
ちょっと気になる軽量ズーム24-50mm
NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3(以降本記事では「新24-50mm」とする)は、2020年発売のNikon Z5のキットレンズとしてデビューしました。キットレンズということで当初はそこまで注目される存在ではありませんでしたが、どちらかというと大きめのレンズが多いZマウントレンズ群においてコンパクトで取り回しがいいこと、他の標準ズームよりも安価、なによりF値が暗いのに描写は良好ということで、その後じわじわと評価されるようになりました。

NikonのZマウントレンズでは、フルサイズ用の標準ズームはざっと10本近いラインナップが犇めいていますが、中でも最も安価かつ最軽量なのがこのレンズ。マウント部も含め筐体はすべて樹脂パーツで構成されていて、ズームレンジも24mmから50mmの2倍相当という割り切った仕様となっています。せっかくのズームレンズなのに、望遠端は標準域の50mm止まりということに物足りなさを感じる方も多いかもしれません。

実はかつてNikonはオートフォーカス黎明期の1987年、同じズームレンジを持つ Ai AF NIKKOR 24-50mm f3.3-4.5S(以降本記事では「旧24-50mm」とする)というレンズを発売していました。このレンズは1995年にDタイプレンズとしてリニューアルされますが、レンズ構成が同じなので描写性能自体は同じものと思われます。その後デジカメの時代になってからはGタイプレンズでこのレンジのものは発売されていませんので、Nikonにとって新24-50mmは約30年ぶりのラインナップということになります。
旧24-50mmについては、本ブログでも過去にレビューしたことがありますので、興味のある方はご参照ください。

旧24-50mmの当時の印象としては、そこそこ写るがF値が暗いこともあってボケないレンズ、くらいの認識でしたが、30年の時を経てどれだけの進化を遂げているのか、あらためて新旧24-50mmを比較してみたいと思います。
新旧スペック・外観の比較
2本のレンズの仕様を簡単に表にしました。
| (旧)24-50mm f3.3-4.5S | (新)Z 24-50mm f4-6.3 | |
|---|---|---|
| 発売時期 | 1987年12月 | 2020年8月 |
| マウント | Fマウント | Zマウント |
| レンズ構成 | 9群9枚 | 10群11枚 |
| 重量 | 約445g | 約195g |
| 全長(最短) | 約73mm | 約51mm |
| フィルター径 | 62mm | 52mm |
| 最短撮影距離 | 0.6m | 0.35m |
旧24-50mmのほうがF値は明るいとはいえ、新24-50mmは圧倒的にコンパクトに仕上がっているのが特徴のひとつ。冒頭の写真は2本を並べたものですが、ざっくり2/3くらいの印象です。

ただ、新24-50mmは沈胴機構を採用していますので、レンズを繰り出してしまえばそこまで長さに差はなくなります。

とはいえ、旧24-50mmをZマウントカメラで使うには、FマウントをZマウントに変換するマウントアダプターを使用する必要がありますので、そこまで考えるとやはり新24-50mmの優位性は大きいでしょう。ちなみに純正マウントアダプターFTZ(Ⅱ)を使っても、旧24-50mmでオートフォーカスは作動しませんので注意が必要です。
簡単に撮り比べをしてみる
では、2本の描写性能には差があるでしょうか。今回はNikon Zfにそれぞれのレンズを装着して試してみます。なるべく同じ被写体を同じ位置から撮影してみますが、厳密に全く同じ条件ではないので細かな部分比較というよりも、全体として捕えていただきたいと思います。尚撮って出しではありませんが、画像調整は最低限にしています。


広角端 24mm


広角端24mm。F値は共に開放です。ぱっと見、大きな違いはありません。拡大しなければわかりませんが、旧24-50mmでは中央の街灯と空の境界にフリンジが発生していますが、少し絞れば改善しそうです。
望遠端 50mm


望遠端50mm。F値は共に開放ですが、描写に明確な違いは感じられませんでした。開放F値が小さい分だけ、旧24-50mmのほうが気持ち背景のボケが大きいのかなといったくらいです。
最短撮影距離


両レンズの最短撮影距離まで寄って撮影したテーブルフォト。旧24-50mmの0.6mに比べ、新24-50mmは0.35mまで寄れますので、当然新24-50mmのほうが大きく写すことができます。ただ、描写そのものは旧24-50mmも良好です。
同じ被写体を2本のレンズをとっかえひっかえ撮影していても正直あまり楽しくないので、次にそれぞれのレンズでの作例を投下しましょう。
新旧レンズで作例集
(旧)Ai AF NIKKOR 24-50mm f3.3-4.5S





旧24-50mmは30年前の設計ですが、ひとことで言うと「ちゃんと写る」レンズ。解像感もありわりと現代的な描写で、 Zf の2450万画素にも耐え得る写りではあります。しかしながら、被写体によっては広角側で周辺部の歪み・画像の流れが目立つことがあり、フリンジも出やすいです。望遠側は周辺も安定し、比較的近距離にピントを持ってくるとそこそこ背景ボケも出ますので、あまり細かいことを言わないで気軽に使う分には問題ないかと思います。
ただ、Zボディで使うとなると前述のようにマウントアダプター分だけ全長が長くなってしまう上、オートフォーカスも効きませんので、それでもなおこのレンズを使う意味があるかと言われると微妙なところです。
(新)NIKKOR Z 24-50mm f4-6.3





評判通り非常によく写る印象です。解像感も良好ですがモノの質感を捕えるのが上手いレンズで、周辺の歪みも良く補正されていますので安心して使用できます。F値が暗いですが、近距離にピントを持ってくるとそこそこボケも楽しめます。コンパクトなのでカメラに付けっぱなしで嵩張らないのもポイント。中古で3万円前後で買えるなら、持っていても損はないでしょう。
あたりまえですがミラーレス全盛の現代においては、新24-50mmの優位性は揺るがないというのが比較結果となりました。ただ、旧24-50mmも決して写り自体は悪くないですし、絞り輪がありますので、例えばフィルム時代のF3やF4といったNikonボディを使う際には強みを生かせるかもしれません。今後も手放すことなく手元に置いておこうと思います。



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