
令和のハーフカメラPENTAX 17の作例を一挙公開
PENTAX 17は令和の時代に新発売されたフィルムカメラ、しかもハーフ。発売からしばらく経ちましたが実は気になっているという方も多いのではないでしょうか。


今回は実写レビューのために撮影したショットから作例を大量投下させていただきます。メーカーやカメラショップの、プロの方が撮ったようなちゃんとした作例ではなく、一般ユーザーが普通に撮ったらこんなんだよ、というリアルな作例をお届けしましょう。ちなみに冒頭のショットは、工場の煙とその姿が水溜りに写ったショットを左右に並べたものです。面白いと思って撮ったけど出来上がりを見たらそうでもなかった笑。
あまり深く考えずにどんどん撮るのがスタイル

さてまずは晴天下の屋外のショット。フィルムがISO100の場合は粒子感が小さめで綺麗に撮れます。PENTAX 17のレンズは25mmですが、ハーフサイズなので1枚当たりの画角は約37mm程度となり、単焦点カメラとしてはほどよく広角でちょうどいいくらいかと思います。

PENTAX 17は露出もシャッタースピードもカメラが勝手に決めてしまうAEオート方式のカメラですので、撮影自体はラクっちゃラクですが、一方ではマニュアル設定はできないので中~上級者にとっては物足りないと感じられるかもしれません。あまり深く考えずバシバシ撮っていくのがスタイルといえそうです。

特に明るい屋外ならAUTOモードにすれば多分絞り値が上がることで被写界深度が深く取れるので、ピントすら弄らずにキレイに撮影できます。AUTOモード以外ではゾーンフォーカスでピント(距離)を選ばなければいけませんが、どちらにしてもあまり緻密なピント合わせをするカメラではないのでしょう。

写したい被写体までの距離がだいたい1メートル以上か以内かで、AUTOモードにするかPモードにするかを判断して撮影すると、大きな失敗は防げるかと思います。「Pモードの時にピント合わせを忘れる」というのがこのカメラでありがちな失敗ですので、これは覚えておいてください。

続いて夜間の撮影です。観光地で人が多く基本的にフラッシュを点灯させたくないので、撮影モードは白いお月様マークのスローシャッターモードです。

ISO200かつ写真によってはデジタイズの過程で少し暗部を持ち上げていますので、全体的に粒子感はあります。多分ですが絞りは解放値F3.5になっているのではないでしょうか。このため日中の写真と比べると全体的に甘めですが仕方がないところです。

このカメラ、正直暗いシーンの撮影は得意とは言えませんが、まあオートのフィルムカメラではこんなものかと思います。コツは暗い中でも明るいものを被写体に選ぶことでしょうか。

ぶらぶら歩いていたら、ライカM3を首から吊るした日本語ペラペラの外人さんに「あっ、それPENTAX 17ですか?」と声をかけられました。10分くらい立ち話をしましたが、やっぱりこのカメラ注目度高いんだなあと思った瞬間でした。

結構暗くてだめかもと思って撮ったショット。デジタイズの際Lightroomでいろいろ編集しましたけれども、スカイツリーをスマホで撮影している女性の構図がちゃんと再現できました。画質は荒いですが個人的には今回のベストショットかな。
正直レビュー:中~上級者にはつまらないカメラかも
さてPENTAX 17をひと通り試してみた感想を正直に言いますが、端的に言えば「惜しい」です。フィルムカメラという文化を継承するという志は激しく賛同するところで、こうした取り組みには応援もしたいのですが、純粋にこのカメラの評価となるとやっぱり、実売8万円という価格から期待する撮影体験には至らないというのが本音になります。

絞りもシャッタースピードも一切がカメラ任せのうえに、ゾーンフォーカスでピントも思うように合わせられないとなると、すみません私の場合、いったい何をモチベーションにして撮ればいいのかわからないのです。これゾーンフォーカスじゃなくてレンジファインダーだったら、あるいはマニュアル撮影ができるカメラだったらと思うと、本当に惜しい。
とはいえ、フィルムカメラを初めて触るような方にはひょっとしたら刺さるかもしれませんので、そこは実際に手に取っておのおの判断されたらいいと思います。ただこのカメラを世に出したリコーイメージングには最大限の敬意を表したいですね。
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