都内に現存する最古級の木造見番建造物がひっそりと開館
港区立伝統文化交流館は、老朽化により取り壊しが決まっていた港区の有形指定文化財である「旧協働会館」を改築工事によりリファインした公共施設。令和2年4月よりオープンされていますが、当時コロナ禍の真っ只中にあったことから、公開時はひっそりとしたものであったようです。
もともとの旧協働会館は、昭和11年に芝浦花柳界の見番として建設された、都内に現存する唯一の木造見番建造物でした。見番とは、料亭・置屋・待合茶屋からなる「三業」を取りまとめて芸者の取次や遊興費の清算をする施設のこと。戦後は港湾労働者の宿泊所として使われてきましたが、平成12年には老朽化により長らく閉鎖されていました。
その後芝浦の歴史文化が詰まった建物を残したいという地域の声を受け、平成29年に保存整備工事がスタート、令和2年より現在の姿で稼働しています。ご覧のように、周辺をマンションやビルに囲まれた中に昭和の建築物がぽつんと佇んでいる様は思わず二度見してしまうインパクトです。
現在は地域の公民館的な施設のようで、建物内の交流の間は貸し切り利用もできるようです。
中庭も雰囲気たっぷり。
正面玄関から入館し、正面の受付で見学したい旨を告げます。公民館なので入場は無料ですが、簡単な入館票の記入を求められました。この日は平日の18時半くらいの訪問でしたが、施設関係者の他には私以外誰もいませんでした。
廊下は狭く、大人数では通ることもままならないくらい。
こちらがかつて百畳敷と呼ばれた2階の大広間。協働会館の時代は日本舞踊などの稽古場として使用されていたとのこと。基本的に12時から14時までが開放時間のようで、この日の訪問は18時を過ぎていたため一旦は見学できないと言われましたが、たまたまこの日は私の他に入館者がいなかったため、特別に許可をいただけました。ここは建物内部のハイライトなので是非見学しておきたいところです。
こちらは1階の資料展示室。資料そのものは撮影禁止ですので、お部屋の様子だけ撮影させていただきました。
昭和初期の所謂花街の面影を残す建造物は、一見して私「鬼滅の刃遊郭編」を思い出しました。場所はJRでいえば山手線の田町と浜松町の中間あたりに位置していて、ほど近くに勤務先ビルがあって何年も通っていたのに全然知りませんでした。なにしろ実態として公民館なので観光としては弱いのですけれども、現存する木造見番建造物として一見の価値はあります。お近くにお越しの際にふらっと行ってみると意外と面白いかもです。
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