■ライカ35mmの最初の1本に、LズマロンF3.5■
ライカのレンズはどれも高価だが、特に35mmは50mmに比べてぐっと相場が上がり、ズミクロンなら20万円以上を覚悟する必要がある。そうした中、ズミクロンより格下となるが比較的手を出しやすいのがズマロンだ。
ズマロンと言えばズミクロンの登場より以前、ライカの広角35mmレンズの主軸として生産されたモデルで、世代によりLマウントとMマウント、開放F値F3.5とF2.8が混在している。今回購入したのはその中で最も古い、1949年登場したLマウントF3.5前期型の俗にサンハンズマロンと呼ばれているモデルである。世代が古いこともあり数あるズマロンの中では最も安価に購入可能であるが、現在の相場は並品クラスで7万円~9万円程度であり、他社同等クラスのレンズに比べて安いということはない。
70年も前のレンズであり、なかなか状態のいい個体を見つけるのは難しいが、中古市場のタマ数は多め。F3.5は現在の感覚からすると暗いレンズということになるが、設計に無理がなく同じズマロンのF2.8モデルより解像感は高いとも言われる。銀塩時代のレンズなので当然フルサイズ域をカバーしているわけだが、にもかかわらず圧倒的に小さな筐体はずっしりと塊感があり、手に取ってみると安っぽさは微塵も感じない。ライカ35mmレンズの最初の1本としても魅力十分だ。
それでは手持ちのカメラに装着してみよう。まずはライカM4。M4はMマウントなので、ズマロンのLマウントをMマウントに変換するアダプターを介しての装着となるが、クラシックな佇まいが見事な組み合わせだ。LM変換アダプターは35mm用のものを正しく使用することで、M4のファインダー内に35mmブライトフレームがちゃんと現れる。
F値が暗く被写界深度が深いので、実は後述するミラーレス機に装着するとマニュアルフォーカスでピントを合わせるのがややわかり辛いのだが、レンジファインダーならどんなレンズであっても二重像を合致させる方法は変わらないので、使用感が損なわれることはない。但し、レンズが小さいので手が大きい方には扱い辛いかもしれない。
ライカCL(ライツミノルタCL)はファインダー内に35mmのブライトフレームが用意されていないが、ファインダーの視野全体がほぼ35mm画角であるということで、外部ファインダーなしに35mmレンズも使用可能である。
もともとM型ライカより小さいCLには、こうした小さいレンズが実によく似あう。画角も35mmということで汎用性も高く、ひょっとしてこの組み合わせは最強のお散歩フィルムカメラになれるかもしれない。
複数のマウントアダプターを併用してZ6に装着。モダンとクラシックの融合というか不思議としっくりくる組み合わせだ。本来このレンズは最短撮影距離が1メートルと長いが、ヘリコイド付きアダプターを使用することでかなり寄れるようになるので実用性も十分だ。実写レポートは近日中にあらためてお届けしよう。
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