きく湾曲していても、JPEGデータはあまり湾曲を感じない。これはつまりRAWデータは補正前の状態で記録されているということなので、RAW現像の際はほぼ補正作業が必須となる。
それと、試しに初代NEX-5で使ってみたところ、撮影時の液晶画面上ですでに広角端では周辺部の湾曲と減光が著しいので、あとで補正すればいいとはいえ使っていてあまり気持ちの良いものではなかった。このレンズを使うならレンズ自動補正機能の付いたNEX-5N以降の機種にしたほうがいいかもしれない。
さて、それでは撮影サンプルをいくつか載せてみよう。
SONY NEX-6 SELP1650 1/80秒 F5.6 ISO2500
Lightroomで現像と若干の補正を施した。ソフト側でノイズを消してはいるが、ISO2500でこれだけの描写なら上出来だろう。レンズの性能というよりNEX-6の高感度耐性が優秀だったかもしれない。
SONY NEX-6 SELP1650 1/100秒 F8.0 ISO100
これもLightroomで補正をしているが、樹木の葉の描写など悪くない印象だ。明るい屋外でF8まで絞れば、このくらいまでの描写は可能。
SONY NEX-6 SELP1650 1/60秒 F4.5 ISO200
ガラス越しに食事メニューのサンプルを撮ってみた。そこそこ解像しているがF4.5にしてピントの合っていない奥側までほとんどボケない。このレンズはピントの合っている部分の描写はいいとしても、周辺のボケが非常に作りにくいのでパンフォーカス専用として考えたほうがよさそう。
全体的な描写力はSEL1855によく似ていて、そこそこ解像はするがJPEGではうっすら甘い絵になりがちなのでRAW補正は大前提となる。小さくて手軽に使えるのは大きなアドバンテージなので、わかって使うなら決して使えないレンズではないと思うが、標準域で他にもっといいレンズがあるなら本機を積極的に使う必要はないのかもしれない。
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