
普段はスチル(静止画)しか撮らない私が動画に挑戦
普段から私はいろいろなカメラを持ち歩きますが、撮るのはスチル(静止画)ばかりで動画はほとんど撮りません。アクションカメラを買っても超広角の静止画撮りに利用するだけで、動画に触手を伸ばすつもりもありませんでした。しかし車で景勝地を走っていると、「今の景色、撮りたい」と思うことはよくあって、このような際に動画を撮っておくのが一つの対策になるかもと思い始めました。
そこで今回、福島は磐梯吾妻スカイラインを走る機会があったので、所有するInsta360 Ace Proを車載し、走行風景の撮影を試してみることにしました。

停車できない場所にも絶景はある
車で移動する場合、車内からの景色がとても美しかった、という経験をした方は多いでしょう。そんなとき、車を止めてカメラを構えることができればいいのですが、しかし、どんな場合でも車を停車できるとは限りません。例えば山岳道路では停車してしまうと後続車が通れなくなったり、いわゆるワインディングロード、峠道と呼ばれる道であれば停車すること自体が危険を伴います。

ドラレコでの代用はできるか
実はすでに多くの車にはドライブレコーダー(ドラレコ)が搭載されていて、すべての景色を知らず知らずのうちに撮影してしまっているケースもあるでしょう。ならばドラレコからデータを頂いちゃえば事足りるのではと思うかもしれません。私も最初はそう思いました。
そこで一般的なドラレコと、今回使用するInsta360 Ace Proの性能などいろいろな比較をしてみました。
| 一般的なドラレコ | Insta360 Ace Pro | |
|---|---|---|
| センサーサイズ | 1/2.9型 | 1/1.3型 |
| 画面解像度 | フルHD(1920×1080) | 最大8K(7680 × 4320) |
| フレームレート | 27.5 fps | 8K時最大24fps、4K時最大120fps |
| 編集 | 基本的にしない | 動画や静止画として活用 |
| 構図 | 固定 | 調整可能 |
| 目的 | 事故時の証拠保全 | 旅や風景の記録 |
まず単純に、Ace Proはセンサーサイズが一般的なドラレコの約5倍の大きさになりますので、画面解像度でいえば最大約16倍という面積差があります。これは画質面で考えると圧倒的な差です。「何が起きたか」を記録するだけであれば、ドラレコでもいつどこを走ったか・前の車は何だったかは分かりますが、その後動画を切り出して、観賞用に加工編集することも視野に入れれば、ドラレコ画質ではかなり厳しい印象です。
両者同じように走行風景は記録できても、ドラレコが事故やトラブルに備えるための最低限の性能とすれば、Ace Proは旅の記憶を残すことができる上位性能を持ち合わせていると言えます。
車への設置方法について

ただ、実際にアクションカメラを車内に設置するには工夫が必要となります。当たり前ですが、車は初めからアクションカメラを設置できるようにはつくられていないからです。いろいろと考えた結果、今回私が行った方法は以下の通りとなります。
まずはカメラはInsta360 Ace Pro。メーカーの商品ラインナップではすでに旧機種ですが、超小型の筐体に強力な手振れ補正機能を内蔵し、現在でも十分な性能です。センサーサイズは1/1.3型と、レンズ交換式カメラに比べれば小さいですが、スマホやドラレコ等と比べるとずっと大きいもので、一定クオリティの画質を期待できます。
車にカメラを固定するマウントとして今回購入したのがクリップタイプの本製品です。車載マウントとしてはガラスやダッシュボードに吸着させる吸盤式タイプが一般的ですが、フロントガラスにカメラを設置するのは本来ドラレコ以外の目的となると法令上グレーであることや、ダッシュボード上に糊跡が残ってしまうことなどを考慮し、それ以外の方法を模索したものです。

私の車では写真の位置でクリップを挟むことができました。車によってはもっと別の場所に設置できることもあるかもしれませんので、いろいろと試してみることをお勧めします。

あとはその他取り付け用のパーツを使って細かな位置決めをしました。これらはメーカーが違っても企画が同等であれば広く使用できると思われます。
実際に磐梯吾妻スカイラインを走る
それでは実際にカメラを回して福島の常磐吾妻スカイラインを走行してみましょう。一部を除いて写真はAce Proの4K60fps動画より切り出したjpegをLightroomで調整したものです。

常磐吾妻スカイラインは、福島県福島市の高湯温泉から土湯峠へと続く、全長約29kmの山岳観光道路。日本初の山岳道路で、旧建設省と「道の日」実行委員会が選定した日本の道100選にも選ばれています。今回は関東から北上するかたちとなりますので、土湯峠が入り口です。

少し走ると「吾妻八景」と呼ばれるビューポイントのうちのひとつ「国見台」が見えてきました。車線が増えていましたので、ここなら道路端に寄せて停車することもできそうでした。

「湖見峠」のポールがありました。1台、停止している車もあります。

「双竜の辻」付近。ここから見える磐梯山と安達太良山、それぞれの名峰を竜の背になぞらえて名付けられたとのこと。

前方にはげ山の姿が見えてきました。

スカイライン最大の景勝地「浄土平」の有料駐車場手前1キロの場所に無料の「兎平駐車場」がありますが、有料駐車場でも料金は500円だし、施設の充実度が違いますので、素直に有料駐車場まで進むことをお勧めします。
浄土平有料駐車場ではビジターセンターを起点として、周辺の散策を楽しむことができます。ここの散策に関しては別記事を立てましたので、こちらご参照ください。


浄土平でひと息つきましたら、再び出発しましょう。

すぐに随所に噴気も上がっている荒地エリアに突入します。

吾妻山から流れ出た溶岩が冷えてできた荒地と湿地帯が広がり、草木の少ない荒々しい山はまるでアリゾナを彷彿とさせます。この付近は活火山の影響で高濃度の火山性ガス(硫化水素など)が発生していて、駐停車および立入が禁止されていますので、車載カメラでなければ撮影ができません。

まさにこういった場所を撮影できるのが車載動画の醍醐味ですね。

この辺りは「霜降」と呼ばれる花崗岩が露出した岩壁の道です。

「天狗の庭」は美しい眺めゆえに天狗がこの地で羽を休めたという言い伝えが古くからあるそうです。

「つばくろ谷」と呼ばれる渓谷に架かる大橋「不動沢橋」に入りました。

「つばくろ谷駐車場」に入ると、車から降りてカメラを構えることが出来ますので、今しがた走ってきた不動沢橋の全景と、その向こうの福島盆地を撮影することができます。
まとめと今後の課題
今回初めて車載動画を撮ってみましたが、思った以上にキレイに撮れていて驚きました。さすがは動画に特化した思想で生まれてきたガジェットだけあって、動く車の中からの撮影なのにほぼ手振れを感じず、特別なセッティングなしでも十分なクオリティの画質を得られます。静止画に切り出してしまうと、圧縮画像なりの加工感はありますが、粗を探さなければ普通にキレイと感じられる絵作りではありました。

いくつか課題もあります。まずは熱暴走で録画が停止してしまうケースが実際に起こること、バッテリーは満タンでも(4K60fps録画では)1時間は持たないこと、そして車内の位置決めに現在のところ決定打がないこと、などです。カメラの設置場所はあるいは以下のように、サンバイザーを利用してもいいかもしれません。これらは今後も試行錯誤を続けていこうと思います。

とはいえ私が最も価値を感じたのは、停車できない場所で出会った景色を持ち帰れることです。これまでスチルでは取り逃がしていた風景が、動画として残り、後からその一瞬を静止画として切り出せる。Ace Proは私にとって動画カメラというより、撮れなかった風景を持ち帰るためのカメラになりました。




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