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フロンティアライト
カメラと写真好きのフツーの会社員。好きすぎてこれで生きていけないか妄想中。ときどき新旧デジタルグッズのレビューなども織り交ぜてお届けします。

Nikon F4 ◆ レビュー ◆

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■Nikon初のフラッグシップ・オートフォーカス機F4

うっかりヤフオクでF4を落札してしまった。F4といえば1988年フィルム時代のニコンフラッグシップ「Fひと桁」シリーズのF3に続く4機目であり、ニコンがオートフォーカスをフラッグシップ機に初めて採用したモデルである。この当時のオートフォーカスといえばまだまだ精度・スピードともに発展途上の技術と言われており、そんな中ついにプロ機であるFひと桁シリーズに搭載されたことで、本格的にオートフォーカスの時代が訪れることとなる。

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デザインはF3と同じくジウジアーロ。F3のクラッシックなフォルムとは一線を画し、近未来的かつ無骨な独特のフォルムは今見ても実に美しいが、外装にエンジニアリングプラスチックを採用していた為経年により擦れてテカテカになりやすく、現在中古市場で美品クラスを目にすることは少ない。またF4の構造的な問題として、「プレビュー鳴き」と言われる絞り込んだ際に十分にレンズの絞りが閉じ切れないという不具合が発症しやすく、すでに多くの機体ではこれが発症しているのみならず、メーカーサポート期間がすでに終了しているため、ひとたび発症すれば修理不能の状態となるという厄介な問題を抱えていることもあって、市場での人気はいまひとつの感がある。幸いなことに今回入手した個体はこの「プレビュー鳴き」が発症しておらず、掘り出し物といえたかもしれない。

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バッテリーグリップの形状の違いによりF4/F4S/F4Eの3バリエーションがあり、今回落札したのはバッテリーパックMB-21を装着したF4Sとなるが、この場合単3電池を6本装備する必要があるため、本体のみで重量1キロ超え(正確には1,090グラム)なのにトータルで約1.3キロ近くとなり、これにレンズの重量が加算されるので相当に重い。なおF4は大きくボディ、ファインダー、バッテリーグリップの3パーツ構成となっているため、これらパーツ単位の交換といったことが可能なのもフラッグシップ機ならではである。

■大きく重いが操作感はさすがのF一桁機

レリーズ音は大きくはないが「押した」感触が良く、操作感は上々。外装こそプラスチックではあるが、ボディ上部にずらりと並んだダイヤルやスイッチ類は多くがロック機構付きで、意図せずスイッチされてしまうのを防ぐなど堅牢性は高く、さすがはニコンのフラッグシップ機。ファインダーは大きく明るいもので、F3と共に現在でも最高レベルの見やすさであるとともに、ファインダー内で点灯するフォーカスエイドランプが実にわかりやすく、マニュアルフォーカス機としても使いやすい。オートフォーカスのスピードも体感上現在とさほど変わらないレベルのもので、フィルムも自動巻き上げなので撮影しているとフィルム機であることを忘れてしまいそうになる。

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メーカーのホームページではすでに取扱説明書も設置されていないので、フィルムの入れ方・出し方がわからず苦戦したが、それ以外は現行のニコン機でも採用されている機能がほとんどであり、多少の知識があれば使用に問題はないだろう。ただ気を付けたいのは、この時代のカメラは一般的にボディ側に絞りを制御する機能を持たないため、レンズ側で絞りをコントロールする必要があり、すなわち現行のGタイプレンズは開放意外では使用することが出来ない。またたとえ手振れ補正VR機能付きのレンズを使っても一切反映しないので、当たり前だが撮影時はしっかり構えて臨みたい。
それではサンプルショットを投下しよう。今回も使用したフィルムはフジカラー100(ネガ)、現像後フィルムを直接α7にて撮影しデジタルデータ化後、Lightroomで調整した。

国会議事堂
Nikon F4 voigtlander Color-Skopar 20mmF3.5 SLⅡN

手持ちのマニュアルフォーカスレンズ、カラスコ20mmにて国会議事堂を正面から狙った。ファインダー中央部でピントが合えばフォーカスエイドランプが大きく光って合焦を知らせてくれるので、マニュアルでのピント合わせはF3などよりだいぶラクだ。

皇居外苑
Nikon F4 AI AF NIKKOR 50mm f/1.8 D

本来のDタイプレンズでオートフォーカスにて撮影。前回の記事でRX100でも同じ構図で撮っているので、デジタルと銀塩の写りの違いを楽しみたい。AI AF NIKKOR 50mm f/1.8 DはF4とのバランスも良く、多少煩いがオートフォーカスは正確で信頼できる。

ペニンシュラ
Nikon F4 voigtlander Color-Skopar 20mmF3.5 SLⅡN

松本楼
Nikon F4 voigtlander Color-Skopar 20mmF3.5 SLⅡN

上の2枚はどちらも夕刻でシャッタースピードはだいぶ遅くなっていたと記憶しているが、大きくブレることなく撮影できた。カメラが重いからか逆にホールドさえしっかりすれば意外と手振れを抑えられそう。
カメラの歴史を紐解けば、銀塩からデジタルへの移行が最大のトピックであることに異論はないと思うが、マニュアルフォーカスからオートフォーカスへの移行もまた大きな転換点であり、これをニコンに当てはめたときの代表機がF3・F4であろう。どちらも歴史に残る名機であるが、その後のF5のフォルムが現行のニコン一眼機に酷似していることから考えると、F4はF3以前にもF5以降にも属さない独自のポジションにあるといえる。他の何にも似ていない唯一無二のニコンフラッグシップ機、それがF4だ。

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