日本一の鉱都、足尾銅山を再現する坑内観光
足尾銅山は1610年に開山し1973年閉山された、栃木県は足尾地区にあった銅山。明治時代には日本初の公害事件とされる足尾鉱毒事件が起きたことでも知られていますね。このかつての坑道の一部を銅山の歴史を伝える観光施設として1980年に整備・開放したのが足尾銅山観光です。
足尾銅山としての歴史は400年弱にも及び、かつては「日本一の鉱都」と呼ばれ大いに栄えた足尾町の歴史の一端に触れることが出来る施設ですが、実は坑道の中は夏でもひんやりとしてとても涼しいというので、猛暑の折のお出掛け先としてもお勧めです。それに観光地としてはいい具合に寂れていますので、あまり混み合っていないのも魅力のひとつ。
仕掛けとしてはトロッコに乗って、実際の坑口から坑道に入っていくという演出です。トロッコは15分ごとに往復していますのでそれほど待たずに乗り込むことはできますが、走る距離が短く、あっという間に坑道内に到着してしまいます。
ちなみに坑道内にトロッコで進入できる観光鉱山は足尾銅山のみのようです。なお往路はトロッコですが、復路は徒歩になります。
坑道内に到着しました。思っていた通り、とても涼しく快適です。人によっては寒いと感じるほど。
観光用の坑路以外にも閉鎖されている坑道がありました。この先の坑道はなんと1200キロ以上に及んでいるとのことです。1200キロって東京から博多くらいまで行ける距離ですが、直線距離としては約6.5キロ、その上下にたくさんの階層の水平坑道が這っている立体構造になっており、それらの総距離が1200キロ相当ということでした。それでも相当な迷宮ダンジョンであることには違いありません。
では順路に沿って先へ進みましょう。ちなみにこの日の装備はNikon Zfに人気のズームレンズNIKKOR Z 24-120mm f/4Sのみ。はなっからレンズ交換なんてしない想定です。
ところどころに当時の採掘の様子を再現する人形が展示されています。これが結構いい表情をしていて、まじまじと見入ってしまいました。坑道内は明かりもありますが基本的には暗いので、撮影する場合どうしてもISOが上がってしまいますが、この日持ち込んだZfは高感度耐性が非常に優秀で、ISO22800にしてこの画質(Lightroomで編集はあり)。素晴らしいです。
この坑道の感じ、なんかバイオハザードでこういうのあったなあと思ってたくさん写真を撮ってしまいました。望遠端が120mmあれば結構圧縮効果も感じられますので、これ1本でいろいろな表情の写真が撮れます。
見学できるコースはそれほど長い距離ではありませんが、江戸、明治・大正、昭和とそれぞれの時代ごとの採掘現場が再現されていて興味深いです。特に古い時代の労働環境のどれだけ過酷なものであったか、そして鉱毒事件がどのようにして起こり、環境破壊がどうして進んだのか、当時の時代背景を含めいろいろと考えさせられるものがあります。
また全体的に廃墟っぽいテイストなので、その手が好きな方にもお勧めです。シーズンにもよるでしょうが観光客は少なめですから、坑道の中で一人になれたらちょっとした恐怖感も味わえますよ。
昭和の香り満載の売店ではここで取れたと思われる鉱石や、世界各国の鉱石・化石、天然石アクセサリーなどが販売されていました。かつてここで鋳造されたという寛永通宝なんかも販売されていて、古銭好きの方にもいいかもしれませんね。
足尾銅山観光は車で日光宇都宮道路日光ICから約30分。周辺に駐車場が完備されていますので気軽にアクセスできます。今回は行けませんでしたが、周辺には銅山と関連する古河掛水倶楽部、古河橋、本山精錬所跡など廃墟感溢れる施設がたくさんありますので、時間をかけて地域をゆっくり見て回るのも楽しそうです。
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