観光地など誰もがカメラを持っている場所で一眼機を持つのはいいが、街中やちょっとそのへんに行くのにあまり大仰なカメラを持つのも意外と気が引けるものだ。コンデジは数年前に購入したフジフィルムのF100fdを持っているのだが、一眼の世界に足を踏み入れた身にとっては、もはや画質的に満足できない。一眼機並みに画質のいいコンデジがあったらいいと以前から思っていた。
最近になって、そんな「画質のいい高級コンデジ」が続々と発売されるようになり、冷静に各社製品を比較したところ、最終的に選んだのはSONYのサイバーショットDSC-RX100だった。すでにα77やNEX-5などSONY製のカメラばかり使っている私ではあるが、なにもSONYで揃えようと思ったわけではない。決め手は1型というコンデジとしては圧倒的に大きなセンサーとF1.8スタートのツァイスレンズの実装である。そしてネットで見るこのカメラの作例がまた実に素晴らしく、とてもコンデジで撮ったとは思えない作品ばかりではないか。(公式HPこちらの作品など衝撃的。)発売後およそ半年が経ち価格もだいぶこなれてきた。
外観はSONYらしいシンプルだが近未来的なデザイン。カメラ全体の大きさからすればレンズがかなりの大きさを占めており、限られたサイジングの中でよく考えられたフォルムに仕上がっている。また金属製のボディは質感が高く、相応の高級感を感じさせる。大きさは今時のコンデジとしては小さいほうではないが、上着のポケットに入れておくくらいなら十分なサイズであり、持ち歩くことを前提につくられたカメラだということがよくわかる。
さて肝心の写りのほうだが、全体的にコントラストが高く色乗りのよい、コンデジなのにツァイスの片鱗をちゃんと感じさせる絵に仕上がっている。また有効2020万画素というこれもコンデジとしては圧倒的な解像度で、細かい部分までしっかり描写する。早速だがいくつか作例を挙げてみよう。
SONY DSC-RX100 1/3秒 F3.5 ISO320
カードレールにカメラを乗せてスローシャッターを切って光を流してみた。その場の思い付きでやったので思ったほどの効果がなかったが、コンデジでこういう凝った撮り方ができるのはありがたい。
SONY DSC-RX100 1/30秒 F1.8 ISO320
広角端でF1.8で撮影すると、背景はこんなにボケる。このボケがコンデジの絵とは驚き。もちろんピントの合った部分は開放でもシャープで、金属の描写力は圧巻。
SONY DSC-RX100 1/40秒 F1.8 ISO125
かなり寄ってマクロっぽく狙ってみた。あまり寄りすぎると被写体にカメラの影が入り込んでしまうので注意が要るが、広角端ではここまで寄ってもピントが合う。
とにかくこの小ささで、ここまでの写りを実現したカメラはおそらく現時点でRX-100だけだろうが、残念なのが望遠側の最短撮影距離が約55cmと意外に長いことで(広角端での最短撮影距離は約5cm)、この為望遠マクロ的な使い方は難しい。しかし思いつく弱点はこれくらいで、これ以外今のところ特に不満に感じることはない。まあひとつだけあえて言わせてもらえば、ボディ左下の青いツァイスのエンブレムが単なるシールでなければなおよかった。
どんないいカメラを持っていても、いつ訪れるかわからないシャッターチャンスをモノにするには持ち歩かなければ意味がないわけで、そういう意味ではRX100なら毎日持ち歩いても苦にならないし、画質に妥協もいらない。レンズ交換ができる一眼機の表現力には及ばない点はもちろんあるのだが、私のようにAマウントのサブにEマウントを使っているようなユーザーの場合、RX100でここまで写るなら例えばEマウントは本当に必要なのかと、今後大いに悩むことになりそうだ。
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