
一般公開されている唯一の徳川家住宅
千葉県は松戸市にある戸定邸は、明治維新により権力の座を離れた徳川家の明治時代の住まいがほぼ完全に残る唯一の建物で、国の重要文化財に指定されています。建設したのは江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜の弟、昭武で、1884年築といわれています。
以前から何度か撮影に訪れていて記事にしたこともあったのですが、ライカQ2を購入して何を撮ろうかと思った際、まっ先に思い浮かんだのがここでした。実は新しい撮影機材を導入した際の試し撮りのロケーションにここを選ぶことも多いのです。

たいへん貴重な建物だと思うのですがなんと250円で入場できます。内心安すぎではと思ったりもしますが、安いのでよく来るというのも理由のひとつです。

現在は9棟が廊下で結ばれ、部屋数は23個。徳川家の邸宅といっても、明治時代になって権力の座を離れた後の時代のものであるため、規模は大きく縮小し装飾も最小限にとどめられていますが、現在の一般庶民の感覚からすればそこそこに広いお屋敷と言えそうです。

徳川昭武は江戸幕府15代将軍慶喜の弟で、その後継者の最有力候補だったといわれていますので、世が世なら幕府の将軍になっていたかもしれません。その昭武と家族や使用人達が住んでいた住まいがほぼ完全な形で現存しているというのは、たいへんな歴史的価値があると言えるでしょう。

大広間を除けばひとつひとつの部屋はコンパクト、廊下は狭いという印象ですが、当時の日本人の体形からすればこれが標準であったのでしょう。ただ天井が低いという感じはないです。

現代家屋ではまず見られない円形窓は光が漏れるととても風情がありますね。

1884年築ということで140年くらい経っているわけですが、実際のところ増築や修復もしているでしょうから、本当に140年経った場所がどれほどあるのかわかりませんが、今ではまず見られない明治期の日本家屋、単純に見て回るだけでも十分に楽しめます。

戸定邸に造園された庭園は旧徳川昭武庭園(別称は戸定邸庭園)と呼ばれ、芝生が植えられた現存する洋風庭園としては日本最古といわれています。

戸定邸や庭園、資料館などを含む「戸定が丘歴史公園」は松戸駅から徒歩約10分。ゆっくり撮影ができなくなるのであまり流行ってしまっては困るのですが、ご興味のある方は一度くらい訪問してみてはいかがでしょうか。

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