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フロンティアライト
カメラと写真好きのフツーの会社員。好きすぎてこれで生きていけないか妄想中。ときどき新旧デジタルグッズのレビューなども織り交ぜてお届けします。

旧日立航空機立川工場変電所 ◇撮影レポート◇

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Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/640 F8 ISO100
目次

公園の中に残る小さなコンクリートの箱

住宅街を歩いていると、公園の向こうで突然視界が開けます。 草地の向こうには、ぽつんとコンクリートの箱。 廃墟と呼ぶほどの大きなものではありません。けれどこの小ささがかえって違和感と、この箱が残された理由を強く感じさせます。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/320 F8 ISO100

旧日立航空機立川工場変電所は、東京都東大和市にある、1938年(昭和13年)から1993年(平成5年)まで使用されていた変電所。ここは「西の原爆ドーム、東の変電所」とも言われるいわゆる戦争遺跡で、東大和市の指定文化財になっています。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/200 F8 ISO100

周囲にはかつて工場が広がっていたはずの場所ですが、今はその痕跡はほとんどありません。公園の中央に変電所が点のように置かれていて、風が抜けるたびに建物の影が草の上で揺れるばかりです。

外観:被弾跡を読む

近づくと、外壁に無数の被弾跡が残っているのがわかります。 角度を変えるたびに光が凹凸を拾い別の表情を見せ、 正面から見ると荒々しく、斜めから見ると静かに沈んでいるようにも見えます。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/160 F8 ISO100

戦争末期になると、軍需工場が集まるこの地域は度々空襲を受けるようになり、この工場は米軍により3回の空襲を受け、多くの命が失われたとされています。とにかくこの建物の小ささに対して、被弾跡の密度の濃さに驚きました。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/250 F8 ISO100

入り口左側に展示されているのは、変電所と共にかつて被弾した、現在は取り壊された給水塔の一部。給水塔はここから西側へ約230メートル離れた場所にありましたが、この場所が都立公園として整備されるにあたって取り壊されています。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/640 F8 ISO100

変電所は現在、毎週日・水曜日に一般公開されていて、内部に入ることが出来ますので、早速足を踏み入れてみましょう。

1階内部:展示室としての現在

内部に入ると、外観の荒々しさとは対照的に、静かに整えられた展示室が広がっていました。 かつての工場の写真や資料が並び、変電所がどのような役割を担っていたのかが淡々と語られています。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/25 F6.3 ISO100

外から見た戦争の痕跡とは違い、ここには記録としての現在があって、誰かが手を入れ残そうとしている気配があります。その静けさが、外観の荒々しさをより際立たせているようにも感じます。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/30 F6.3 ISO2000

1階右側の蓄電池室では、コンクリートの外壁が被弾によって貫通している様子を見ることが出来ます。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/30 F4.5 ISO2800

外壁の厚さは約20cmと言われていますので、いかに凄まじい被弾だったかがわかります。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/50 F8 ISO360

この地域を空襲した米飛行機の模型が展示されていました。こちらは3度目の空襲で大量の爆弾を投下して工場を壊滅させたB-29爆撃機。ちなみに機銃掃射を行ったのは主にグラマン(F6Fヘルキャット)戦闘機とのことでした。

2階内部:装置の残骸が語る過去の手触り

階段を上がると、2階には変電所として使われていた装置の残骸が残っています。 朽ちた鉄、剥がれた塗装、薄暗い光。 展示室の整った空気とは違い、ここには時間が沈殿したままの空気があります。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/40 F4.5 ISO100
Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/25 F4.5 ISO200

配電盤は、主変圧器で受けた電力を9個の配線で各工場に供給する装置。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/50 F6.3 ISO1100

一番左端の低圧配電盤は、変電所が建設された当時のもので、脇に「昭和14年製」と記載があるほか、よく見ると複数の銃撃痕が残されています。空襲の際に南側の窓から、金属でできた盤を貫通する威力で銃弾が飛び込んできたことがわかります。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/40 F4.5 ISO100

油入遮断機は変電所から工場に供給していた電気がショートを起こしたときに、 自動的に回路を遮断して安全を守るための装置。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/160 F4.5 ISO100

窓から外を見ると、平和そのものの公園の風景が広がっています。かつての軍事工場時代から、この景色になるまでに約80年という長い年月を費やし、いまようやく静けさを取り戻したのだと感じました。

変電所は街の中の小さな島

本来は都立公園として整備される際に給水塔と共に取り壊される予定でしたが、市民グループや元従業員の方々の保存活動により保存が実現したようです。東大和市では1995年(平成7年)と2020年(令和2年)に、建物の老朽化等に対応するために保存・改修工事が行われて現在に至ります。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/400 F8 ISO100

建物の外に出ると、すぐそばには団地や住宅が並んでいて、日常の風景の中に変電所だけが時間の流れを止めたまま佇んでいることを意識します。 まるで街の中にぽつんと浮かぶ小さな島のよう。この建物は、戦争を語るための象徴というより、ただ静かに時間を積み重ねてきたひとつの場所としてここにあって、かつての痕跡も今の静けさも、どちらもこの建物の一部なのだと思いました。

ただ壊されずに残った結果として、今の風景の中に立っている。その存在の静けさがこの場所の魅力なのです。

Nikon Zf | NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3 | 1/400 F8 ISO100

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