東北の耶馬渓の異名を持つ景勝地、抱返り渓谷
抱返り渓谷(だきがえりけいこく)は秋田県は仙北市の田沢湖と角館を流れる玉川中流に続く全長10kmにも及ぶ渓谷。東北の耶馬渓(やばけい)の異名を持つ景勝地で、渓流の独特な青さが特徴の絶景スポットです。第一駐車場に建つ案内板がひび割れて少しホラーな感じになっているのはご愛敬かな。
その昔は人がすれ違うときに、お互いに抱きかかえるように返さなければ通れなかったほど狭く険しい山道だったことから、「抱返り」と呼ばれるようになったとのことですが、現在では遊歩道が整備されていて、子供からお年寄りまで気軽に散策することができます。入り口の石碑の右手奥に見える松が生えた岩は「巫女石」と呼ばれ、かつて薬師参詣に訪れた巫女が、増水により川を渡れずにいたところを明神様が救ってくれたことに感謝し、崇敬の念から巨岩に化したという伝説の岩です。
それでは遊歩道を進んでいきましょう。遊歩道の上流には神代ダムがありますが、現在は途中から通行禁止となっているので「回顧の滝」付近までが散策コースで、所要時間は片道30~40分程度です。
渓谷の入り口に鎮座する抱返神社
遊歩道に入ってすぐに現れるのが抱返神社。
創設時期については二つの説があって、ひとつは1062年(康平5年)、前九年の役で源義家が当地で川の流れを鎮めるべく持仏を祀って祈願したのち、戦いに勝利して還って来たことから、「懐還」(だきかえる)と呼ばれるようになり、のちに「抱返」へ改書されたとの説。もうひとつは1673年(寛文13年)の大干害の際、この地の水源に雨乞いをしたところたちまち大雨が降ったことから、社殿を建て抱返りの水尺大明神を祀ったという説です。
もしかしたらこの二つの説は対峙するものではなく、1062年に創設された寺院に、1673年には水尺大明神を併せ祀ったということなのかもしれません。いずれにしても老杉に囲まれて荘厳な雰囲気の神社は一見の価値があります。
県内最古の吊り橋、神の岩橋
遊歩道を進むと見えてくるのが「神の岩橋」と呼ばれる全長80mの赤い吊り橋。大正15年に架けられた県内最古の吊り橋で、渓谷の眺望と青色の水面を一面に臨む絶景ポイントとなります。
この橋の名は、旧神代村と旧白岩村から一字づつとって名付けられたとのこと。少し揺れる吊り橋の写真を撮りながら足を進めると・・・
橋の上から絶景が広がりました。エメラルドグリーンの水面は信じられないほどの美しさ。
水面は透明度が高く、川底の小石まで透けて見えるほど。
木々の緑と赤い橋、そしてエメラルドグリーンの水面が異世界のようです。緑の生い茂りが激しい感じが秘境っぽさを醸し出していますね。
思わず河原まで降りてきてしまいました。見上げる吊り橋と、空の青のコントラストがまた素晴らしいです。たくさん写真を撮りましたので続きは次回Part.2でお届けしましょう。
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